AIが進化しすぎて人間の仕事がなくなる未来とベーシックインカムの話
おはようございます。ドドルあおけんです。
このnoteでは、月〜金日替りテーマでIT系のビジネストレンドなどをできるだけ噛み砕いてご紹介しています。
グローバル・未来の金曜日。今日は、未来学者マーティン・フォードが語るAIの進化によって職を奪われていく人間は将来どのように生きていけばいいのか、という問いに対してのビジョンを理解し心の準備ができる回となっています。
興味のある方は元ネタのこちらの動画(約15分)もどうぞ。
マーティン・フォード氏
未来学者のマーティン・フォード氏はどんな人なのでしょうか?アマゾンのサイトに彼の著作「テクノロジーが雇用の75%を奪う 」が売っていてそこにプロフィールが書いてあったので貼っておきます。
未来学者。ミシガン大学コンピューター工学部卒業、カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院でMBAを取得。
ロボットや人工知能、オートメーションの進化が社会や経済に与える影響を研究する。
自身もシリコンバレーでソフトウェア開発会社を創業、コンピューター設計、ソフト開発のキャリアは25年以上に及ぶ。
フォーチュン、フォーブス、アトランティック、ワシントン・ポストへの寄稿のほか、NPRやCNBCなどのラジオやテレビにも多数出演している。
コンピュータ工学とMBA両方勉強しているなかなかの経歴ですね。メディアへの出演も多いようなのでアメリカでは著名な学者さんのようです。
昔から語られてきた「新しい技術が職を奪う!」というウソ
「私達は仕事の無い未来に向かっているのか?」そんな問いから話は始まります。近年自動運転のような技術がどんどん進化を遂げるとともに、この質問に対しての関心が爆発的に高まっているのです。
例えば運転手さんでいうと、タクシー、バス、電車、飛行機と色々いらっしゃいます。一番複雑で自動化しにくいのが、一般の路上を走るタクシーでしょうから、そこが自動運転でいけます、って話になると当然ながらタクシー運転手さん含め、運転手、という仕事はAIが代替するようになります。
これまで歴史上何度もテクノロジーが職を奪うのではないか?という議論がされてきました。自動化が進みたくさんの人が失業する、という恐怖感は200年前のラッダイド運動(1811年から1817年頃、イギリス中・北部の織物工業地帯に起こった機械破壊運動)から始まり、何度も繰り返し蒸し返されてきたのです。
1964年にアメリカのリンドン・ジョンソン大統領に報告されたノーベル賞受賞の学者さん2人を含むチームが書いた報告書には自動化で数百万人の失業者が出るという内容が書かれていました。しかし、実際にそんな優秀な人たちが50年以上に書いたとおりの未来にはなりませんでした。
その後、この種の注意報・警報は何度も発令されてきましたが、結果としてすべて誤報に終わりました。この流れの中で次のようなひとつの通説が生まれてきます。
技術革新によって一部の産業が新しい技術によって破壊されることがあるけれども、同時にその新しい技術が新しい産業を作り、そこに新しい雇用が生まれる。だから、人々はより新しい産業の職種へと移っていくことで結果的に雇用は維持される、という考え方です。黒電話がなくなたけど携帯電話の事業が生まれるみたいな話ですね。
職を完全に奪われた馬
しかし、新しい産業に全く移れなかった労働者もいました。それが馬です、とマーティンさんは続けます。小笑いを取るところですね。マーティン、腕あります。
馬は1915年アメリカで2200万頭いましたが、1960年に3百万頭になってしまいました。10分の1くらいになっていますので、これが人間だったら大変です。
この後マーティンは、この馬の状況と同じように人間の労働力が将来のあるタイミングで供給過剰になってしまうことがあると思いますか?と挑発的な問いを立てます。
そんなことはありえないという反論があります。馬は馬。人間には知性があるから、新しいことを学べるし、新しい環境に適応できるので、常に新しいことを試し、探し、未来の仕事へとつなげていくことができる、というものです。
テクノロジーが人間の本質的能力に追いつき始めている
彼は次に、これまで何度となく誤報が続いてきましたが、今起きている機械学習をはじめとしたAIの進化は人間の本質的能力に追いつき始め、人間は馬と違うということがだんだん怪しくなってきたという話をはじめます。
ムーアの法則を例に取り、ここ数十年の情報技術の進化が指数関数的に(どんどん加速しながらってことですね)起こっていて継続していて、このペースでいくとあと10年、20年たつととんでもないびっくりするような未来が待っているということです。
