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日本サラリーマン史 昭和サラリーマン、平成サラリーマン、そして令和サラリーマン

こんにちは、まっつんです。

日本サラリーマン史として明治、大正、昭和初期のサラリーマンを書いてきましたが、今回は昭和サラリーマン、平成サラリーマン、そして令和のサラリーマンについて書いてみたいと思います。

なんだか仮面ライダーのシリーズのようですが、日本のサラリーマンはどのように時代を生きて、コレからどのようになっていくのでしょうか?

🟦 サラリーマン爆誕は明治初期それから150年!

1868年に江戸時代が終わり、1868年10月23日から明治政府となった日本で、知的労働階級の確保は急務でした。当時の知的階級といえば、「士族」つまり武士しかいなかったのです。

よって初代サラリーマンは「士族サラリーマン」でした。詳しくは「日本サラリーマン史 サラリーマン爆誕」をご参照ください。

https://note.com/matsuda2772/n/nc611145acf5d

その後に大卒のインテリ層がサラリーマンの主流となり、「学卒サラリーマン」となって令和の現代まで続くわけです。

昭和サラリーマンは戦前の昭和サラリーマンと戦後の新・昭和サラリーマンに分けられますが、今回は、高度経済成長時の「新・昭和サラリーマン」を取り上げます。サラリーマンと単純に言いますが、士族サラリーマン爆誕から令和サラリーマンまで150年もの歴史があるのです。

🟦 新・昭和サラリーマン サラリーマン黄金期?

今の若いサラリーマンの方には、「昭和サラリーマン最高」「同じサラリーマンなら昭和でやりたかった」という方も多いようです。戦後の新・昭和サラリーマンの特徴としては、

①終身雇用で安定した社会的地位

②誰でも結婚してマイホームが持てた

③川上が強く商品を作れば売れる市場環境

④高度経済成長で所得が増えた

という特徴があります。

新・昭和サラリーマンの生きた時代は、1955~73年(昭和30~48年)の高度経済成長期と、1986〜91年(昭和61年から平成3年)まで続いたバブル経済期によってイメージされます。高嶺の花であったマイカーを購入して、社内結婚、無理をすれば年収の5倍で郊外に一戸建てを購入できた時代です。

特に昭和の一般家庭とされた「サザエさん」は令和の時代には、数億円はするであろう庭付き一戸建てを持ち、勝組の証である専業主婦のサザエさん、定時で帰れるホワイト企業のサラリーマンの波平とマスオさん!(因みにネット上では波平は京都大学卒、マスオさんは早稲田卒と噂される)これが新・昭和サラリーマンのデフォルトでした。

バブル崩壊後の世界では、誰もが普通に手にしていたものが夢となり、就職氷河期には「夢は正社員になることです」なんてインタビューニュースが流されたりと、平成サラリーマンには眩しいばかりです。

一方で、新・昭和サラリーマンたちも苦労はありました。完全週休二日ではなく、土曜日は「半ドン」出社、夜は接待、日曜日も取引先と接待ゴルフと言うように就業環境はあまり良いとはいえませんでした。社内では役職によるヒエラルキーが明確で、パワハラ・セクハラの概念もなく、喫煙者は8割を超える状況です。当時は公共交通機関でも喫煙OKでしたから、タバコを吸わない人や女性は大変だったと思います。事務職が、出社して最初の仕事は、男性社員のタバコの灰皿を片付けること、そして、お茶出しの際は、男性社員のコーヒーの好みやお茶の熱さにも個別対応という男性パラダイス社会でもありました。

昭和のサラリーマン漫画の代表作といえる聖日出夫の「なぜか笑介」(小学館)では、ヒロインの泉今日子(人事部)と長谷伸子(経理部)のシーンは給湯室でした。余談ですが人事部はこの時代から既に美人を優先的に自部署に配属させていたことも分かります。

主人公の大原笑介は入社早々10億円の契約をまとめ、ボーナスの査定では10円だけ同期より多く支給され、ライバルから嫉妬されるエピソードからも、年功序列が徹底している昭和らしさがうかがわれます。

深夜残業でも残業代は支給され、タクシーチケットで帰宅したり、接待費が使えて飲み食いも随分といいお店にいけたというメリットもありましたから、全人生投入を会社に求められる点を除けば、普通のサラリーマンには総じていい感じの時代だった言えるかも知れません。

🟦 平成サラリーマン バブル入社組と就職氷河期世代

平成時代は、1989年(平成元年)1月8日から2019年(平成31年)4月30日までを指し、バブルで始まりバブル処理で終わるという時代でした。日経平均株価が最高値3万8957円44銭を付けた時代でもあり、当時「サラリーマンはマイホームを持てるのか」と衆議院の物価問題特別委員会で集中審議される時代でもありました。失われた30年とも言われ、日本の世界的競争力がトップから転落し続けた時代です。サラリーマンの給与が伸び悩み始めたのもこの時代からです。

