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短編宝箱

〜あらすじ〜

昨年ツイッターで『短編宝箱』の試し読みしたら面白かったので
ウキウキで本屋さんへ行ったら間違えて
短編工場』を買ってしまい、
「うそでしょ!?!?」と思ったけど
『短編工場』も面白くてよかった。
後日『短編宝箱』を買ったものの、
色々(他の本、腰痛、手紙、漫画、粘土)あって、
最近ようやく読み終えた。
私はいつまでツイッターと言い続けるのか。

〜あらすじ終わり〜

序盤はミステリーや中年男性の話なので、
こんな話が続くのかと思っていたら、
『星を見ていた』から怒涛の夫婦と恋愛話になり、
振れ幅の大きさに困惑したが裏表紙のあらすじに、
『様々なジャンル——ミステリから時代小説まで——』
と書いてあった。よく読め。
全部面白かったけど『星を見ていた』と
『無言歌』がものすごく好き!!よかった!

『星を見ていた』は釧路のラブホテルの清掃員として、
朝から晩まで働く六十才の山田ミコの話。
ぎりぎりの生活で黙々と働くミコは、
自分の感情がわからず、言葉もあまり知らない。
様々な不運に見舞われるものの、
黙々と働くミコに周囲は優しい。
そんなミコに受け入れられないほど辛い事実が告げられ、
一人林の中で星を眺めるのだが、
ここのシーンがめちゃくちゃ悲しくて美しくて、
すごくすごくいいんだ。
北海道のしんしんとした空気が伝わってきて、
寒いというのはそれだけで物語になるな。としみじみした。
もしミコが自分の感情をわかっていたら、
もし感情を表す言葉を知っていたら、
周囲の人間の態度は違ったんだろうか。
ここまでの不運は重ならなかったんだろうか。
自分の感情がわからなくても、
たくさんの言葉を知っていたら表現できるのかな…。

『無言歌』も悲しくて美しい話で、
ハッピーエンドの真逆のような話なんだけど、
私はこのような「潔く散る」って話も好きなんだ。
忠臣蔵も討ち入り前にみんなでたすきをかける場面と、
切腹の控え室(?)の場面が好きだ(突然の忠臣蔵早口)

『眠れない夜。久しぶりの旅行。
のんびりしたい休日……どんな時も
寄り添ってくれるもの』と裏表紙には書いてあるのだが、
ミステリーと重い話と恋愛話で構成されているので、
眠れない夜にも旅行にものんびりしたい休日にも
あまり向かないと思った。
ツイッターのおすすめ欄で知らない男女が罵り合っているのを
ぼんやり眺めてしまう時に読むのが一番いいと思う。

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