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「カレンちゃんのお花畑」第二章 望みにて

そういう疑問をカレンちゃんは持つようになった。

これは決しておかしい感覚ではない

記憶に有るだろうか?

意味もなく夜の暗さに怖がっていた子供の頃や

水に顔をつける恐怖心。

もしかしたら忘れてしまっているかもしれないけれど

大人になって「気にしなくなる」ことと

子供だから「気にすること」の差異

今のカレンちゃんの感覚はそれに近いのだろう。

次の日、カレンちゃんは前の席の「ノゾミちゃん」にいろいろ聞いてみた。

「ノゾミちゃん、これは何に見える?」

そう言うとカレンちゃんは「黄色い絵の具で書いたひまわりの絵」を見せた。

「え、ひまわりじゃないの?よく描けてるね」

ノゾミちゃんはそう言った。

じゃあこれはどう見える?

カレンちゃんは休み時間に塗った人差し指の黄色を見せた。

「それはカレンちゃんの指に黄色が付いてるなっておもうよ」

ノゾミちゃんは少し笑いながら言った。

「そっか、、、これひまわりに見えないのはノゾミちゃんもなんだね」

ノゾミちゃんは少しキョトンとしていた。

「普通は見えないんじゃない?だってカレンちゃんの指は黄色じゃないもん」

カレンちゃんははっとしてすぐに反対側の指をだしてこう言った。

「こっちの指は何に見える?」

ノゾミちゃんは笑いながら答えた

「だから、それはカレンちゃんの指にしかみえないよ」

「そっかぁ・・・」

カレンちゃんは少し考えた。

「ん?」

自分の指に黄色を塗ってもそれは自分の指

黄色を塗って無くても自分の指。

じゃあこの黄色はなんなの?

黄色が有っても無くても「私の指」には違いないのはノゾミちゃんのいうとおりなんだけど

じゃあこの黄色ってなんなの?

私の指を変えるほどの力はもってない黄色なのかな?

もし、ひまわりが白だったら?白だったらひまわりじゃないのかな?

もし「本物の黄色」というか「ひまわりの黄色」を塗ることができれば

それは本当にひまわりの綺麗さでてくるのかな?

カレンちゃんの望みはそれなのかもしれない。

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