●詩「虚像」

私の家の鏡の中には
いつも知らない誰かがいる
昨日は老婆
一昨日は少年
先週は誰だっけ

今朝は若い男がいた
たくさんの欲望を溜め込み
目をギラギラと光らせ
腕の筋肉はモコモコと動いている

鏡の端には美しい女がいた
こんなことは初めて
だから若い男と美しい女は結婚した
何度目かの朝には二人の子どもがいるのだろう

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