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衆院選比例ブロックの過去結果から、議席獲得な得票率をまとめ(④東京ブロック編)


まえがき

「衆議院比例代表の各ブロックの選挙結果(過去6回)から、1議席獲得に必要な得票率をまとめる」シリーズの第4回です。

衆議院における比例代表選挙では、
47都道府県を11ブロックに分割しています

比例代表はドント方式といって、一定の得票率を獲得することで1議席得ることができますが、ブロックによって定数が異なるため、
当選(1議席獲得)に必要な得票率も異なります。
各ブロックごとの状況を、過去6回分算出しましたので紹介します。

前回まではこちら


01.比例区東京ブロックの定数

東京ブロックの定数(当選枠)は、19議席です
前回第49回までは17議席、次回からは2議席増加します。

東京都だけが対象エリアとなります。

11ある比例ブロックでは、ちょうど中間に位置します。
前回までは北関東・南関東よりも定数が少なく難易度も高かったのですが、
定数が増加したため、北関東と同じ定数・難易度になります。

各地区の定数

1議席獲得のためには中間の難易度です。
れいわは既に前回の衆議院選挙で1議席を確保していますが、
次回以降は難易度も下がるため、1議席は確実に抑えたうえで、2議席目を目指すことになります。
(後述しますが、平均4.26%の得票が必要になります

過去の定数は17議席でしたが、
本ページでの分析は19議席だったものとみなして話を進めます。

02.比例区東京ブロックの傾向

02-01.過去6回の全党の得票数

過去6回(2005年の第44回~2021年の第49回)の全党の得票数です。

表1:過去6回(2005年の第44回~2021年の第49回)の全党の得票数

備考:表の読み方

表は左から、以下のようになっています。
◆過去6回の衆院選の回次と開催年
 下に行くほど新しくなります。
◆割る数
 ドント方式では、得票数を自然数で割った値を使用します。
◆政党名と各党の得票数、獲得議席と得票率
 [1]の値が実際の得票数であり、[2]以降は、得票数をその数字で割った値になります。
 (補足1)
 全ての政党で2.3.4….と割った値を算出して、以下のように色付けしています。
 (補足2)
 ・「民主党」として1まとめにしていますが、
  2014年までは"民主党"、2017年からは"立憲民主党"です。
 ・「維新」として1まとめにしているものは、
  2012年は"日本維新の会"、2014年は"維新の党"、2017年から再び"日本維新の会"です。所属議員は一部入れ替わっていますのでご注意ください。
[人]の値のうち、上側は当時の当選者数、下側は現在の定数12で計算し直した場合の当選人数です。

順位と当落

◆ボーダー当選の値と、前後の値
 ドント方式による計算によって、1議席獲得に必要となる「ボーダーライン当選の数値(つまり、最下位でもいいので当選するために必要な票数)と、その前後(「ブービー当選」「次点」)の値を示したものです。
◆有効票と1議席ボーダー
 ・「有効票」は、各政党が得た有効票の総数です。
 ・「1議席獲得に必要なボーダーライン」は、「次点の数値に1を足したもの」を「有効票」で割ったものになります。
 1を加算していますが、実質的にはほぼ無視できる差分になりますので、次点の得票率と近似します。
 (以前は「ボーダー当選の数値」を「有効票」で割っていましたが、変更しています)

02-02.過去6回の主要政党分の得票率と獲得議席

表2は、議席を獲得した政党+れいわ新選組などの主要政党分を抜粋したものです。

表2:表1を抜粋したもの

【注意事項】
49回までは定数が19ですが、
定数20をボーダー(最下位当選)とした場合
で計算し直した数値となります。
オレンジ
で記したものは議席が増える党です。
49回以前は18,19位は落選でしたが、50回からは当選します。

当選枠が少ない場合、1議席獲得に必要なボーダーラインは上がることになりますが、東京においては
最も低い得票率でも当選できたのが、2012年の3.97%。
最も高い得票率が必要になったのが、2021年の4.44%。
6回平均では4.26%でした。
なお、小政党が乱立するとボーダーが下がります。

02-03.読み解ける地域的特徴

表2で黄色・青色部分に着目すると、
自民党、公明党
でおよそ半数弱、立憲(民主)党など、その他の野党で残り半分の議席を分け合う状況です。
回次に関わらず、自公は7議席以上を獲得しています。

前回2021年は自民が6、立憲が4、公明が2、維新が2(19議席換算だと3)、共産が2、そしてれいわが1でした。国民は0でしたが、19議席換算では1議席取れています。

共産党は、6回とも1議席以上を獲得。直近3回の選挙では複数議席を獲得しており、公明党とも競っています(なお単独1位に志位委員長が長らく居座っている状況です)。
先述の通り、れいわが1議席を獲得し、0議席だった国民民主とは差が付きました。しかし定数増に伴って、そのままの得票率では議席に差が付かなくなります。
(ちなみに、お隣の北関東では関係が逆転するのと、定数は変化がないため、前回の衆議院選挙並みの得票ではれいわは議席が取れないため、差が付きます)

02-04.19位当選の得票数

表3は、表1における19位当選に相当する得票数を抜粋したものです。

この数値は定数を19としたときの最下位当選となる得票数なので、これより得票数が少なくても当選は可能です。
(次点よりも1票でも多く取っていれば当選はできるため)
17位で当選が必要だった前回までに比べると、2~5万票程度少ない得票でも当選できるようになります。


