今、全米に広がる抗議デモ・暴動 その背景を探ってみる
おはようございます。ドドルあおけんです。
さて、グローバル・未来の金曜日。昨年からのコロナ騒動で世界がつながっていることが可視化されましたが、世界で起きていることに関心を持ち自分なりの視点を持つことはこれから益々グローバル化する世の中にあってかなり大事ですね。
今回は、ミネアポリスで警官に殺害されたジョージ・フロイトさんの事件から、そこに至った歴史的な背景も含めていったんアメリカの人種差別というのを俯瞰してみたいと思います。
事件〜抗議デモのあらまし
5月25日、アメリカ中西部ミネソタ州ミネアポリスで白人警官が尋問中の黒人、ジョージ・フロイドさん(46)の首を押しつけて殺した犯罪行為を撮影した動画がSNSで全米、全世界に瞬時に拡散されました。
ミネアポリスでは黒人たちのフロイドさんを弔うデモが自然発生的に起こり、抗議のデモは今も全米140都市で繰り広げられているようです。
それに対し軍の動員も辞さずという、トランプ大統領の姿勢に反発する動きもあり、コロナと相まってかなりのカオスです。
暴動を止めようとするある黒人男性の切ない訴え
そんな中↓のようなTwitterの動画を見つけました。デモや暴動じゃなにも変わらない!と訴える黒人男性の訴えが切ないです。日本語字幕がついているので、彼のほとばしる激情をぜひ感じてください。彼の話を文字起こししてみます。
黒人(左):毎日誰かが殺されている!
黒人(右):わかってるよ!
黒人(左):この事件を知っていながら、お前はクソみたいな連中を見て、なぜ立ち向かおうとしないんだ!
黒人(右):わかっているよ!聞け!痛いほどわかるよ!お前、何歳だ!
黒人(左):45歳だ!
黒人(右):あんたが45で、おれが31だ。ってことは、あんたは俺よりも上の世代だ。
黒人(左):そうだ、俺はそんなに若くない!俺たちは肌の色が違うっていうだけで、親の代からクソみたいな扱いをうけてきた!いつだって俺たちは神さまが助けてくれることを祈ってたんだ!でも、誰も俺らを助けに来てくれなんかしないんだ!また腐った生活に逆戻りするんだよ!
黒人(右):わかってるよ!でも、言わせてくれ、(ここで近くにいた少年をひっぱってくる)こいつは16歳だ!まだ16歳なんだ!
黒人(左):来週にはやつらはこの子を殺しに来るんだ!どうすればいいんだ?
黒人(右):わかんねぇよ!でも、この暴動は間違っている!これじゃ、国が俺たちを殺しに来る!この国では、大統領は、暴動があれば撃つといっているんだ!
黒人(左):わかってるよ、わかってる!でも、今立ち上がる時だろうが!今、俺はここで死んだっていいんだ!
黒人(右):(45歳黒人と話すことをあきらめ、少年に語りかける)俺の話を聞いてくれ。お前が見てる景色、今見ているこの景色、これはまた10年後も起こる、その時おまえは26歳だ。(このままだと)お前は俺と全く同じことをしなければならない。わかるか?
黒人少年:わかるよ
黒人(右):10年後だ!お前はまたここにいるんだ!だから今16歳のお前にやって欲しいことがある。何かもっとよい方法を見つけて欲しいんだ!今の俺たちのやり方じゃ、何も解決しない。彼は45歳で今ここで怒っている、彼は31で今ここで怒ってる、おまえは16で今ここで怒ってる、わかるな?
黒人少年:(うなずく)
黒人(右):お前の身を危険に晒すことでは何も解決しない!お前やお前の友達たちは力をもっている。お前達は道を導き出せる。俺たちにはそれができないんだ!(絶叫)
黒人少年:(真剣な表情でうなずく)
黒人(右):俺には5歳の子どもがいるんだ!俺らにはできないんだ!4年前にもデモに参加した。そんときも今と全く同じことをした。全く同じことをだ! 毎晩!毎晩!毎晩!でも何も変わらない。もっとよい方法を考えてくれ!わかったか?(少年の肩を引き寄せ)生きろ!
