サービス化するつながり 1. はじめに

これまで人間関係の基礎をなしていた血縁・地縁・社縁が崩壊を始める中、SNSをはじめとしたインターネットを用いたアプリやサービスが関係構築のインフラになりつつある。

現代では、人とのつながりの起点となるのは個人の利害や関心であり、それゆえに流動的、刹那的な性格を帯びる。現代人が嫌うしがらみからも脱し、自らの欲望に即した人間関係は、人々が希求した理想形の一つなのかもしれない。

しかし、そのような関係性はどこか空虚でつかみどころもなく、かえって孤独感を覚えることさえある。つながっているのに、つながっていない。目先の利害や関心に依拠した関係性は、その欲望を充足するための双務的な"サービス"にすら見える。その利害や関心以外については相手に期待されないという意味ではわかりやすくて気楽な関係性なのかもしれないが、反対にこちらも相手に期待することは難しい。困ったときに手を差し伸べてくれるかもわからない。こうした信頼なきつながりが、社会に、そして個々人の人生に、真の豊かさをもたらすことはできるだろうか。

こうした"サービス化"したつながりは、インターネットの普及を契機に、わずか20年余りの間に人間関係の在り方を急速に変えつつある。したがって我々は、こうした人間関係がもたらす副作用をまだ知らない。日々の不健康な食事が数十年にわたって体を蝕み、大病となるように、サービス化した人間関係もまた、長い年月をかけて人と社会を空虚なものに変容させる危険をはらんでいる。

このnoteでは、サービス化したつながりの要因と影響を恣意的かつ非論理的に論じ、あるべきつながりの在り方とそれに至る方法を考える。

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