🟩しごと考　日本人の仕事はなぜ生産性が低い？

こんにちは、まっつんです。

コロナで日本の企業は一気にリモートワークに移行しています。企業の中には、「何百時間相当の業務を削減します！」ってのが報道記事になるところもちらほら散見されるようになってきました。

コロナを契機にして、業務をデジタルへ移行し、ついでにリストラを行う流れが出てきたということなのでしょうか。この秋口から早期退職や希望退職を募る企業の動きが本格化する予兆なのかもしれません。

今回は、しごと考　日本人の仕事はなぜ生産性が低い？というテーマで整理してみたいと思います。個人では真面目で優秀と言われる日本人ですが、仕事となると、なぜ生産性が低いと言われるのか、一緒に紐解いていきましょう。

🟩よく言われる「業務の効率化」とは、なに？

業務の効率化とは、仕事を進めるためのプロセス（工程）から無駄を省き、これまでよりもスムーズに業務ができる状態に改善ことで、生産性を高めていく作業のことです。

製造業において業務を効率的に進めることができれば、仕事をこなす総量が増加し、多くの商品を生産することが可能となります。また、その結果として１個あたりの生産コストが低下することで利益が拡大するので、数字で生産性が向上したことがわかります。

要するに労働生産性とは、付加価値を労働者の数で割ったものということになります。公益財団法人 日本生産性本部の「労働生産性の国際比較2019年版」を見ると。日本の1人当たり労働生産性は、81,258ドル（824万円）となり、OECD加盟36カ国中21位となっています。

※「経済的な豊かさ」を国際的に比較するに あたっては、国民1人当たり国内総生産(GDP) を用いることが一般的です。

生産性の向上とは、企業が投入した経営資源に対しどれだけの成果を生み出せたかという効率の程度を示しており、 生産性の向上とは今の成果のまま投入する資源を減らす、もしくは、同じ資源で成果を高めるかという２つがあります。

つまり、①「付加価値を増やすこと」もしくは、②「労働者の数を減らすこと」のいずれかということになります。コロナの影響で、冒頭に記した通り、業務をデジタルへ移行し、ついでにリストラを行う流れへと繋がっていく可能性が高くなってきました。

🟩 なぜ、日本の会社は生産性が低いのか？

どこの会社でも、「効率的に業務を進めよう！」とか「生産性の向上を図ろう！」というスローガンが掲げられています。日々の改善や現場レベルの創意工夫による生産改善活動は、日本の十八番だったはずです。しかし、実際には非効率や仕組みや、過剰なルールは一向に無くならず、ミスが起きる度に、チェック項目や運用ルールが積み上がっていくばかりです。それはなぜでしょう。

APUの学長である出口治明氏の”「教える」ということ　日本を救う、「尖った人」を増やすには”（角川出版）によると。これまでの日本で求められて来た人材は次の通り、製造業の工場モデルでの活用を想定されて来たとしています。

🔷製造業の工場モデル（生産ラインでの仕事）で求められる人材

１．朝から晩まで長時間働ける人材。

２．仕組み全体の改変などに興味を持たず、目の前の作業の改善に注力し、与えられた仕事を黙々とこなす人材。

3．従順で、素直で、上司のいうことをよく聞く協調性の高い人材。

与えられた仕事を黙々とこなし、長時間残業も厭わない、素直で順々な社員は、生産ラインで重宝される昭和の時代にはよかったわけです。製造ラインという設備によって制約を受ける製造業では、全体的な改変などせずに、担当する持ち場でできる限りの改善や創意工夫をすることで、効率化を図ることが重要でした。現場の運用レベルでの改善ですね。

ところが、ものづくり日本が遠い昔のこととなり、サービス業が主な産業となった平成では、従来の製造業の工場モデルでの活用を想定した人材ではなかなか対応できません。

出口氏によるとサービス産業モデルで求められる人材は、次のような人となっています。

🔷サービス産業モデル（アイデア勝負の仕事）で求められる人材

１．自分の頭で考え、自ら進んで行動し、新しいアイデアを生み出せる人材。

２．尖った個性を持つ多様な人材。

３．継続して勉強を続ける高学歴人材。

これまで、日本の企業では、先に示したような社員（人材）は「輪を乱す」「チームプレイができない」「能書きが多くて言われた通りにしない」と✖️を付けられ冷遇されて来ました。

🟩勝負する土俵が変わったことに対応できない日本

アイデアでの勝負となると、「長時間労働」や「時間を守る」とか「規則正しく・間違いなく正確に」という製造業での優秀さとは異なる基準で勝負する必要があるのです。アイデア勝負ですから、当然、トライ＆エラーで失敗をすることが前提とした業務遂行ですし、長時間考えていてもいいアイデアは浮かびません。遊びと仕事の境目を設けないことで自由な発想が生まれて来ます。そもそも前提を疑って、昨日までのやり方を根本から変えてしまう必要があったりもします。

