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【はじめに】ほめる英語であなたは変わる!

2018年3月に電子書籍で出版したこの本。

「ほめる英語であなたは変わる!」

amazonの試し読みでも冒頭の「はじめに」は読めますが、よりわかりやすく加筆修正したものをこちらに載せておきます。

「英語を話したくて勉強したけどなかなか話せない」と一度でも悩んだことがある方に届きますように!

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はじめに

 この本は、「『ほめる英語』で自分らしく英語が話せるようになる方法」を書いた本です。

 「ほめる英語」とは、英語文化において切り離せないコミュニケーションの基本です。英語には、ほめるときに使う単語やフレーズが豊富にあり、日常生活でふんだんに使われています。「ほめ言葉なくして英語の会話は成り立たない」と言っても過言ではありません。

 たとえばプレゼントをもらったとき、英語圏ではGreat! / Wonderful! / Fantastic! / Marvelous! などのポジティブな形容詞を使ってほめまくります。子どもに限らず大人が何かいいことをしたときですら同様に使われます。

 これまでの日本人の英語学習に足りていなかったのが、この「ほめる英語」です。
 私自身、アメリカ人の夫と一緒になって初めてこの効果に気づきました。それ以来、自営の英語スクールや非常勤講師として教える大学でも積極的に取り入れています。まず、「ほめる英語」を使うことでマインド(心のあり方)が変わってきます。それは外国語を話すときに少しだけ人格が変わる、というものに似ているかもしれません。英語を話すために英語の基礎力は不可欠ですが、それだけでは足りません。私はこのマインドが英語を話せるようになるためのポイントになります。
 本書では、「ほめる英語」をなぜ使うのか、使うとどんな効果があるのかを具体的に示しながら、簡単に使えるフレーズと使うときのコツを紹介しています。
 本書を読むだけで、うっかり英語を話したくなるかもしれません。

 ちなみに、サブタイトルにある「ネガティ部」とはインターネットで知った造語です。アニメから来ていると思われます。うまいこというなあ、とすぐに使いたくなりました。ネガティブな人が所属する部と認識して使っています。その反対が「ポジティ部」です。

 なぜこの造語をサブタイトルに入れたのかというと、私自身が「ネガティ部」出身だからです。

 私は「ほめる英語」をアメリカ人の夫やその家族から学びましたが、生粋の「ネガティ部」出身だったので最初は受け入れがたいものがありました。
 「えっ、これくらいのことで、そんなにほめるの?」と驚愕する場面も少なくありません。でも戸惑いながらも使っているうちに自然と心からの「ほめる英語」が口から出るようになり、英語だけでなく日本語のコミュニケーション力もアップしたのです。

 とはいえ、ネガティブであることは決して悪いことばかりではありません。ネガティブゆえの視点や思考回路は面白い発想や創造を生み出し、人の心をつかむものです。やたらとポジティブになろう! という押しつけがましい態度も苦手です。ですので、本書は無理やり「ポジティ部」に入部させようとする暑苦しい本ではありません。
 「別にポジティブになりたいわけじゃないんだけど」という気持ちはよくわかります。でも「ほめる英語」は、私たちの心のブロックを外して、すごい勢いでジャンプできる後押しをしてくれます。このマインドに少し自分を寄せてみるだけで、英語が前より話せるようになるでしょう。私自身がそうでした。

 私も含め「ネガティ部」は疑い深いので、つい安心していただくための前置きが長くなってしまいました。

 申し遅れました。「ほめる英語」トレーナーの松田佳奈です。和歌山市で大学講師をしながら、自分の英語スクールで子どもから大人までに英語を教えています。これまでに延べ3,000人以上の方に英語を教えてきました。

 私は大学卒業後にイギリスの大学院に留学していました。イギリスを選んだのは、やたらと明るいアメリカより自分に合っているかも、と思ったからです。
 帰国後は外資系の翻訳会社で働いていました。翻訳の仕事を選んだのは、英語を使いながらも人と話すことが少ない仕事内容に惹かれたからです。

 この「ネガティ部」ゆえの人見知りと消極的態度のおかげで、英語の知識はあってもなかなか英語を話せないのがコンプレックスでした。

 こういう人は日本人にとても多いと思います。
 TOEICのスコアは高いのに話すのは苦手、文法の細かい点が気になるわりに英語が口から出てこない、難しい単語は知ってるけど使う術を知らない、など。
 なぜなのでしょうか?

 それは心の奥で「話したくない」と思っているからです。
 どういうこと? 英語を話せるようになりたいんですけど! と反発したくなるのも無理はありません。
 なぜなら、英語を話せるようになりたいと強く願う人ほど、日本の英語教育システムの中でがんばっていい成績を取っていたり、さまざまな教材や方法を試したり、英会話学校に行ったりという涙ぐましい努力をしてきているからです。

 でも、話せない。
 そんな人にお伝えしたいのは、まず「ネガティ部」からいったん退部してくださいということ。フリだけでもかまいません。そんなもの入ってないよ! というポジティ部所属の方はこの本を読まなくても大丈夫です。ただ私がこれまで自営のスクールや大学で教えてきた経験から、日本人にはネガティブ傾向の人が多いように感じています。そしてそのことが「英語が話せない」原因になっている気がしてならないのです。

 ネガティブな人は、言い換えれば考えすぎてしまう人。相手に気を遣いすぎて空回りして、結果何もかもイヤになって斜に構えてしまう人。要するに、とっても真面目で真摯な人が多いのです。
 ネガティブの裏に潜むのはそんな不器用な性格です。それは悪いことではありませんが、英語を話す上でブロックになるのは事実です。まずはそんな自分を認めつつ、英語文化に沿ったコミュニケーションに自分を寄せてみましょう。「ほめる英語」がその助けになります。
 「間違えてもいい」「ネイティブみたいに話せなくてもいい」といくら頭でわかっていても、体に染みついた「真面目さ」が邪魔をして難しいものです。頭での理解は少しお休みして、まずは「ほめる英語」を使ってみること。そこからマインドを寄せていくのです。頭ではなく先に体(語学の場合は、口)を使ってみましょう。「ほめる英語」を使うことに慣れてくると、自分を許すマインドが手に入ります。心が開く、と言ってもいいかもしれません。心を開けば語学は伸びます。自己開示できるようになると、コミュニケーションがしやすくなるからです。

 また、英語に限らず何事もある程度のレベルまで達したいと思ったら「続けること」が大切です。でも残念ながら、持続力はやる気や根性だけではどうにもなりません。「続けること」の原動力は「楽しい」というワクワクした気持ちです。この「楽しい」気持ちのドアを開ける鍵も「ほめる英語」にあります。

 この本を読んで「ほめる英語」を使ってみようかな? と思えたら、もう「使える英語」へのドアは開いたも同然。
 本書と一緒に、「ネガティ部」を少しお休みして「行動」してみませんか?

 「ほめる英語」の使い方は本書で丁寧に解説するのでどうぞご心配なく。「英語を話せる」という枠を超えて、コミュニケーションに自信が持てるようになることを保証します。

 「ネガティ部」出身として、ひとりでも多くの人に「ほめる英語」から広がる新しい世界を手に入れてほしいと願っています。

Kana



英語講師ときどき翻訳 Twitter: @kanahilston