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「イネーズ」風吹く世界の中で その3

「ひと」が割と来るようになっていた。それは「おれくん」たちのところも、「わたしちゃん」たちのところにも。

俺は動ける「ひと」に少し興味があった。

「わたしちゃん」たちのところに来る人は「いろんなものをあげていた」なにかよくわからない「つぶつぶ」のものだったり「えきたい」だったり。

「わたしちゃん」たちはそれを受け取って嬉しそうにしたり、自分のために使ったりしていた。

かと思えば「おれくん」たちのほうに来る人は「あんまなんもしない」人のようだった。

「なにもしない」とはいうものの「会話」はしていくようで話しかけられたりはする。

「どう?調子は」

「まあまあこんなもんじゃないかな?そっちはどうよ」

「まあぼちぼちかな」

なんとも取り留めのない会話である。

でもそんな会話でも「水多くない?」とか「足元の調子どう?」とかそんなことも聞いてくる。

俺は素直に答えた。

「とくに困ってることはないよ」

そういうと「なにもしないひと」は満足そうな顔をして笑っていた。

逆に「わたしちゃん」たちのところに来る「ひと」は「基本的に無口」のようだった。

特に会話もない様子で、「無口」ではあるが「ひつようなもの」っぽいことをしているようだった。

「これから困るかもしれない」そのために「なにかしてる」様子だった。

俺たちはそういった「ひと」の動きをみながら、時折会話をしながらも

変わりゆく風景を目にしながら、風の赴くままに過ごしていった。

でも、何をもらっているのか気になったからまた明日にでも「わたしちゃん」に聞いてみようかな。

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