「イネーズ」風吹く世界の中で その4

「わたしちゃん」たちが「もらっているもの」がすごく気になったので聞いてみることにした。

「ねえ、「わたしちゃん」たちの所にくる「ひと」は何をくれるの?」

「え?「おれくん」たちは何ももらってないの?」

向こうはびっくりした様子で聞いてきた。

俺も目を丸くした。

「あ、もらうものなの?」

「え?じゃあどうやって過ごしてきたの?食べ物もそうだけど、病気とかまわりに邪魔なものが生えてきたりとかしちゃうじゃない」

俺はまた目を丸くした。

「そういうのをなんとかしてくれるものでしょ「ひと」って」

俺は少し戸惑った。

でも、そういう「俺が戸惑ったこと」は「わたしちゃん」達の中に

「答えがなさそう」ということもなんとなく感じていた。

「隣の奴」に聞いても適当にあしらわれるかもしれないから、俺は足元の住人に聞いてみることにした。

「ねえ、足元の住人さん。教えてほしいことがあるんだけど」

そういうと「足元の住人」は少しびっくりしていたが「なに?」と返してくれた。

「「わたしちゃん」たちは「ひと」からなにかをもらってるみたいなんだけどそれって必要なものなの?」

すると意外な答えが帰ってきた。

「うーんと、必要かどうかはわからない。逆にぼくたちなんかはその「くれるもの」が割と苦手でこっちに来たからね」

足元の住人はつづけた。

「ぼくたちは・・・そうだな「ひと」に名付けられたのもいるけどだいたいひとくくりにして「むし」とか「いきもの」っていわれる」

「ぼくたちが君等と決定的に違うのは、「移動ができる」ことだからね。ぼくらにとってより良い方へいけるからね」

ふと、疑問におもった。

向こうは変な話「なんでもくれる」場所だ。

俺からしたらそっちのほうがいい場所のように思えた。

「え?なんでもくれるから向こうのほうがいい場所じゃないのかい?」

そうきくと「むし」と呼ばれる住人はこう答えた。

「そうでもないんだよ、その理由はね」

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