「イネーズ」たくさんの世界の中で その3
「おれくん」たちの足元には「住人」が沢山いる。暇な時おれはだいたいその住人と会話することが多いのだけれど、
その中で「ひと」に「かえる」と呼ばれている生き物がいる。
そいつと俺は話をしていた。
「普段なに食べてんの?」
おれは唐突に聞いてみた。
「んん?ああ、ぼくのことを呼んだ?」
かえるが振り向いた
「まあいろいろだよ、飛んでるヤツだったり「おれくん」に付いたヤツを見つけて食べたりしてるよ」
かえるは続けた。
「こっちの場所は時間がたっても住みにくくなるってことが無いようだからぼくたちの仲間は結構住み着いてるよ」
「他の場所は住みにくいのかい?」
「うーんそうでもないんだけどなんだろうね、生きていけないことはないんだけど、生きられるスペースが少ないんだよね他の場所は」
「ここはそういうの関係なくそうなってるからみんなあつまってくるんじゃないかな?」
俺は気になったから聞いてみた。
「俺に付いてるヤツを食べるって言ってたけど、そいつらはおれをかじるんだよ、そういうヤツから俺を守ってくれてるってこと?」
かえるくんは苦笑いしていた。
「そんなわけないじゃん」
俺は少しびっくりしていた。
「まあ、結果としてはそういうことになるんだけどね。そういうことじゃないわけさ。ぼくたちはぼくたちが生きるためにしている当たり前のことをやっているだけだよ」
「だから、ここがぼくたちにとって住みやすいってだけだからここに居ていろんなの食べて暮らしてるんだ」
「そういう仲間は沢山いるよ」
なるほど、そういうことか。
俺は少しだけ納得して、カエルくんが立ち去る背中を眺めていた。
時期は7月に差し掛かろうとしていた。この時期くらいから「おれたち」「わたしちゃん」たちに見た目の変化が訪れる。
それは生き物にとってとても大事なこと。
そう「世代交代」である。
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