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「イネーズ」風吹く世界の中で その1

5月になって環境が変わろとしていた。

これからもっと大きくなるためにもっと水と食べ物が必要になってくる。

そのタイミングでだいたい俺たちは別の広い場所に移される。

俺たちが移されたのは水の張ってあって地面がやや硬い場所。

地面に穴を空けられて俺たちはそこに入れられた。

いままでより足元が硬いからより一層力が必要になり根を強く出そうと努力していた。

そんなこんなをしているとまた隣から声が聞こえてきた。

声の主は「わたしちゃん」たちである。

「やっと広い場所にでれたね」
「そうだね、これでやっと根を伸ばせるね」
「うん、地面も柔らかいし、根を伸ばせるね」

どうやら向こうの地面は割と柔らかいようだ。

しばらくして時間が立つと「おれくん」も「わたしちゃん」も地面に定着した。

見た目はあまりかわらなかったが、よく見ると前の場所にいた影響のせいなのか、

「おれくん」たちの葉や根は太い。

「わたしちゃん」たちの葉や根は細かった。

それと、お互いの場所には「ひと」が来ていた。

俺たちは自分たちで動けないからこの「ひと」にこの場所に移してもらった。

移されてからというもの「ひと」は来るのだけれど

基本的に

「おれくん」たちのとこに来る人は「みてるひと」

「わたしちゃん」たちのとこに来る人は「なにかしてるひと」

だった。

「みてるひと」はほんとに「見てる」ことが多く、あまり俺たちに何もしない。写真を撮るくらいだった。
「なにかしてるひと」はなんか忙しそうに蒔いたり、測ったりとかしていた。

しばらくすると「わたしちゃん」たちから声が聞こえてきた。

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