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お化けの苦労

 この家に待機し始めて、かれこれ10時間。私たちにも疲れが出始めていた。玄関担当と励まし合う。
「家主が帰宅する。君が物音を立て、私がすすり泣く。これで怖がらない人間はいない」
 満を持して玄関のドアが開かれた。玄関担当が物音を立て、私がすすり泣く。よし、完璧だ。
 しかし、家主は怖がるどころか玄関担当の足を掴み、私の髪もむんずと掴む。
「家賃も払わない奴は出てけ!」
 私たちは窓の外へと放り捨てられた。

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