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独身男性が東京の銭湯を勝手に評価する(その11)

今年2本目は意外と久しぶりの銭湯レビュー。

コロナ禍でなかなか遠くまで行けない中、都内の銭湯巡りに力の入った昨年下期でした。今回はそんな銭湯活動でたまったストックから、都内屈指の温泉銭湯を3つ紹介します。

※新型コロナウイルス感染症の影響で、営業日や営業時間を一時的に変更している銭湯が多くなっています。本稿では最新の情報の発信を心掛けておりますが、実際の営業についての確認は各銭湯にお願いします。

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■ 大黒湯(墨田区)・・・スカイツリーを臨む大露天風呂【92点】

大黒湯は錦糸町や押上駅から徒歩10分程度、スカイツリーから最も近い銭湯だ。いや、大黒湯から最も近い観光地がスカイツリーと言うべきか。

なにせ創業は昭和24年(1949)、戦後間もない時期から下町の風呂屋として人々を癒し続けてきた老舗だ。2010年代開業の建物を基準として語るのは失礼というものだろう。

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この大黒湯、見た目こそ宮造りの好々爺然としたたたずまいだが、中身はもはや充実を越して過剰ともいえるハイステータスっぷりが光る。

まず、天然温泉である。東京に多い黒湯や透明な湯ではなく、硫黄臭の強い黄濁色は、いかにも温泉という特別感。ちなみにうっかり手ぬぐいにお湯をかけてしまうとガッツリ色が付くので注意だ。

しかもそれが露天風呂といううえに、通常のあつ湯と温泉水風呂の2種類の浴槽が用意されている。温泉水風呂は体感30℃程度の「オーバー30」なので、サウナや浴槽で温まった体をゆったりクールダウンするのにちょうどよい。

※「オーバー30」の水風呂のススメはこちら↓

そして露天スペースから階段を上がった2階には、広々としたウッドデッキが確保されており、ハンモックやサンラウンジャーに寝転んで風に当たりながら誰に邪魔されるでもなく「ととのい」に入れる。スーパー銭湯でもなくこのレベルのととのいスペースを備えている銭湯を、筆者はほかに知らない。

さらに露天風呂とウッドデッキからは間近にスカイツリーが眺められる。むかし浅草にある某スーパー銭湯が浴槽からスカイツリーが見えると謳っていたので期待して入ってみたところ、露天の柵と屋根の隙間からツリーの腹がちょこっと見えるだけで落胆した覚えがあるが、こちらは634mをしっかり視界に収めつつ風呂に入り、ゴロゴロできる。これを至高と言わずしてなんと言おう

さらにさらに、サウナが比較的ぬるめのよもぎスチームと、遠赤外線でガッツリ温まるドライサウナの2種類用意されているほか、各種の白湯や炭酸泉(露天と高濃度炭酸泉が男女日替わりで入れ替わる)と、どこでもエース級の設備が揃い、もはや銭湯の強豪校といった趣だ。

最後に、なぜかこの大黒湯、昼過ぎから翌朝10時までの15時間通し営業である。途轍もなく広いこのお風呂をいったいいつ掃除をしているのか。

背筋がうすら寒くなるほどのサービス精神。深夜何時に温泉に入りたくなっても受け入れてくれる懐の深さに、脱帽である。ブルジョアになってタクシー飛ばして入りに行きたい銭湯No.1。

大黒湯
住所:〒130-0003 東京都墨田区横川3-12-14
営業時間:平日15:00~翌10:00/土曜14:00~翌10:00/日祝13:00~翌10:00
定休日:火曜日

■ 桜館(大田区)・・・池上の誇る最強の温泉銭湯【90点】

ふだん銭湯の新規開拓は一人気ままにやっているのだが、珍しく友人に誘われてはるばる出かけたのが、東急池上線池上駅から徒歩10分程度のところにある桜館である。

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名前の通り桜を眺められる露天風呂が名物だが、訪れたのは夏だったので全く関係なかった。

さて、住宅街の中にふと現れる安宿のような桜館は大規模ビル型銭湯で、3階建てのフロア一杯に浴槽とサウナと休憩室がみっちり詰まった銭湯ラバー垂涎の施設だ。

まず1階には大田区名物の黒湯温泉、広々としたジェットバス、15人はゆうに入れるであろう大型ドライサウナ、露天水風呂が並ぶ。並みの銭湯1軒分のファシリティが既に揃っているのだから驚きだ。

そして階段を上がって中2階には小型スチームサウナが備えられており、有線放送を聴きながらじりじり体を温められる。

そして3階には再び黒湯の展望露天風呂があり、門前町池上ののんびりとした雰囲気の中でリラックスできる。この展望風呂は妙に広くて、段差を活用した2つの浴槽がつながっている独特の構造。さらに上には休憩スペースがあるようなのだが、訪れた当時は閉鎖されていた。

都知事が見たらその密っぷりに腰を抜かすに違いない、高水準な風呂とサウナを詰め込みすぎの温泉銭湯。こういう銭湯が家の近くにあればなぁ、と思わずにはいられない(2か月ぶり10回目の感想)。

桜館
住所:東京都大田区池上6-35-5
営業時間:平日12:00-25:00 土・日・祝10:00-25:00
定休日:無休

■ 戸越銀座温泉(品川区)・・・商店街真っ只中という幸福。全銭湯のベストオブ立地【95点】

都営浅草線「戸越」駅、東急池上線「戸越銀座」駅からいずれも5分程度、品川の、いや都内屈指の長さを誇る戸越銀座商店街の真っただ中に堂々と位置する温泉銭湯である。

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都内の銭湯でマストゴー10選を選べば確実にランクインするであろう戸越銀座温泉を訪れたのは、2020年になってからだった。

単純に家から戸越まで行くのがちょっとダルかったし、寿湯とか優れた銭湯が(当時の)家の近くにあったこともあり、「そこまででもないでしょ」と正直ナメていた節がある。

しかし、その先入見は鮮やかに打ち砕かれることになった。もちろんいい意味で

戸越銀座は内装やコンセプトの異なる「月の湯」と「陽の湯」の2スペースが日替わりで、私が行った際は男湯が陽の湯だった。

陽の湯は露天の天然温泉が名物で、円形の浴槽にテレビが設置され、脇に椅子が並んで休憩スペースになっている。「美人の湯」と称される黒湯はしっかり色が濃く、入った時の満足感が素晴らしい。

階下には清潔感あるサウナと、温度低めてキリっとクールダウンできる水風呂、陽光を取り入れた内湯など、広々としたスペースには全く隙がない。私が入った時は浴槽に文庫本を持ち込んで読みふける剛の者がいたが、これほどリラックスできる銭湯ならさもありなん、という違和感のなさだった。

そして風呂を上がれば戸越銀座で散歩に食事、買い物も楽しめる。ここにはすべてがある。ちなみに月の湯は浴槽の構成、タイル絵、洗面器の形まで異なるというから驚きだ。また必ず訪れなければならないと、この記事を書きながら決意を新たにした。

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戸越銀座温泉
住所:東京都品川区戸越2-1-6
営業時間:15:00-25:00 日・祝は左に加えて8:00-12:00
定休日:金曜日

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