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独身男性が東京の銭湯を勝手に評価する(その7:ちょっと贅沢な銭湯)

都庁が往年の特撮ロボット映画みたいになっていた東京アラートも解除され、銭湯に行けるようになりました。勿論まだまだ感染が終息したとはいえないところ、十分に配慮しつつ楽しみたいですね。

今回は墨田区、品川区、目黒区の、ちょっと贅沢な銭湯を紹介します。

※新型コロナウイルス感染症の影響で、営業日や営業時間を一時的に変更している銭湯が多くなっています。本稿では最新の情報の発信を心掛けておりますが、実際の営業についての確認は各銭湯にお願いします。

■ 評価ポイント・方法

さて、今回から個別項目のスコアリングはやめ、各銭湯の見出しに100点満点のおすすめ度を記載します(項目同士が相殺して、どの銭湯もスコアが同じレンジにまとまってしまうため)。

■ 御谷湯(墨田区)・・・最高の入浴体験。隠れ家的温泉銭湯【95点】

細々と30軒以上の銭湯を紹介してきたこのシリーズで、現時点の最高位に位置するのががこの御谷湯(みこくゆ)。とにかく、風呂が規格外に良すぎるのだ。

まず、天然温泉である。大田区や品川区ならともかく、東京の東部ではそもそも天然温泉は珍しい。比較的色の薄い黒湯で、熱め、普通、ぬるめの温度の異なる3つの浴槽が用意されている。

そして一番の目玉は、「不感温温泉」である。人肌の36~37℃に調節されているため、読んで字のごとく温度を感じないようになっている。

浴槽は照明の落とされた空間に設えられており、暗闇で浮遊するような感覚を味わうことができる。交互浴やサウナで体に温度のギャップを与えて得られる「ととのい」とは全く異質の入浴体験である。

また、2つのフロアによって異なる半露天風呂や薬湯なども用意されている。おまけに外気浴用の休憩スペースまで設置されているという周到ぶりには舌を巻く。

昔「ミスター味っ子」っていうグルメ漫画で、主人公の料理対決で対戦相手の料理が圧倒的すぎたため、審査員が5点満点を超えた6点を出してしまい主人公が負けるというエピソードがあったが、そのときの審査員の気分だ。

ルール破りなのはわかっているが、あえてそれを破らせてほしい、と言いたくなるほどの圧倒的な風呂のクオリティ。

馬鹿の一つ覚えみたいに入浴設備のことばかり書いてきたが、2015年にリニューアルされただけあって建物も清潔で現代的だ。

近隣に住む要介護者向けに、貸し切りのサービスもやっており、街中の銭湯としての役割を現代に昇華させている。

駅から少々遠い立地も、混みすぎないのでむしろ好都合と思えるほど、奇跡的に素晴らしい銭湯。サウナがないので5点引いているが、満点でもいいぐらい。

御谷湯
住所:〒130-0011 東京都墨田区石原3丁目30−8
営業時間:平日15:30-26:00、日曜15:00-24:00
定休日:月曜日

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■ 薬師湯(墨田区)・・・スカイツリーの御膝元。城東のハイレベル銭湯【90点】

薬師湯、といえば銭湯界に若い感性と経営的視点を持ち込み、マニア界では知らぬもののいない有名人、長沼兄弟が経営する銭湯だ。もともと家族で銭湯を営んでいた長沼家の3兄弟はこの薬師湯と台東区の寿湯と萩の湯を経営する。

浴室でのみ読める漫画の連載や、映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」とのコラボイベントなど、銭湯文化を現代にアップデートし続けている、気鋭の経営者たちだ。

薬師湯は東京スカイツリーの開業に伴い「スカイツリーから一番近い銭湯」の二つ名を得たが、これといって飾らない、まちの銭湯である。週末でも地元の人が割合多く、家族連れが次々と訪れていた。

しかし、よくよくみるとサービスや設備のクオリティの高さに驚かされる。
薬湯のレパートリーはなんと100種類以上で、毎日訪れる常連を飽きさせない。

サウナは小ぢんまりしているが、個人用のサウナマットが用意されていて衛生面も安心できる。サウナ併設の水風呂は地下水をくみ上げており、「ととのい」用の椅子も用意されている。