03.れいわ新選組の状況

03-01.れいわ新選組の得票状況

れいわの過去の東北ブロック内における得票率ですが、
2019年/参議院選挙は、458,151票/7.95%
2021年/衆議院選挙は、360,387票/5.59%
2022年/参議院選挙は、398,459票/6.32%でした

いずれの選挙においても山本代表の当落に影響する唯一のブロックであり、
(2019年の全国比例を含めて)立候補した全選挙に絡んでいる、ホームタウンです。

得票率としては21衆議院では2.4%ほど落とし、22参議院で再度0.7%上昇という変化です。
22年参院選については21衆院選から回復したものの、
19年参院選時のような票数は得られていません。

山本代表は、昨年の東京選挙区では
565,925票/9.0%で、ギリギリの6位当選でした。

2012の衆院選に東京8区から立候補して落選。
翌年2013年の参議院選挙では東京選挙区にて出馬して初当選。
(6年後の改選時に2019年から参院選(全国比例)→2020年に都知事選→2021年に衆院選→2022年に参院選、と4年連続で選挙に立候補しています)

詳細な分析は必要ですが、単純計算で選挙区(1枚目の投票用紙)に「山本太郎」書いた人が9%いたにも関わらず、比例(2枚目の投票用紙)に「れいわ(或いは比例の候補者)」と書いた人がその60%程度しかいなかった、と捉えることができます。

4.26%をターゲットにした場合、
過去の衆参の選挙結果ではいずれも1議席ラインはクリアしているものの、2議席(8.52%)にはまだ届いていないということになります。
2議席獲得のためには8.66%必要
であるので、
前回の参議院選比で2%以上の上積みが必要となります。

前回の衆議院選挙では1議席を獲得していますので、次回は2議席獲得が目標ですが、次回選挙では山本代表が出馬する可能性は低い(参議院の議席を1つ失うため)点は、1つ不安定要素でもあります。

03-02.れいわ新選組の候補者擁立状況

2023/08/25時点では
櫛渕万里共同代表が前回に続いて東京22区で立候補予定です。
櫛渕共同代表の他に4名が立候補を表明しています。

過去、東京ブロック内では、1名以上の候補者を出しています。
前回衆議院選では山本代表が比例単独1位、櫛渕氏が重複立候補で2位、他に重複立候補者1名と、比例4位の単独候補。計4名でした。
参議院では2022年は先述の通り山本代表が、2019年は元創価学会員がそれぞれ立候補しています。

選挙区に候補者を出した場合には比例票も確実に伸びるため、一定の相乗効果が見込まれます(実際に埼玉では効果が見られました)。
重複立候補の場合、小選挙区において10%得票できないと復活当選ができなくなります。
先の通り1議席は見込めることを考えると、取りこぼしは禁物です。

小選挙区に候補者を立てる場合、小選挙区は30区あります。
小選挙区も区割り変更に伴い、一気に5議席増加します
現職議員が基本的にいないこともあり(比例復活した議員が住み分けの為に移動してくることはある)、新区は狙い目といえます。

任期が迫っていた一昨年の衆議院選挙では、当初他にも複数名の候補者を予定としていましたが、直前には山本代表を含めた比例単独への変更やその他選挙区変更などもあり、最終結果とは大きな変化がありました。

今回はまだ任期が半分以上残っています。
解散は(支持率も低迷している現状では)当面無さそうですが、東京ブロックにおいては比例単独候補者の準備は後回しで構わないため(最後の手段でよい)、
2議席目を狙うとした場合、小選挙区の立候補予定者はそろそろ立てるべき頃でしょう。

東京においては乱立状態であり、野党系の候補がいる選挙区であろうと、れいわに限らず、どの党も遠慮なく候補者を立てる可能性はあります。
(すでに述べた通り、東京22区はこのままだと櫛渕氏含めて5名が立候補する予定)
全員が重複立候補になるとして、3~4名は立候補予定となるでしょうか。

自治体単位での得票率まではまだ調べ切れていませんので、後日更新することにします。

03-03.れいわ新選組の地方議員(書き込み中)

2023/08/20時点でのブロック内の地方議員は23名です。
都内は飛びぬけて多いです。

山本太郎代表の選出区(ホームタウン)として、首都圏には強いれいわ新選組の特性を色濃く反映しています。

23区内では、れいわ新選組公認候補で今年当選した方が15名、選挙前に入党し(公認扱いにはせず)当選した方が1名の計16名です。
23区外では、れいわ新選組公認候補で今年当選した方が7名です。

中選挙区となる政令市の市議選と異なり、区議選は一般市と同じ大選挙区制であるため、当選はしやすいです。
都内の選挙については、23/25名当選、当選率は92%でした。

ちなみに、23区の各区単位で小選挙区制・中選挙区制を取る都議選は、2年後の2023年7月に行われます。
前回2021年(衆院選の3か月前に実施)は3名の候補者を出したものの全敗。
複数選挙区で議席獲得を視野に入れておきたいところです。
なお、都知事選は来年2024年の6月です。前回は山本代表は参院選落選後だったこともあり急遽出馬できましたが、現在は議員の身ですし、任期を4年以上残す形となりますので、本人の再出馬の可能性は0と言って良いでしょう(あるとしたら、知事が任期を全うした場合に実施される2028年の選挙です。タイミングよく、山本代表も改選も迎えます)。


順次各ブロックについて考察を上げていきます。
候補者が発表され次第、本ページも更新予定です。

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