●200字小説「弁償」
弟のブタの貯金箱を割った。漫画を買う金が足りなかったから。そして悪事はすぐにばれた。
「元に戻せ」
盗んだ六百円を差し出す。
「違う! ブタの方!」
しかし、ブタは粉々。
「ブタの弁償代五百円を払え!」
手の中にあった五百円玉を渡す。弟は満足気に頷く。
「許す」
弟はまだ四歳。金の価値をわかっていない。弟はブタの貯金箱の方を気に入っており、中身の金はおまけなのだ。
とにかく僕の手の中には百円玉。これで漫画が買える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?