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【ショートショート】 #43 こちら青春消費課担当、田辺です。

「はい、もしもし。こちら青春課です・・・はい、はい・・・わかりました。では消費課の方へ回しますね」

 私はその電話を受けとるといつものように声を変えて対応した。

「お電話変わりました。消費課担当の田辺です。今日はどうされましたか?はい、はい・・・」

 なるほど、いつもと同じ内容だ。青春という時間を消費してしまった。だから取り返したいと。電話をしてきた少女は泣いていた。彼女は約7年間、吹奏楽に打ち込んできたらしい。でも今日のコンクールで見事に落選。彼女の時間は空に消えた。

「それは・・・お辛いですねぇ・・・ではこの後はどうしますか?時間を取り戻すことはできませんが・・・この後に進むことはできます」

少女は「えっ」と驚きの声を上げていた。

「青春をそのように消費された方たちにはこちらで新しい新天地へのご案内をさせていただいております。その土地の名前は・・・」

私は電話を切るとため息をついて時計を見た。お昼の時間。

 弁当を取り出してパクついていると同僚が席にやってきた。

「さっきの女の子。どうだった?大丈夫そう?」

「・・・もごもご、うん。大丈夫だよ」

同僚はペットボトルを眺めて少し笑った。

「そうね、電話をかけてこの課に繋がれば大丈夫よね・・・隣の課に繋がったら大変なことになるけど」

隣の課は「青春浪費家だ」

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