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かつて“サラ金”の広告を担当した男が、のちに“過払い請求”の広告にも携わり、そのCMに声だけだが出演したハナシ。

まさか、ジーコに会える!?は、夢に終わったが…。

あれは、バブル崩壊後…だっただろうか。消費者金融の無人契約機が街にあふれだした頃。当時、小さなデザイン事務所ではあったが、パナソニックをはじめ、それなりにいい仕事をさせてもらっていた。ある代理店から、まだ極秘ですが、レイクの広告にジーコ(!)が出演するので、その新聞広告を制作してほしい!という依頼。えっ、ジーコに会えるの!?と思ったが、コピーライターの私だけでなく、ADもデザイナーも撮影には立ち会えず。テーマに沿って撮影された写真と、こういう意図でコピーを書いてね!と。なんとかかんとかコピーを書き上げ、第一回目の新聞5段は掲載されたが、その後は…別の制作会社が制作することになった。はっきりした理由は聞かされないままだった。

無茶振りからタグラインが生まれ、バナーの方向性が決まった。

小さなデザイン事務所から、大きな代理店の系列会社へ。そしてまた、少数精鋭の広告制作事務所へ。そこで私担当したのが、過払い請求をやっている『アヴァンス法務事務所』だった。まさか、かつて一瞬だったとはいえ、サラ金の広告をつくっていた自分がねぇ…と思っていたら。一緒に仕事をする日本で一番有名な広告代理店D通のCDも、かつてサラ金の広告をつくっていた方だった。まぁ、しかし。そのCDは、無茶振りが多く。「まず、タグライン考えてほしいんやけどさぁ。社名が AVANCE やから、英語で書いてさぁ、あと2つ A で始まる単語を入れてさぁ、トリプルA みたいになるさぁ、できるやろう!」って。えっ!?とは思ったけど、すぐに浮かんで、ササっと書いて、「ネイティブチェックだけはしてくださいね」とメールして…「えぇやん、これで行こう!」となり、クライアントからもOK!が出たのがコレ。

※現在も、このタグラインとロゴセットが使われています。

タグラインにインスパイアされたADが、ロゴに「A.」を絡めてデザイン。そこから、じゃあバナーは「Q. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」といった具合に、借金で悩んでいる人の質問であれこれ展開しよう!ってことに。クリックしたらホームページに飛び、「A.」が浮かび上がり、その答え=アヴァンス法務事務所の“解決策”が提示されるという構成。

そこから話は進み、本題のCM制作へとなったが、まさか…

そして、いよいよCMを…とはなったものの、天下のD通だし。しかも、かのCDはCMをバンバンつくっている人だったから。制作に携わってよ!と声はかからないだろう…と諦めていました。ところが、どっこい、意外な参加要請があったんです。「松原さんさぁ、消費者金融に金を借りてるっぽい声してるからさぁ、出演してよ!」…って。おいおい…とは思ったけど、CMの現場に!ということ、そしてノーギャラとは言え、全国ネットに自分の声が流れる!ってことで、そりゃ出ますよ。ま、予算が少なかったから…が大きな理由で、もう一人の出演者は、アヴァンス法務事務所の女性社員でした。私たち素人二人の声録り。プロのナレーターの録音。そして映像となる街の風景撮影。なんとかCMは完成したものの、O.Aは…1か月ほどで打ち切り。クライアントが求めていたものはレスが上がるCM。できあっがたのは…どちらかと言えば、かなりイメージ寄り。そりゃ、打ち切られます。ただ、YouTubeで、今も見ることができます。で、見てみると…というか、聴いてみると…とんでもない棒読みです…私。この棒読みのせいで打ち切られたんじゃないか!?ってほど。トホホです。

「サラ金」と「過払い請求」。相反する(?)クライアントの広告に携わった男は、そして思い出した。20代の頃、J、N、T、3つの会社のハワイ旅行パンフレットを同時につくっていたことを。デザイナーは別々だったのに、コピーライターは私一人だった。さらに思い出した。30台の時、電力会社とガス会社の両方を受け持っていたことを。一方で、「時代は、ますますオール電化!」と書き。他方で、「比べてみれば、やっぱりガス!」なんて書き。う~~~~ん、なんなんでしょうね?コピーライターって仕事は。とかなんとか言いながら、今なお、私はコピーライターを続けている。
当時、一緒に仕事をしていたデザイナーさん、営業さん。今も元気かなぁ?

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