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第8回:連携パートナーの経営上のメリットを創出できるか?

みなさま、こんにちは。
食の6次産業化プロデューサーの松田高政です。

自己紹介

特別講座「新たな時代に新商品・サービスを生み出す能力とは(全11回)」の第8回目のテーマは、「連携パートナーの経営上のメリットを創出できるか?」です。

新しい商品・サービスを生み出す時に、食品であれば原材料の生産から、加工、販売までをすべて自分1人で行うことはまず困難です。
原材料の生産は農家、加工は食品会社、販売は地域の卸事業者、小売店・スーパーなど、多くの関係者がタッグを組んで取り組み、その結果として物・金・情報等が流れていきます。

その関係者はビジネス上の大切な連携パートナーであり、関係するすべての会社に儲けてもらう、または関わることのメリットを感じてもらう必要があります。

では、連携パートナーの経営上のメリットにはどんな種類のものがあるのか、またそのメリットをどのような方法で創出することができるのか。具体的な手法と事例を見てみましょう。

問題:連携パートナーの経営上のメリットを創出できるか?

【問いかけ】
商品の発展的展開を進める中で、連携する各事業者(パートナー企業)に対し、どのような経営上のメリット(定量的でも定性的でも可)を創出したか。

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理論と手法を学ぶ

【理論・手法】
食品分野を例に、地域の一次産品を活用して新商品または新メニューを開発・展開する場合に、食材を供給する生産者、食材を加工する加工事業者、さらにはできた商品を販売する販売者それぞれに経営的なメリットがないとビジネスとして長続きしません

連携する事業者すべてに経営上のメリットを明確にしてパートナーシップを築く必要があります

経営上のメリットを創出する方法としては、売上高、利益、生産量の向上などの定量的なメリット(経済的メリット)を担保する方法と、生産に係る技術力の向上、地域産品のPR、地域ブランド化などの定性的なメリット(非経済的メリット)につなげる方法などが考えられます。

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図:地域内への定量的メリットと定性的メリット

特に、定量的メリットで「売上高-費用=利益」に相当するものは、「付加価値」と言われており、事業の結果として最終的に生み出された商品・サービスの価値として重要視されています。いくら売り上げが向上しても利益が出なければ持続可能な状態とは言えません。

また、最終商品の販売利益だけでなく、「利益=付加価値」は、生産から販売までの流れの中で、連携しているすべての相手先の努力・強みの積み重ねによって価値が創出されています。

このため、6次産業化を推進する場合においては、連携相手それぞれの価値創造を目指して、こだわりや技術力などの強みを活かすことが重要で、結果として得られた価値(利益)についても、それぞれのプロセスで創造した価値に応じて、適切な利益配分をコーディネートしなければなりません

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図:連携・コラボレーションによる6次産業化(付加価値=利益の創出)

実際の事例・経験談から学ぶ

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写真:のむジュレ

【実際の事例】
商品開発の際には、協力店舗を決めて、そこと一緒に味やデザインを決めました。メリットとしては、「地方の農家と共同開発した商品」とお客様に企業姿勢をアピールできることと、先行販売として、一定期間独占的に販売できしまた。

⑧消費者モニタリング会議

写真:協力店舗との共同開発(消費者モニタリング会議)

また、農家の利益、加工の利益、販売者の利益、消費者の利益をそれぞれ配慮するために、当初は販売価格を県内の相場である200円+税とし、原材料の買取価格を低めに抑えていましたが、消費者モニタリング会議で首都圏の消費者の許容範囲が250円~280円であることが判明したため、売価を250円+税に変更し、農産物の買取価格を引き上げることができました

また、販売者にとっても値入率が30%、卸手数料を含めると40%と利益率が高く、「三方良し」の利益配分となりました。

原料を仕入れる農家側としては、規格外品として破棄していた物を有償で引き取るため、農家の所得アップに貢献しています。

⑧文旦原料(玉)

⑧柚子原料(玉)

写真:これまで破棄していた柚子、文旦

このように、地域の農産物を活用して食品をプロデュースする場合、地域農業者のメリット(所得向上)、加工する側・販売流通側の利益、そして最終的に買ってくれる消費者の利益(買いやすさ)など、総合的に目配り・気配りをして商品を完成させました。

まとめ

以上、第8回目の「連携パートナーの経営上のメリットを創出できるか?」はいかがだったでしょうか。

経営上のメリットで重要な利益(付加価値)について、企業は生み出された価値が利益となって、次への投資に繋げます。その投資が少ないと将来の見通しは暗いものとなり、事業の継続が困難となります。

1次産業×2次産業×3次産業=6次産業であるならば、どちらか一方が儲けて、他が無理をしている状態であればビジネスは長続きしません。連携パートナーの誰かが利益ゼロであれば、掛け算として事業全体もゼロとなり得ることを、食品をプロデュースする者は認識しておかなければなりません。

次回、第9回は、「事業の発展のために後続の商品開発ができるか?」です。お楽しみに!
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