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love letter / 怪~ayakashi~ 化猫

江戸時代のとある武家屋敷。当主の孫娘の嫁入りが行われようとしていたが、輿入れという時花嫁は無残にも惨殺される。おびえきった人々の前についに犯人が形を現す。そこには、その武家にまつわる、恐ろしい狂気の出来事があった。

アニメ「化猫」へ。


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中学生の頃に見ていたアニメをネットフリックスで見つけて、仕事も忘れて見返して、また泣いちゃった。息も上手く吸えない。そこにも化猫はありますが、今回描いたものは前日譚のほうの化猫。


こどもが、おんなが、弱い立場のものが、搾取される、殺される。むかしは、戦時中は、そうだった。なぁんて。

いまも、ずっとそうだって、コロナも言ってる。弱い立場のひとたちはずっと言ってる。

その細くて小さな鳴くような声を、ご都合よくすり替えてきたのはいつだって立場の強いものだった。

わたしは家父長制のつよい家に生まれて莫迦キレて家出。デザインや広告の仕事をするようになってから、ヘイトスピーチやフェミニズムについて学ぶようになりました。14年前は痛ましく悲しい化け物退治だと思っていたこの物語。こんなに見え方が変わるのか。中学生のわたしが見ていたのは、奪う側の、真。

改めてモノノ怪のほうも見返してみると、全編にわたって男(時に母など)の勝手によって自分を奪われる女が出てくる。ああ、昔はそうだと気づかなかった。いまこの作品に、再び出会えたことは何かの縁なのか。

モノノ怪は、弱き立場のものの念。かならずおまえの元に帰ってくる。

しかし現実は、制裁を与えられない方が多い。いじめは確認されませんでした。誹謗中傷のつもりではありませんでした。責任を痛感してお詫びします。不起訴。立件見送り。懲役1年。泣き、寝入。

真がこんなに簡単に塗りつぶされるなんて、あの頃は分からなかった。

化け猫がしたように、喰い散らすことが出来たなら、とか。少し考えてしまう。残念だけれど、それはどんな理があっても許されない。毎日のように加害者お咎めなしのニュースばかりで、身体の内側から腐れ溶けていくようなもどかしさばかり。目の前に無い何かが死ぬほど憎い。


ねこも珠生さんも解き放たれた。敷居を踏んで行ってしまった形が、何よりも救いだった。

しかしもう誰もいない。

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ここまで哀しく痛ましい物語で動けなくなりますが、エンディングで流れる元ちとせさんの春のかたみが、解毒剤のようにじわじわ広がるまでがこの物語の素晴らしいところです。

珠生さんがとても大切に守ってきたねこに、最期まで名前をつけなかったこと。最後までねこのら自由を望んでいたんだろうな。


あとは些細な感想ですが、
モノノ怪の"鵺"にて、『香は聞くもの…』というセリフにめちゃくちゃ心躍った中学時代も思いだした〜!!香は!!聞くもの!?なにそれ言ってみたい!!なら買いな!!香を探しに行くんだよあたし〜〜!!!

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