僕にも同じくらいの息子がいます。ちょっと感傷的になってしまいます。はぁ。。
歴史を振り返る
Wikiにアメリカ合衆国の人種差別という項目があったのでコピペしてみます。
アメリカ合衆国(アメリカ)での人種差別は、多数派の白人(White Americans)・ヨーロッパ系(European Americans)・非プロテスタント以外の人種に対する差別が主であり、ヒスパニック・ラテン系、アフリカ系、アジア系、アラブ系(en)、ネイティブ・アメリカン、ユダヤ人(ユダヤ系アメリカ人)などもその対象となっている(反ユダヤ主義)。
南北戦争時代のエイブラハム・リンカーン大統領による奴隷解放宣言、ケネディ大統領時代のマルコム・Xやキング牧師による黒人差別撤廃運動に代表されるように、人種差別撤廃(Anti-racism)の動きは長い歴史を持つが、まだ完全に撲滅されたとは言えない状況にある。
2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件、2009年にバラク・オバマが米国史上初のアフリカ系の大統領に就任して以降(厳密には、オバマは黒人の父と白人の母との混血)、白人の異人種に対する反発が強まっており、人種偏見に基づくヘイトクライムが増加および過激化しているほか、異人種間結婚(白人と非白人の結婚)を認めるべきでないといった意見が出るなど、法律上の平等とは別に、差別感情の高まりを示す傾向が近年出始めている。またオバマの次の大統領であるドナルド・トランプになると、トランプ自身が差別問題に関し、無理解であることをほのめかすような発言をするなどしており、今後の情勢は不透明である。
振り返れば高校時代、1年間だけアメリカの公立高校に通ったことがあるのですが、大人はフレンドリーな人が多い一方で、学校の生徒たちは日本から来た英語がままならない僕に結構ストレートに敵意を表現してくることがちょこちょこありました。英語喋れないだったら日本に帰れとか、よくわからない事でからかわれて白人と喧嘩して顔面パンチをくらって鼻血を出したり(爆)
そんな経験から大人たちは表立っては言わないけど、子どもがこうなんだから、大人たちも多かれ少なかれ、非白人に対して差別感情があるんだろうな、というのは肌感覚としてあるんです。
リンカーンが奴隷解放とか言ってたのが、1800年代です。今回の事件、そして上の黒人男性の魂の訴えからもわかるように、解放とかいってから、200年たっても、未だに根強く差別というのは残っているわけです。
アメリカ人をバサッと分類してみる
超便宜的にアメリカに住む人を4つに分類してみました。貧しい、富んでるの軸と、白人と非白人の軸の2軸です。これはあくまでも個人的・恣意的イメージですのでご承知おきのほど。それでは、それぞれのセグメントを簡単に補足します。
右上:支配層
トップ1%と言われる層ですね。アメリカの政府=コーポレートアメリカという言葉がありますが、財務長官がゴールドマンサックスから来たりするので、アメリカ政府の言うことはウォール街などグローバル金融資本の意向が強く反映されていると思います。シリコンバレー系と政府の関係性というのはちょっとわからないので、どっかで調べてもよいかもですね。(トランプとザッカーバーグとかティム・クックとか仲いいんですかね?)
左上:出稼ぎ勝者
西海岸の大手のソフトウェア会社のCTOとかなんとかアーキテクトとかほぼほぼインドの方です。今のGoogleのCEOのサンダー・ピチャイとか1972年生まれのインドで生まれた人ですし、IT系中心に実力で駆け上っていく非白人系外国人もいます。が、まれですね。
右下:有色人種ヘイト
昔は豊かだった白人の中産階級ですが、移民大国としてどんどん海外から優秀な人材を集められITが発展していく一方で、工場などはどんどん海外に移転し、グローバル化の中で中産階級が消滅し、少数のものすごい金持ちと白人含めた多数の貧しい人たちに2極化しています。この構造は日本も踏襲していますね。誇りを持てなくなった貧しい白人たちは、人種差別によって自分たちのプライドをなんとか保つ、そんな側面があるように思います。マッチョな警官とかはここに陥りやすいのではないでしょうか。もちろん、そうじゃない人たちもたくさんいますが、わかりやすくするために、ということでご理解くださいませ。
左下:被差別最下層
差別はやめましょう、という建前はあるものの、黒人ぽい名前というだけで求人に対するエントリーがはじかれる確率がぐんとあがる、という調査結果があるくらい目に見えない差別があるのは事実です。それがあるからこそ、「俺たちは肌の色が違うっていうだけで、親の代からクソみたいな扱いをうけてきた!」「ここで死んでもいい!」というくらい45歳の黒人は怒っているわけです。日本は本音と建前がすごい、っていう話がありますが、人種差別という点ではアメリカのほうが本音と建前がすごいわけです。
以上、極端な4つの分類をしましたが、統治の基本は分断し、分断したもの同士を戦わせること、とよく言うので(誰が?)、支配層からすると、貧しくなった白人と元々貧しい黒人がお互いを攻撃することで、自分たちへの批判を避ける、という作戦をとってる可能性もあるように思います。
過去暴動に発展した事例
ということで白人といっても上と下で全く違う景色を見ている、という前提があった上で、これまで繰り返されてきた警官による暴行・蛮行と、それに対する社会の混乱いうものをいくつかピックアップします。
1. マイアミ暴動(1980年)
カーチェイスの末逮捕された黒人のセールスマンに対する4人の警官の暴行によって死亡した容疑者の情報を受け、マイアミで怒った黒人の一部が暴徒化し、暴動を起こすに至る。
2. ロサンゼルス暴動(1991年)
スピード違反をした黒人が逮捕された際に4人の警官から激しく暴行される映像がたまたま撮影されニュースで取り上げられたことから強い批判が起きる。その後、4人の警官は起訴されたが、1年後に不起訴処分になったことを不満に思った一部の黒人が暴徒化。6日間にわたって暴動・略奪などがおこり1万人以上が逮捕される事態となる。
3. ボルチモア抗議活動(2015年)
25歳の黒人青年が逮捕された際に暴行され、脊椎損傷で昏睡状態に陥り、後日死亡。このことがきっかけで警察署の前で大規模な抗議活動が展開され、それが激化。250名以上が逮捕される事態となる。
この手の話は僕がアメリカにいたときも警察が黒人青年を殺したという話がニュースで報道されていて、もうたまにあるというより日常的に起こっていて、日本では報道されないだけ、というほうが正しいと思います。
警官を見たら殺し屋と思え!?
