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目的と目標について

こんにちは。まだまだ先だと思っていた2020年も、もう1月の後半に差し掛かり少しだけ焦っているマツです。文章を書くことに慣れておらず早速更新が滞ってしまっていますが、自分のペースで更新していけたらと思います。

新年が明けて、クラブの生徒達は2020年の目標を紙に書いて練習場の壁に貼り付けていました。

みんなが書いていた目標の用紙は次のような項目を埋めていく形のものでした。

・目的
・目標(大)
・目標(中)
・目標(小)

この項目分けを元にして、卓球を上達して結果を出すためにとても重要な、

『目標設定』

について考えていきたいと思います。

目標とは?(目的・目標・課題の違い)

学校教育やスポーツ教育の場面ではよく

「目標を立てて取り組みましょう」

といったことを指導されます。

しかし、この時の「目標」が具体的にどういったものなのか、指導者があまりよく理解していなかったり、理解していたとしてもしっかりと生徒に伝えられていなかったりすることが多いのではないでしょうか。まずは目標というものの定義から考えていきたいと思います。

また、目標と混同してしまいがちな「目的」「課題」といったものも、違いをはっきりさせていきましょう。

「目的」=”理想の姿”

目標設定において「目的」を考えることは非常に重要になります。
ここでいう「目的」とは、「卓球を続けていく中で最終的に目指す自分の理想の姿」と言い換えることができます。例えば、

・全国大会で勝ちまくる強豪選手になる。
・強い選手を育てる指導者になる。
・大会で結果を出して両親や監督に恩返しをする。
・Tリーグで活躍するプロ卓球選手になる。
・オリンピックに出場するような日本を代表する選手になる。

といったものです。卒業文集などに書く「将来の夢」みたいなものをイメージするとわかりやすいと思います。

目的について小・中学生がよく勘違いしてしまうのが、

「目的」=”目標達成した時のご褒美”

となってしまうことです。下の目標設定を見てください。(実際にあった目標設定をわかりやすく置き換えたものです。)

目標:全国大会出場!
目的:ディズニーランドに連れてってもらう!

一見、目的(ご褒美)のために頑張るいい目標設定のように見えます。
 しかし、よく考えてみてください。ディズニーランドに行くのに全国大会出場が本当に必要ですか?ディズニーランドに行っている人はみんな全国大会に出場していますか?そんなことありませんよね。全国大会出場とディズニーランドは全く関係がないのです。本当にディズニーランドに行きたければ、全国大会に出るよりも、毎日お手伝いをしていい子にしていた方が近道なのです。

目標と目的は必ず繋がっていなければいけません。目的を考えるときには、

・その目的は卓球をすることと繋がっているか
・卓球とは関係ないただの”ご褒美”になっていないか

をよく考えましょう。

理想と現実との差を認識しよう

将来の夢・目的を決めて心ウキウキ楽しい気分になっているところに、いきなり厳しいことを言っているようですが、これから目標・課題を設定する上でこの「理想と現実の差」を認識することは避けて通れません。

この「理想と現実との差」は課題解決の分野では「問題」と呼んで扱うことがあります。現状のありのままの姿と目的として掲げた理想の姿とのギャップ「問題」と呼ぶのです。

この「問題」を認識・分析するためには、

・現状の姿
・理想の姿

の二つを具体的に捉える必要があります。例えば、現状を知るために、

・自分の大会の成績をまとめてみる
・自分のプレーの映像を見る

また、理想の姿を知るために、

・自分の目指す選手の試合を見る
・目指している大会の観戦に行く
・どんな練習をどんな考えで取り組んでいるか情報を集める

などをすることで、自分がどれくらい成長しなければならないか、最終ゴールまでにはどれくらいの距離があるのか、などが少しずつわかってきます。自分だけでわからないときは監督やコーチに聞いてみるのも大切です。(指導者の方は理想や現状を具体的に知る機会を設けるように勤める必要があると思います)

「目標」=”問題解決の道しるべ”

目的が定まり、現状とのギャップを認識したところで次に考えるのが「目標」です。

「目標」の”標”の字は「しるし、しるべ」と読みます。この読み方の通り、目標とは、理想の姿にたどり着く(問題解決)までの道しるべと言えます。例えば、プロ卓球選手として活躍するのが目的だとしたら、そこにたどり着くまでの「全国大会に出場する」「全国大会ランク入り」「上の学年(カテゴリ)の大会でランク入りする」「国際大会に出場する」などが道しるべとなる目標になります。このときに意識するのが、

出来るだけ具体的な目標を適切な順序で設定する。

という点です。次の章で具体的な目標設定の仕方を見ていきましょう。

具体的な目標設定のコツ

前の章までで述べた目標設定ですが、より具体的な目標を設定するために注意するポイントをまとめていきます。キーワードは

・SMART(スマート)