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出典:国税庁HP平均給与より

平成元年から数年間は、今で言うバブル入社組であり、当時は採用が難しかったこともあり、新人には独身寮が与えられ、寮の駐車場には、国産車の新車や六本木のカローラと言われたBMWをはじめとする外車がずらりと並んだ時代です。当時はトレンディードラマも大流行で、就活映画として織田裕二主演の「就職戦線異常なし」(1991年)が封切られ話題でした。「なりたいものじゃなくて、なれるものを捜し始めたら もうオトナなんだよ…」のキャッチコピーと槇原敬之の主題歌「どんなときも。」でバブル崩壊の余波が30年も続くとは誰も予想しなかった、そんな夢の時代でした。就活生が会社訪問するだけで、交通費として一律切りのいい紙幣が支給され、OBリクルーターは学生をタダで飲みに連れてく接待攻撃でした。極め付けは、内定者を内定拘束するために海外旅行へ連れていくといった具合に湯水の如く経費を使える時代でもありました。

そして千年紀(millennium)から社内の様子が変わってきます。IT革命によってオフィスにパソコンが導入されたことで、それまで威張っていた上司と、パソコンスキルのある部下の立場が逆転し始めました。上司が仕事のできない部下を叱る…から、社内の仕組みがコンピュータ化したことで、ITを使えない上司を部下が世話をするという展開になってしまい、経験則や暗黙知で仕事をしてきた昭和サラリーマンは威厳を保てなくなりました。そして、コンプライアンスやパワハラ、セクハラの概念が導入されるに至り、「取引先より、社内の若手に気を使う」と言う部長クラスのぼやきが蔓延して現在に至っています。

しかし、平成サラリーマンも受難の時代を迎えます。一般的に就職氷河期とは、バブル崩壊後の就職活動時期1991年頃から2005年頃に社会人になった世代を指すと言われていますが、実際にはその後もロストジェネレーション、略して「ロスジェネ」とも呼ばれ「失われた世代」として就職氷河期の時期に該当するバブル崩壊後から約10年間のうちに就職活動を行った就活生として一つにまとめられているイメージです。フリーターや引きこもり、ニート、非正規雇用者と行った言葉が出てきた時代です。平成サラリーマンは振れ幅が半端なく広い時代にサラリーマンになるという宿命を背負っているのです。そして新・昭和サラリーマンの敷いた団塊の世代ルールに縛られて、厳しいところだけ濃縮させたようなストイックなサラリーマンが形成されたように思います。

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出典:総務省統計局労働力調査「35~44 歳」世代の就業状況より

まるで、神格化されたサラリーマン象を忠実に再現することで内定を勝ち取った平成サラリーマンは、何事にも真面目でストイックに取り組むので、仕事が人生の優先順位でかなり上位になっているように思います。ライフイベントも先送りになりがちです。社畜化しやすい体質は、真面目すぎるからなのでしょう。新・昭和サラリーマンの言うことなどは話半分で聞くくらいの強かさが大切だと思います。

🟦  令和のサラリーマン すべての拠り所がコロナで崩壊!

サラリーマン歴150年の記念すべき時代に登場した令和サラリーマンは、しょっぱなからコロナという100年に一度というパンデミックの洗礼を受けてのスタートとなりました。

これまで、サラリーマンが拠り所としていたものがすべて通用しなくなった世界で、今後どのようなサラリーマンが形成されていくのか楽しみです。

ある意味では、団塊の世代が作った新・昭和サラリーマンのマイ・ルールのようなしがらみが、ぶち壊された環境でサラリーマンになるので、昭和の「努力や根性」とか、平成の「周りの空気を読む同調圧力」なんて全く気にしない、進化したサラリーマンを目指して欲しいと思いっています。

西村博之さんの著作に「なまけもの時間術」と言うのがありますが、「時間を守る」ってそんなにエラいわけ?(P31)「間違った努力」と言う時間のムダ (P 165)とか昭和の変な価値観を「それ、なんの意味あるの?」と根底から覆しています。こんな考え方って令和サラリーマンは学んでいくといいと思います。

そもそも団塊の世代が勝手に作ったルールに平成サラリーマンは縛られすぎて、メンタル病んだり、経済的にも追い詰められたわけですから、そろそろ、昭和の亡霊から解放されてもいいのではないでしょうか?

コロナ騒動によって、舞台装置として存在した「会社」に出社すらできない中で、「全社一丸となって仕事に励む」ってスローガンはナンセンスです。

そもそもが、既にダイバーシティで正社員・嘱託社員・派遣社員、パート・アルバイトと多様化した従業員に通用しなくなったところにコロナが起きて、もともとあった「分断」が見える化しただけなのですけど。

令和サラリーマンは、団塊の世代のマイ・ルールが崩壊した後の世界を作り替える「新しいルール形成力」を期待したいと思います。

今回は、今回は昭和サラリーマン、平成サラリーマン、そして令和のサラリーマンについて書いてみました。

世の中で唯一平等に人に与えられているものは「時間」です。今、富裕層の最も欲しいものは「お金」ではなく「時間」だといいます。

新・昭和サラリーマンの行動規範であった「お金」、平成サラリーマンの追い求めた幻の「昭和のスタンダード」と違って令和サラリーマンは「時間」軸で新しい人生の価値を追求して欲しいと思います。

次回もよろしくお願いします。

少しでもあなたの人生のヒントとしてお役に立てれば幸いです。

🟦 自分時間が最優先!まっつんブログ!


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