もうひとつのポイントはAIがすでに学習能力を持ちはじめている、ということです。最も破壊的で信じられないくらい強力なものとして機械学習(マシーンラーニング)をあげています。
その事例として、グーグルが開発したアルファゴーという囲碁のソフトの話が出てきます。この囲碁ソフトが2016年世界最強の囲碁の達人に勝ったのですが、そのことが何を意味するか、ということです。
囲碁というのは、一手、一手取りうる選択肢を数えていくとそれは無限といっていいほど途方も無い選択肢で、可能な打ち手の種類は宇宙に存在する原子の数よりも多い(!)といいます。
この可能性を力任せの計算で乗り切ることはできません。パターンをシラミツブシにシミュレーションするというコンピュータお得意の方法が通用しないので、もっと人間の思考に近い洗練されたアプローチが必要なのです。
囲碁の世界王者が対戦中にどんなことを考えているのか、その思考プロセスを尋ねると、それは常にロジカルなものではなくて、しばしば直感的なヒラメキの要素が多く、どの手を打つかというのはかなりその直感に頼っているということがわかっています。
これが意味することは、囲碁の世界チャンピオンに勝つというのはいわゆる自動化というものとは遠くかけ離れたものだということです。
反復作業が中心の仕事が自動化によって無くなっていくというのは、なんとなく想像がつきますが、マーティンが指摘するのは、我々がクリエイティブだと思っているもの、人間にしかできない、と考えている仕事も囲碁のヒラメキの世界を既に攻略している機械学習の進化からすると人間しかできないという線の引き方が怪しくなってきているよ、ということです。
(2016年、AIに負けた世界チャンピオン)
未来の仕事とお金
これまで話したような状況をもとに考えると、我々の未来はたくさんの失業者や賃金の伸び悩みという課題に直面することが予想されます。
それが社会全体に強いストレスを与えることになり、仕事をして稼いだお金でモノやサービスを買うという資本主義の根本が揺らいでいくことになります。
この大きな課題をどうやったら解決できるのでしょうか?
マーティンはその解決のための選択肢のひとつはベーシックインカムにあるといいます。このままいくと富の配分は極端に偏り、たくさんの人が貧困に陥ります。
そうならないために最低限の収入を保証するベーシックインカムの考え方は非常に重要で世界各国でいろいろな取り組みが始まっています。
しかし、ベーシックインカムは万能ではありません。がんばっても、がんばらなくても同じ収入が得られるのであれば、みんながんばらないほうに向かい、かつてのソビエトのように荒廃しかねません。
マーティンが考えるのは、もう少しがんばり甲斐があるベーシックインカムで、例えば中学卒業した人よりも、高校卒業した人のほうが最低収入の金額があがる、とか、社会奉仕活動をたくさんするとその収入が上がるといったように自分の能力を上げるとか社会に貢献するといった前向きの活動に対して収入が増えるというカタチで報いるシステムです。
この問題を考え、解決に向かってどうできるか、が地球上に存在する問題の中で今後数十年で最も大事なトピックになるだろうという提言でマーティンは話を締めくくっています。
テクノロジーの進化と人類の幸福の最大化を両立させるというこのトピックは壮大でそのために明日何をやったらいいのか具体的にはわかりませんが、ここ数十年というのはそんなに先の未来ではないので、今から気持ちの準備くらいはしておこうと思います。
ということで、本日のお話は以上です。
日報
備忘録として。
・Ph.2資料作成(AM〜)
・P Ph.2 ディスカッションMTG(3pm)
・グローバル展開ディスカッション(4pm)
・Drug会@海辺
(独り言)あらたな出会い&JPS激励いただく。その後いつもの2軒目からのオサカナやさん w. Kさん
明日は、ライフハック・教養の土曜日。美術の先生の本を買ったのでそのことでも書こうと思います。これから読まないと。
マーケティングの月曜日
経営戦略・事業開発の火曜日
EC・ロジスティクスの水曜日
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の木曜日
グローバル・未来の金曜日
ライフハック・教養の土曜日
エンタメの日曜日
それでは今日もよい一日を。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?