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silent、堪能。

ドラマ『silent』が終わってしまった。

このドラマは、綺麗で、まっすぐで、最終回は気持ちが浄化されたような気分になった。

見た直後からずっと気持ちが落ち着かず、このドラマを見ていたママ友も周りにいないため、ドラマへの気持ちを吐き出す場所がなかった。

先日、全くsilentを見てない旦那にぶわぁーっと話を聞いてもらったら、
わたしの熱量に若干引いていて、
もうここに書くしかないと思った。

この場をお借りして、ドラマの感想を書きたいと思う。

ここからは、slientの最終回を見てない人はネタバレになってしまうし、まるで興味がない人は「この人だいぶ熱入ってんなぁ」とひいてしまうかもしれないので、そんな方達はここでお引き取り頂くことをオススメする。

普段は、適応障害で休職していた旦那との普段の生活をメインに書いているので、また遊びに来てもらえたらとても嬉しい。

見事な伏線回収だった

わたしは、このドラマを初めは見ていなかった。
Twitterで話題になっているのを知って、途中からからTverで追いかけて見るようになった。

だから、どのシーンも記憶に新しく、想くんが舞台で作文を読む学生の時の2人の出会いや、プレゼントにイヤホンを交換し合ったシーンなどは印象的でしっかりと覚えていた。

ドラマだなぁ、素敵だなぁ、と思っていた。

そこであの最終回。もう、胸を掴まれた。

彼らの思い出がキラキラ残っている学校。
作文を呼んでいる想に心を奪われていた紬は、
3年生で想と同じクラスになって、
2人で黒板の前で話すところから最終回は始まる。

ここで初めて、想に下の名前を呼ばれた紬。
何度も聞きたくて、さりげなく自分の下の名前をもう一度引き出そうとする。
紬の思惑に気づき、ニヤッと笑った想が、紬をよぶ。
想に近寄る紬。
ここでいったん、場面が変わってしまう。

「この時、なにがあったんやろ?」と私は思っていた。

そして、そこから今の2人のシーンになる。

紬の声が聞きたい、聞こえる人が羨ましい、自分にはどうすることもできない思いが想の中にあって、大事な紬を傷つけたり悲しませるくらいなら、離れた方がいいと別れの選択肢がチラつく想。

辛いことからは誰だって逃げたい。
逃げた方が、自分も傷つかないし、
自分を守りながら暮らすほうが、誰も傷つかなくていい。

これでいい、と、今までもたくさんのことを諦めてきたんだと思う。

想は、今回も紬を諦めようとしていた。

紬は、迷う。
このまま、想くんの希望に沿ったほうがいいのだろうか。
自分の気持ちはどうなのか。

その後、高校のこの黒板の前で、今の2人が今後について話し合いをする。

きっと、2人とも冒頭の思い出もリンクさせながら、自分と相手に向き合っていたこのシーン。

声はなく、黒板に筆談し、手話で言葉を交わす。

このシーンに、なんだかジーンととしてしまった。

筆談と手話の、静かな会話が続くこのシーンを見て、

声から発する言葉のコミュニケーションって、そんなに大切じゃないような気がした。

どんなツールでも顔を見てしっかり会話すれば、
声は一つの手段にしかすぎなくて、
声はあってもなくてもいいんだなと思った。

向き合った結果、2人は関係を続けることになるのだが、
ここからの伏線回収がすごかった。

昔イヤホンを交換して笑い合ったように、
今はカスミソウを交換して笑い会い。

学生の時、黒板の前で想くんが紬を呼んで内緒話で話したように、
最後イルミネーションの前で内緒話をして笑い合う2人。

なによ、内緒話なんて!なんて言ってるのよ!と悶々としたけど、
スピッツの魔法のコトバの曲の歌詞のように『魔法のコトバ 2人だけにはわかる』

2人だけにはわかる。それでじゅうぶんだとも思った。

わたしは、想は、「紬」て下の名前を呼んだんじゃないかな、と思っている。34歳(専業主婦)は、そんなことを考えてニヤニヤしている。

ヒゲダンの曲もピッタリだった

言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたくても
夢中になればなるほどに 形は崩れ落ちて溶けていって
消えてしまうけど
でも僕が選ぶ言葉が そこに託された想いが
君の胸を震わすのを 諦められない
愛してるよりも愛が届くまで もう少しだけまってて
(Subtitle/Official髭男dism)

言葉って発したらすぐなくなってしまう。

夢中になればなるほどに、自分のことだけ考えて発した思いは消えてしまうけど、

時間をかけて紡いだ思いは、愛してる一言いうよりも愛が届くはず。

紬は、想のために手話をならって、時間をかけて言葉を目に見える形で表現した。

想にはその愛が通じた。

紬がカスミソウをみて『雪の結晶みたい』と述べていたが、目に見える形で表現したことをさらに表してるような気がした。

視聴者が好きに考えられるように、わたしたちに見方を託してくれるようなドラマで、とても楽しめた。


周りの魅力的な友達たち

このドラマは、メインの2人を取り巻く人たちも全て魅力的だった。

紬の元カレで想の親友の湊くんは、優しさの塊。大切な人を大切にしたいと思える、素敵な人。

紬の手話の先生の春尾さんは、素直でまっすぐで、なんだか軽く生きてるように見えるけど、その力のぬいた感じが心地よくて。だから、みんな関わりやすいんだと思う。

紬のお母さんは、紬にかける言葉が響く。別れる時は思い出を全て投げつけておいで、とか、投げつけれなかったからお別れしない方がいいよ、とか。昔のわたしも知りたかったなと思った。

紬の弟も、紬の親友の女友達も、みんなが紬の幸せを願ってる。

想の家族も、想の変化に戸惑いながらも、一緒に歩んでくれる心強い存在。

想に思いを寄せていた奈々ちゃんも、はっきりとした性格だが嫌味がなくて、嘘がない分言葉が響いて魅力的だ。こんな友達が欲しいなと思う。

このドラマは、みんなお互いを思っているところが綺麗で、自分自分してないところに気持ちの余白があって、それぞれがみんな素敵な生き方だなと思った。


顔を見て話すことが大切だときづかせてもらった

このドラマをみてから、私が気をつけるようになったこと。

それは、相手の顔を見て話すことだった。

奈々ちゃんが、春尾くんに渡した手紙の内容に、「顔を見ないで話せたらよかったんだけど
手話ってこういうとき不便なんだね」というような文があった。

わたしは、ハッとした。

そうか、私はイライラしたら、旦那くんの顔を見ずに話をするときあるよな。
皿を洗いながら、声を背中で聞いて、返事を雑に返すことが、私はよくある。

でも、これはよくないコミュニケーションだなと思った。

このドラマは、手話を介して話すシーンも多く、みんな顔を見ながら会話をしているのが印象的だった。

はじめに想が、紬に思いの丈をぶつけてた手話のシーンも、想の悔しさが顔から滲み出ていて、めちゃめちゃ怒っている気持ちが伝わった。

本音を隠すことは、時に関係を維持するためには必要かもしれないけれど、
雑に関わることは、相手を思いやっていないと思う。

イライラも、悲しさも、ちゃんと顔を見て返事をしようと思った。

わたしもそれなりに恋愛して、旦那くんは私が決めた大好きな人だったはず。

わたしも、わたしの口から出る言葉も、体から滲み出る言葉も、丁寧に発していこうと思った。


たくさんのことを感じたドラマ、silent。


私自身も浄化され、なんだか生まれ変わった気分だ。

明日から、自分に余白を作って、相手を思いながら、言葉を大切に、人と関わっていこうと思った。

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