最後は、その日常的な警官による暴行の話をニューズウィークで記事にしたハーバード大学卒のパックンの記事で見てみましょう。
「見た? アメリカの警察の、あのひどい映像。相手が武器も持っていないのに、あんなことするんだね~。ありえないわ~。」 最近こういう会話をよく耳にする。
何がすごいかというと、話題になっているのが「何の映像? 何の事件」ではなく「どの映像? どの事件?」と迷ってしまうところが、だ。
アメリカでの警察官による暴力事件が多すぎて、どれを指すのか分からない。
記憶に新しい事件だけでもこんなにある:
・14年7月、ニューヨーク――丸腰の黒人男性を窒息死させた。
・翌8月、ミズーリ州ファーガソン――丸腰の黒人青年を射殺。
・そして11月、オハイオ州クリーブランド――でおもちゃの銃で遊んでいた12歳の黒人少年が撃ち殺された......これは特に衝撃的で、警察が現場に到着してから数えて、3秒以内に少年が殺された。つまり、ここまでこの記事を読むのにかかった時間よりも短いってこと。早業すぎる。
・今年4月、サウスカロライナ州ノースチャールトン――交通違反で止められ走って逃げようとした丸腰の黒人男性に、背後から8発を撃ち込んで殺害。
・同月、メリーランド州ボルティモア――黒人男性(丸腰)を逮捕し手錠をかけ警察車両に乗せた。健康体だったはずの男性は、警察署に着いた時点で脊椎が損傷していて、一週間後に病院で死亡した。
・この6月、テキサス州マッキニー――プールパーティーをしていた10代の黒人青年を、銃を振り回しながら追いかけた挙げ句、ビキニ姿の黒人少女を投げ倒し、地面に顔を押し付けた。水着姿ということは、わざわざ「丸腰」と言うまでもない。
どれもここ1年ほどで、日本でも話題になった事件。これらの事件を羅列するにあたり、僕は何も調べずに思い出せる程度で書いている。記憶力の自慢じゃない。(昨日の朝ごはんは思い出せないぐらいだからね)。それぐらいアメリカの警察暴力事件が多いってこと。いたるところで起こっている。
これ2015年に書かれた記事です。5年前もこんな状況。たぶん4年前も、3年前も。そういうことなんですね。ここまで多発しているとたまたまぶっとんだ白人マッチョ脳足りん警官がやっちまった、という話ではないですね。
もちろん銃社会でいつ警察側も気を許すといつ撃たれるかわからない、という毎日がギリギリの精神状態の中で、徐々にやられる前にやらないと、俺にも家族が、ってなっていく気持ちもわからなくはないですが、人を逮捕するというより、虫を駆除するような事例がこのようにたくさん表に出てくると「親の代からクソみたいに扱われてきた」と憤る45歳の男性の言葉の意味が少し汲み取れるようになります。
この2015年、アメリカではたった5ヶ月間で385人の民間人が警官に射殺されたという。その間現場で射殺された警官は14人。警官のほうが少ない、多い、という話ではないけれど、自由の国アメリカにはこういう一面もある、ということを知った上で見るニュースと、知らないで見るニュースでは、意味合いが変わってくるので、できるだけ点だけでなく線で見る癖をつけたいと思います。
ということで今日のお話は以上です。
日報
・国民年金切り替え手続き(AM)
・ポケットWiFi契約(AM)→ノマド化完了
・オペレーションワークショップ(4PM)
・リーガル系の問題ディスカッション w.UK弁護士 (6PM)
・JPS&Co.異業種交流会 meet with シャーマン @海辺
明日は、ライフハック・教養の土曜日。いつ、なんで買ったか忘れてしまった行動分析学の本をこれから読んでみて何かか書ければと思います。
マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DXの木曜日
グローバル・未来の金曜日
ライフハック・教養の土曜日
エンタメの日曜日
それでは、今日もよい一日を。
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