サービス化するつながり 4. 何がつながりをサービス化させるのか
従来の友情がサービス化したつながりに置き換えられている背景には、どのような社会的な要因が存在するだろうか。今回は、つながりのサービス化の要因の全体像を確認する。なお、各要因の詳細については別の記事で個別に説明する。
つながりのサービス化は、「つながりの知覚機会費用の上昇」「つながりの代替可能性の増加」「しがらみの相対的苦行化」「長期的なつながり保持に対するインセンティブ喪失」「不干渉社会化による他者接続意欲の低下」の5つによってもたらされたと考える(図1)。
「つながりの知覚機会費用の上昇」「つながりの代替可能性の増加」はどちらも、「つながりの選択可能性の増加」を原因とする。つながりが選べてしまうがゆえに、この二つの要素が、つながりを人間的なものから資本主義に構成される商品やサービスへと転換する。
「しがらみの相対的苦行化」は、あらゆる物・事が効率化・無通化する社会において、その流れに乗れなかった人間関係の負の側面が相対的に強調されたことを指す。テクノロジーによる効率化・無痛化がなぜうまくいかなかったか、そしてテクノロジーがいかにしがらみを増強させたかを論じる。
「長期的なつながり保持に対するインセンティブ喪失」は、血縁・地縁の希薄化と社縁の多様化・流動化の中で、その時々に属する共同体でのつながりを大切にする誘因が喪失することによって生じた。社会関係資本や信頼の問題と関連付けながら考えていく。
最後に、「不干渉社会化による他者接続意欲の低下」は、たとえば「○○ハラスメント」といった、他者への加害性ある干渉に対する社会的な抵抗感が要因となっている。表面的な気遣いとやさしさが、いかに「やさしくないか」を考える。
この記事では各要素の概要を述べるに留まった。以降の記事で各要素の原因と影響について詳しく説明する。
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