特別感はないが、毎日でも通える日常使い銭湯の極致と言うべき、名銭湯である。

薬師湯
住所:〒131-0033 東京都墨田区向島3丁目46−10
営業時間:15:30~26:00
定休日:水曜日
※6月24日現在、サウナに利用制限あり

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■ 金春湯(品川区)・・・飾らない実力派の庶民派銭湯【90点】

金春湯は大崎や戸越から徒歩8分、ごく普通の住宅街に位置する銭湯だ。
戸越と言えば、銭湯ラバーには有名な戸越銀座温泉で知られるが、この金春湯も侮れない魅力を備えている。

白いタイル張りの浴室は清潔で、足を延ばしてゆっくり浸かれる広さがある。サウナは木の温かみを感じられる造りで、そこまで高温でもないのが暑がりには嬉しい。

サウナを出たすぐ脇には水風呂があり、水風呂の向かいには何人か並んで座れるほどのスペースもある。

広い湯船にサウナに水風呂、これだけあれば、いくらでも戦える。

金春湯
住所:〒141-0032 東京都品川区大崎3丁目18−8
営業時間:16:00~23:00(日曜のみ 8:00~12:00も営業)
定休日:金曜日

■ 北品川温泉 天神湯(品川区)・・・マンションのような佇まいの温泉銭湯【92点】

品川駅から京急各停で2駅の新馬場(しんばんば)駅から徒歩5分に位置する天神湯。北品川温泉、と謳ってはいるが北品川駅からは距離があるので注意だ。

見た目はまるで高級マンションのように洗練されており、気取らない庶民の町の景色から少し浮いているように見える。中は2階建てになっており、水が流れ落ちるオブジェがひときわ目を惹く。内装もお洒落でホテルに訪れたような気分になる。

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浴槽は温泉、白湯、ジェットバスの3つに分かれており、温泉はドアで強いられている。白湯は42℃程度のあつ湯で、ここに水風呂があればなおのこと素晴らしい。

温泉は東京名物の黒湯。ホームページによると天神湯の黒湯は都内で最も腐植質の含有量が多いのだそう。植物質が溶け込んだ黒湯は少しヌルヌルしていて、とても肌に良い気がする。

このためだけに新馬場を訪れても後悔しないほどに素晴らしい湯質。いっとき非日常感を味わうには最高の空間だ。


北品川温泉 天神湯
住所:〒141-0001 東京都品川区北品川2丁目23−9
営業時間:15:00−23:00(※短縮営業時間)
定休日:金曜日

■ 光明泉(目黒区)・・・お洒落な町のお洒落な銭湯【85点】

台東区、荒川区界隈は銭湯オアシスであるが、目黒区、渋谷区、港区のような都心にも銭湯は存在する。

しかも、若い感性を取り入れたハイセンスなところが多いのだ。スパリゾートと見まごう恵比寿の改良湯(渋谷区)、天然温泉で有名な麻布十番の竹の湯(港区)も然りだが、光明泉もそういった現代型銭湯の一つだ。

光明泉は中目黒駅から代官山方面に徒歩7分程度、東急線のガード下の近くに位置する。名前の通り採光がよく考えられた店内はオレンジと白を配色のベースにしており明るく、かつ木の質感を活かしてスタイリッシュさと暖かさをうまく同居させている。

風呂は2階の浴室内に人工ラジウム泉と高濃度の炭酸泉があり、さらに階段を上がった3階テラスには小さいながら露天風呂も備えられている。
※露天風呂は1週ごとに男女入れ替わり

また、サウナと水風呂もあり、疲れを癒すのにもってこいの入浴設備が整っている。残念ながら私が訪れた時はサウナが混雑していて入れなかったが、露天風呂と外気浴だけで十分にととのえた。

目黒川沿いにはお洒落なカフェやダイニングバーも点在しており、これからの季節はひとっ風呂浴びてからビールを片手に散策しても気持ちがよいかもしれない。

光明泉
住所:〒153-0051
目黒区上目黒1−6−1
営業時間:15:00−25:00(最終受付24:30)
定休日:不定休

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