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『すばらしき世界』と『Fukushima50』

やはり劇場で観るに限る
パソコンでも携帯でもいい映画はいい
けれど劇場でなければ受け取れないものがたくさんある

最近映画館で観た映画2本から

『すばらしき世界』
主演:役所広司
監督:西川美和

どの表現がいいのかなかなか見つからない。
テーマはとても重たいもの、いや「重い」と表現することが上っ面に思える。
が、あえて重いとするならば、観終わった時にどんより心を持っていかれることが多いのだけど、
それはない。
とて、清々しい気持ちかといえばそれもない。
自分の周りにない世界は、なきものではなく知らないだけで、ただ素通りしている世界である。
そこに気づいたとて、明日から何か自分の行動が変わるのか、と言っても多分変わらない。
多くの人がそうなのではないだろうか。
ただ、知っただけ。
そう私も同じ。
ただ、この「知った」ということはもう知らなかったことにはできない。
それがひとつの力なんだと思う。
この世の中にある、すばらしき世界は、戦わない世界なのか。
戦うとはいったい何と戦うのか。
「自分らしく生きよう」
と私もいうけれど、自分らしく生きるとは何なのか。
バケツをひっくり返してみても変わらないものが自分の正義だとしたら
これまでいったい何度自分のバケツをひっくり返したのだろうか。
知った、という事実が、私にバケツをひっくり返させるチャンスをくれている。
ふと、レミゼのジャンバルジャンを思い出した。

この映画を作ってくださった西川監督に心から感謝したいと思います。
主演の役所広司さん、仲野太賀さんの圧巻の演技に、1秒だりとも目を離すことができませんでした。
笑った箇所は2箇所。
涙が止まらなかった箇所は後半ほとんど。
すべての人に観て欲しい、と思った映画でした。

『Fukushima50』
主演:佐藤浩一 渡辺謙
監督:若松節朗

最初に観たのはだいぶん前ですが、パソコンでした。
その時もかなりの衝撃を受けましたが、これは劇場で観るべき映画と感じました。
今回、近くの映画館で再上映されていると知り、再び観にいきました。
テレビで観た恐ろしい光景の真っ只中におられた方々の想い、
マスクは涙でびしょびしょになり、
観終えてから、二度目であるにも関わらずただただ茫然とその場から動けませんでした。

映画ですから、多少の脚色もあろうかと思います。
でも、観なければ知り得なかった現場の方々の決死の戦いを少しでも知ることができたのは本当に良かったと思います。

主演の渡辺謙さんの圧倒的な存在感、佐藤浩一さんの臨場感溢れる演技に、心が震えました。
吉田さんから伊崎さんに宛てた手紙の言葉が深く深く刺さりました。
慢心、と言うものは無意識のうちに自分の中に根付いてしまっているのかも知れない。
今一度自分の胸に手を当てて省みることを大切さ、自然の中で生かされいることを、改めて感じ、考えさせられた映画でした。


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