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子供とバチバチ火花を散らすとき
記憶力が悪いと昔から思い続けていました。
病の類いではありません。人並み程度の記憶力は持っていますが、記憶に対するコンプレックスを持っていました。
そんな私が自分の子供と神経衰弱を始めることになります。
子供はまだ幼稚園児。すぐに神経衰弱が出来るわけではありません。
「2枚ずつめくるんだよ。」
と教えても3枚も4枚もめくっていきます。
当然、順番も守りません。
まずはルールよりも好きなようにやらせてみようと、トランプの表裏を好きなようにめくらせます。
「同じカードが出たらアタリ!!」
と声をかけ続けました。
するとどうでしょう。
アタリを当てようと見る見るうちにカードをめくっては裏返すをやるようになりました。
今度は10枚からスタートします。
2枚めくったら次は私がめくると順番を教えます。
「順番守る。ズルしない。よく見る。よく覚える。」
その言葉を何度も復唱させます。
10枚が20枚に。20枚が30枚に。
そのうち子供の方から「16枚使ってやる」「22枚使ってやる」と自分から枚数を言い始めるようになりました。
「15枚でやる」「23枚でやる」と言ってくることもありましたが、実践して1枚余ることを教えます。
割り算なんてまだできませんからね。
そんな試行錯誤を繰り返していくうちに「全部使ってやる」と言うようになります。
ジョーカーを2枚を入れて合計54枚。
ようやくスタート地点に立ちました。
私が記憶力を気にするようになったのは、もう随分と昔の話、大学生の頃になります。
それまで自覚は無かったのですが友人によく「記憶力悪いよな」と言われるようになったのがこの頃だったように記憶しています。
なぜこの記憶が未だに残っているのかは不思議ですが、その頃から人の名前や新しい言葉など、記憶したいのにできないことが増えていきました。
人の名前は特に苦労しました。社会人新人の頃は社内でもよく間違ってしまうことが多く、名前を呼ぶ事を恐れてしまったこともあります。
記憶力が悪いことを周りに伝える事で自己防衛を取っていましたが、根本的な解決にはなりません。様々な記憶力に関するトレーニングを積みます。
しかし、どれも大きな効果を上げたものはありませんでした。
そんな私に転機が訪れたのは結婚です。大きく食生活が変わりました。
人の体は食べ物から出来ている。
この言葉を耳にはしていましたが、その意味をよく理解していなかったように思います。
妻のおかげもあって、普段口にするものが変わりました。有機食材、無添加な食べ物、質の良い油、適切な量の食事と食生活が変わったことで、長い間悩まされてきた記憶力に改善の兆しが見えるようになってきたのです。
食事が記憶力に関係しているかどうかはわかりません。もしかするとプラセボ効果のようなものかもしれませんが、良い方向に改善したのは間違いありません。
子供との勝負が始まります。
一枚一枚めくるたびに、あれ?10はどこだったかな…。1はどこだ?、6はどこだ?
そんな思いとは裏腹に子供はどんどんカードを自分の山に貯めていきます。
ゲームが進めば進むほど、その差は広まるばかり。
「パパの負け〜」
園児に負ける父親。
園児に悔しさを覚える父親。
食べ物が改善されたからと言って、長年思い続けてきたコンプレックスは重く重くのしかかってきます。
そう簡単には消えてなくならないものです。
父親は心に火がつきます。
「よし、もう一回だ!」
何度も何度も、連日のように神経衰弱に明け暮れる日。
子供には感謝しても感謝しきれません。
この連日の神経衰弱で僕の記憶力は以前に比べて遥かに良くなりました。
今では、トランプを2種類合わせて合計108枚の神経衰弱にパワーアップしています。
2種類のトランプが合わさることで、戦略性も出てきました。
子供との神経衰弱はまだまだ終わりがありません。
私も子供もバチバチ火花を散らしてます。
***
子供がトランプ二つ使うと言った時はびっくりしましたが、子供のやりたいをどうしたら叶えてあげられるのか、どうしたらゲームはもっと面白くなるのか、そう言ったことを考えるのが面白いですね。ついでに記憶力改善も。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
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