皆さんも日頃から感じている通り、金太郎飴と言われた量産型の規格品サラリーマン集団では、生産性が上がらない理由はお分かりだと思います。もう随分前に仕事のルールが変わったのです。

世界は、日本の系列やカンバン方式によるメイド・イン・ジャパンに席巻されたため、勝負のフィールドを製品からアイデアへとルール変更してしまっているのです。しかしながら日本は、教育システムも産業界も未だに前のルールで運用しているので、アイデアはタダという考えを変えられないため、世界の下請け工場となり、給料は安いまま、さらに日本の素晴らしい文化やコンテンツも「おもてなし」というキャッチフレーズで世界に消費されてしまいました。（例えば、ハリウッド映画の原作は日本で、儲けるのはアメリカってパターン多いですよね）

良いものは高い、アイデアは有料という、正しい値段付けをしていないから、日本国中が疲弊して、誰も幸せにならないという失われた30年が出現したのです。

🟩戦略的弱者という考えは日本でしか通用しない

生産性の向上の阻害要因を国内に向けると「働かないおじさん」「妖精さん」と言われる日本のおじさんサラリーマンがいます。実は最強の不労所得を得ている存在です。

彼らに仕事を任せると失敗するのでリカバリーに手間がかかります。その為、軽作業に従事させることしかできません。一方で、日本の法律的には、一度、正社員として雇用した人間は、余程のことがないと解雇できないことになっています。その為、おじさんサラリーマンは戦略的に弱者を装うことで、最低限の労働で毎月給料を貰えるというある意味で、最強の不労所得を得ている存在となっています。

競争社会では真っ先に解雇される対象ですが、日本では逆に、彼らの雇用を維持するために、結果として若者の採用を抑制し、または、派遣社員を雇用することで辻褄を併せているのが現状なのです。しかも嘱託再雇用として65歳まで身分保障されています。日本で最強のサラリーマンは、戦略的弱者を装う働かないおじさんということになります。

しかし、製造業の工場モデルの求められる人材で示した項目を改めて確認すると、おじさんサラリーマンはこのルールを忠実に厳守していることがわかります。

朝は一番早くに出社して（新聞読んでるだけだけど）夜は遅くまで残っている（生活残業費稼ぎだけど）、全体の改変などには興味を持たず、与えられた業務を黙々とこなし（軽作業だけど）、従順で、素直で、上司のいうことをよく聞く協調性のある社員（若い上司にも文句を言わない、人の良い社員）・・・。

幸い、工場での労働はすでに、そのほとんどが自動化され、マンパワーのかかる部分は海外へ移転済みです。ですから工場ではこのような働かないおじさんはあまり存在していません。しかし、ホワイトカラーの世界では、売り上げ貢献や生産性への個人の貢献度を数字で表すことが非常に難しいのです。

その隙間を突いて、「働かないおじさん」「妖精さん」は存在しているます。

これでは、ホワイトカラーの生産性が向上する訳がありません。

🟩令和で生産性が向上する可能性があるのか？

日本は、国内での変革を自国の中でのムーブメントから起こすのが苦手な国と言われています。ですからいつも「錦の御旗」として外圧を利用します。これまでもペリーの来航、第二次世界大戦の終結、オリンピックなどが、ターニングポイントになって来ました。

今回のコロナウイルスの世界的感染拡大は、日本改革のトリガーとなることは間違いないと思います。

経営者は、製造業の工場モデルで求められる人材のトップへ昇り詰めたサラリーマン社長ですから、日本の労働者の流動性が悪い問題に対して、（国の）仕組み全体の改変などに興味を持たず、（自分の会社）目の前の作業の改善に注力し、与えられた仕事（自分の役員任期中だけ）を黙々とこなすことを行って来ました。

一方で法人は、国の方針が変化した際にはいち早く右え倣えをする習性から、今後は「働き方改革」の名の下に、判子文化の見直しやテレワークの定着など、これまでの慣習の撤廃と併せて業務改善やリストラが行われる可能性があります。

テレワークは、ホワイトカラーの生産性を明確に記録することなり、戦略的弱者を装うおじさんたちは、数字で特定されてしまうことでしょう。

令和のサラリーマンは、プロジェクト型の仕事も増えるでしょうし、副業も解禁されてくるでしょうから、働かないおじさん化することは難しいでしょう。働かないおじさんも、昭和の歴史とともに、都市伝説として消えていく運命かもしれません。

今回は、ちょっと辛口でしたが、しごと考　日本人の仕事はなぜ生産性が低い？と題して書いてみました。生産性の向上は、日本の企業そのものがアイデア勝負の企業へと変貌することで向上していくのかもしれません。まっつんが、令和という時代に期待していることの１つでもあります。

皆さまの少しでもお役にたれてば幸いです。

次回もよろしくお願い致します。

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https://mangahack.com/comics/3165

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