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【31〜33日目】 生まれた場所へ
2024年3月27日(水)〜3月29日(金)
24:春分 72:桜始開(さくらはじめてひらく)
私よりはるかに大変なのは、異国で
それこそ本当にひとりで、慣れない難しい仕事をしなければならない夫
健康でフルタイムで働けさえすればなんとかなると
健康を失った私は誰より説得力を持って言うことができるから
「何からどう逃げてもいいからどうか無事でいてほしい」
と伝えて、小松空港行きのバスを見送りました
香林坊のバス停で、夫と別れ
思わずそのまま裏道に入り、聖堂に向かった
長町の武家屋敷街のはしっこにある聖霊病院
ここで私は生まれた
ひとりで生まれてひとりで死んでいく、
ひとりに戻った、ただそれだけのこと
それを思い知りたかった
シスターに挨拶をして表へ出て
子どもの頃からずっとある、ミスドへ入った
またひとりに戻った、戻っただけのこと
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でも、やっぱり一人より二人がいいよ
いつもいつも一緒にいるのがいいとは思わないけれど
そして喋りすぎないよう気をつけたほうがいいけれど
やっぱり喋る人がいたほうがいいよ
1か月間ひとりで暮らして
久しぶりに会って、心底思った。
お風呂に入っているあいだ、
部屋にはだれかいる
誰かが音をたててくれる
それがいまの私の基準だから、ひとりにはたぶん慣れない
明日からどんな日々になるのかいまだもって想像がつかない
車を乗り回しているのか
友だちなどいるのか
それとも、ただただ、毎日さびしいなあと言いながら、家で細々と仕事をしている、
そんな今日と何も変わらないのか
ひとり暮らしには夢も広がっていたはずなのに
「家族を招いて食事をしたり、東京から友達が遊びに来たりして
好きなものだけに囲まれた部屋」
なのに、私は虫の出る不安と、体の半身を失ったような寂しさに
ずっとさらされて、つかれてしまっている
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渡航前最後に夫が金沢に来てくれた。
夫に1か月ぶりに会った猫たち。最初はびっくりして逃げたが、1時間もすれば何事もなかったかのように夫にゴロンゴロンしていた。
他の人に会った時とやっぱりまったく違う。
ねこ、とりあえず1か月たっても覚えているぞ!
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