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君の名は。の世界 中編

 すっかり流星群に魅せられた私は、何やら星が綺麗に見られると聞く神津島へ翌年に卒業旅行も兼ねて行きます。友人を誘って行ったのですが、私たちは地球の本当の姿を目の当たりにしました。

 格安フェリーの雑魚寝で14時間、鬼の船酔いの中同着した島は、綺麗な青色をした海と反り立つ岸壁、白い浜

『ジュラシックパークかよ』

 思わず声が出ました。民宿の女将さんが車で迎えに来てくれて、宿へ。オンボロレンタカーを借りて、いざ散策へ。
 集落はとても小さく、コンビニはありませんが、何故か100均のCanDoがありました。冬のオフシーズンに行ったので、海に入ることは出来ず、ひとまず散策を終えたら食事をして、お目当の星を夜まで待つことにしました。 仮眠をしていざスターハントへ。日中のうちに目星をつけていた場所に行こうと決め、相方と宿を出て絶句。

『え、なんで集落からこんなに星が見えるの、、、、?』

 前編で書いた「集落から星があんなに見えるわけない」がこの時覆りました。いわゆる本島から離れた島なので、夜空に影響する明かりが小さな集落の光しかないわけです。それにしても綺麗に見えすぎる。少し重たかった瞼は軽くなり、オンボロレンタカーに乗って第一スポットの公園へ。

 到着した公園はこの上ないほど漆黒に包まれ、海から吹く冬の暴風が体に押し付けてきました。あまりの寒さに嫌気がさしましたが、ふと視線を上に持っていくとそこには見たことないほど煌めく夜空が広がっていました。

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 「あれ、天の川だよなぁ!」、「うわっほんとだ!」
 なにせ冬に天の川は基本的に目視できないくらい薄いのです。それが見えるものですから興奮しないわけがありません。ちょっと車を走らせたここでこれなら・・・・・すぐに目をつけていたスポットに移動することにしました。

 相変わらず真っ暗な場所に着いて、カメラをセットしていると不思議なことに気がつきます。

『手元が見える、、、、?』

 まさかと思って空を見上げると、もはや先ほどとは比べ物にならないほど星が敷き詰められた夜空が、私たちの頭上に広がっていました。昔、Wikipediaで読んだことがあります。オーストラリアの砂漠では、星以外の明かりがないため、星明かりで影ができる、と。

 影はできませんでしたが、星明かりでわずかに手元が見えたのです。

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 あまりにも星が多いので、一番見つけやすいオリオン座でさえどこにあるかわかりませんでした。そして、何よりも、流れ星の数が半端ないのです。本当に星が降っていました。

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 いったいどれだけの星があったのだろうか。今まで見てきた星は、宇宙の中のほんの一部だったことを思い知らされたと同時に、自然が作り出す現象の美しさに心打たれました。夏に行ったら、どれだけすごい天の川が観られるのでしょうか。どれだけちっぽけな想像力で生きていたのだろうか。「君の名は。」どころの騒ぎではありませんでした。

死ぬまでに必ずもう一度行くことを決めました。寒さなどすっかり忘れ、しばらく星降る夜を堪能したのち、宿に戻りました。

 しかし、この島はまだ私たちを感動から休ませてくれませんでした。

 翌日に見た、荒れ狂う波に舞い降りる光のカーテンと、赤く染まる空。

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 神々の集う島、神津島。ここで出会った景色は生涯忘れることはありません。この時は流星に恵まれず、同年の夏に訪れる流星群を狙うことにしました。

 神津島編が盛り沢山過ぎて流星の話へ行きつきませんでした。

 続きは「君の名は。」の世界・後編でいよいよ流星群と対峙します。

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