”SMART”とは英単語の頭文字をとったもので、

・Specific(明確な)
・Measurable(測定可能な)
・Achievable(達成可能な)
・Related(目的と関連した)
・Timely(時期に合った)

を表しています。この五つのポイントを押さえた目標を設定することで目標が具体的になり、その後の課題発見に繋がります。詳しい説明はここでは省くので気になった方はググってみてください。
 目標設定をするときにSMARTを意識すると、

「全国大会に出場する」

という目標は、

「○月の県予選でベスト8以上に入って全国大会出場を決める」

となります。二つを比較すると下の方が「明確で」「測定可能に」なっていますね。時期をはっきりさせているので「時期に合って」いるかどうかも確認することもできます。具体的な目標を立てて道しるべがはっきり見えるようにしましょう。

目標が決まったら課題を見つけて取り組もう

今まで目的を意識して目標を設定してきました。最後に課題を設定して練習に取り入れていく段階です。卓球をしている皆さんにとっては、「課題練習」という言葉で聞き馴染みがあると思いますが、この課題練習の効果をより高めるために、課題について考えていきましょう。

「課題」とは、

”目標達成のために具体的に取り組むべきこと”

を表します。みなさんが設定した目標に対して、多くの場合は自分が不足している部分や、より強化しなければならない部分があるはずです。

・一つ一つの技術の完成度
(ミスしない、厳しいコース、質の高いボール、変化をつける、、、)
・技術同士の連携(ラリーの中での技術のつながり)
・フットワーク
・戦術面
・メンタル面

などなど、言い出したらキリがありません。これらすべてが「課題」になります。

「課題多すぎない??」

そう思った方も多いと思います。ここで意識すべきことが「優先順位」です。

もちろん多くの課題をクリアしていくことは大切ですが、全ての課題をクリアすることは現実的ではありません。優先順位をつけて、優先度の高いものからクリアしていくことが目標達成への近道になると思います。

優先順位のつけ方のポイントは大きく分けると次の二つが考えられます。

・試合で使う頻度の高い技術・戦術
・自分の今の実力より”少しだけ”高いレベルの課題

「フォアハンドの引き合いから急に前に出てカウンター」
「強打されたボールをロビングで粘り、バックハンドで引き返す」
「丹羽孝希選手みたいなカットブロック」

これらの課題(?)は、一試合で一回するかどうかの技術だったり、今の実力からかけ離れたレベルの技術だったりするので、二つのポイントを押さえると優先順位が下がってきます。自分の実力が上がってその課題に取り組めるようになるまで楽しみに待っておきましょう。自分でうまく課題設定をすることができない時は監督やコーチに相談するといいアドバイスがもらえると思います。(監督やコーチはいいアドバイスができるようにならないといけません)

課題の解決法=練習方法

自分が取り組むべき課題がはっきりしたら、課題解決に向けて練習に取り組みます。みんな大好きな「課題練習」です。

練習方法を考えたり、実際に課題練習をする中で意識したいのが次の

5W1H
・when(いつ)
・where(どこで)
・who(だれ)
・what(何を)
・why(なぜ)
・how(どのように)

です。その課題練習の内容は、試合の「いつ」「どんな場面で」「どんな対戦相手に対して」使うのか。「どんな技術・戦術を」「どうして(なぜ)」使うのか。またそれは「どのような点に」意識して取り組むとうまくいくのか。これらを意識して効果の高い練習をすると、高い目標は自然に近づいてくると思います。普段の練習で監督・コーチにアドバイスをもらってることと合わせて意識できるといいですね。

まとめ

長くなってしまいましたが、目的・目標・課題についてまとめてきました。

目標

・目的は”ご褒美”じゃない
・目標は”SMART”に
・課題の優先順位と5W1H

小・中学生にとってはなかなか理解しにくい話ではありますが、全国で勝てる選手を目指す上では必要になることだと思います。普段の練習を通して少しずつ分かってもらえるように工夫することも大切な仕事ですね。

最後に自分の目的・目標を発表して終わりたいと思います。

目的:教えている子たちが将来、卓球を通して学んだことを活かして
   それぞれが素晴らしい人生を送れるようになってもらうため
目標:卓球上達に必要な思考力、主体性、人間力を身につけ、
   中学卒業までに自分の力で実力を伸ばして
   目標を達成する力をつけてもらう

まだ始めたばかりで曖昧な部分が多いですね。それも含めて課題が山積みです。子どもたちと一緒に成長していけたらと思います。

読んでいただきありがとうございました。


参考文献:『問題解決の進め方』放送大学教育振興会
     『世界一わかりやすい問題解決の授業』ダイヤモンド社



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