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山のいろんな愉しみかた〜天狗岳から御射鹿池、グルメまで盛りだくさんの旅〜

山のぼりだけではない!山の愉しみかたを満喫した一日をご紹介します。
7月中旬の平日。
今回のぼったのは北八ヶ岳にある天狗岳。天狗岳は東天狗岳と西天狗岳の東西二峰からなっており、標高2,646mの二等三角点が設置された西天狗岳は北八ヶ岳の最高峰である。長野県茅野市にあり、東天狗岳は南佐久郡小海町との境に位置する。
天狗岳は8年前、一度山小屋泊で登頂した山。そのときは曇りでてっぺんは真っ白だったので、今回はリベンジもかねていた。


ー 天狗岳アクセス

天狗岳はいくつかの登山口とコースがあり、何度でも楽しめそうな山。
今回は日帰りできる唐沢鉱泉からのルートを選択した。唐沢鉱泉の登山口は車しか手段がなく、電車の場合は茅野駅からタクシーになる。

八ヶ岳に限らないが、平日はバスの運行が少ないので車での移動も多くなる。
車移動のメリットは、
・日帰りでも早朝からのぼれる
・下山後に靴を脱げる(電車でも脱げますけどね、持ち歩かなければならないのはハードル高め)
・夏の暑い都心をザックを背負って移動しなくて済む
・運転はするものの座れる
その代わり
・駐車場が限られているため早朝からの移動になる
・眠くなる
・下山後の運転はそこそこ疲れる
夏に関してはやはり朝早い方が暑くもないし、空いているし(いつも平日だから空いてますけどね)、天気も午前中の方がよいケースが多いと思うので、車の選択が必然的に増えるかなあ。

そんなわけで今回も車を選択した。
車の場合、新宿方面から中央自動車道で諏訪南IC出口をおり、唐沢鉱泉登山口の駐車場まで3時間ほど。

唐沢鉱泉登山口の駐車場は無料で30台ほど駐められる。トイレもある。
シーズンは駐車場の争奪戦とまで書かれていたので、なんとしても6時台にはつきたいとがんばって2時起き!
早起きは得意だけど、さすがに眠かった。
運転中は眠くなることなく、夜明けを感じるドライブでむしろワクワクだった。ただ、ずっと天気が危うく、「ほんとに晴れるのかなあ」と不安だったが山梨県に入ったころぱ〜っと青空が広がり、「キタキタきたあ」とひとり雄叫び!
テンションあがったまま諏訪南IC出口をおり、唐沢鉱泉と桜平方面への分岐に到着。

唐沢鉱泉と桜平方面への分岐

YouTubeで予習していたので、ここは間違えず左の道に進む。
ここからは未舗装の道のため、かなり運転がしづらい。ガタボコ道でゆっくりいかないと粉塵を撒き散らしてしまう。
6時過ぎ、予定通り駐車場にたどり着くとなんと!8台しか駐車してなかった。ちょっと拍子抜けしたが、駐車できるにこしたことはない。

唐沢鉱泉登山口駐車場

天気予報によると午後から崩れる予報だったので、早めのスタートがベストだ。

ー 西天狗岳ルートからのぼる

唐沢鉱泉登山口からは西天狗岳方面に向かうルートからスタート。

唐沢鉱泉
西天狗岳方面へ

西天狗岳方面からのルートは第一展望台、第2展望台を経由し西天狗岳〜東天狗岳に向かい、下山は中山峠〜黒百合ヒュッテを通り唐沢鉱泉に戻ってくる周回ルートだ。
のぼりはじめてすぐ、黄色いオダマキが咲いていてお花にも期待が高まる。

キバナノヤマオダマキというみたい

序盤は広くゆるやかな道をのぼる。

広くて傾斜もゆるい道

北八ヶ岳の美しい苔に癒されながら進んでいく。

苔の包まれた登山道

しだいに傾斜もキツくなり、ひたすらのぼる。
今回は新しく購入したサポートタイツを履き、はじめからトレッキングポールも使いながらのぼってみる。ずっとのぼるが、それほど険しくもなく危険な箇所もない。

しだいに急になるのぼり

のぼりはじめて1時間ほどで視界が広がる!

空がみえた〜
おそらくハクサンシャクナゲ

と、喜んでいたのはここまでだった。
ひらけた場所から細い道を進み、5分ほどいくと第一展望台につく。

第一展望台からの眺め

あやしい。どうみてもこれから向かうてっぺんは雲におおわれている。
しかも、強風。確かにてっぺん付近は7mくらいの強い風がふく予報だった。それでもせっかくきたのだから、前へ前へと進んでいく。

薄暗い樹林帯

まるで魔界への道かと思う薄暗い樹林帯。なぜか恐怖はなかった。
暗いけど神秘が勝る光景だった。
第2展望台に向かっているとき、前を歩いていた女性2人が引き返してきた。「この先は真っ白で、はじめての場所だから怖いのでやめました」というではないか。
そのことばにかなりためらったが、まだいけると感じたので進むことにした。
第一展望台から20分ほどで第二展望台に到着。

第二展望台からの眺め

もはや、景色は真っ白。8年前を思いだす。
それでも足を止めずに進んでいった。

狭い岩の道をのぼる

ようやく西天狗岳てっぺんまで最後の岩場にさしかかった。

てっぺんまでの最後の岩場

ためらった。
これまではどんなに霧がかっていても前はみえた。だから進んでこれた。
でも、この先は真っ白でどうなっているのかわからない。
それでも「2時に起きて、3時間かけてきたのだからここでやめたくない」とのぼりはじめた。中腹あたりまでのぼったとき、ふりかえるとのぼってきた道も前も真っ白でみえない。おまけにものすごい強風。
ここではじめて危険を感じた。
山は逃げない。
あとちょっとのてっぺんに「またくるね」と挨拶し、あきらめて下山する道を選んだ。
てっぺん目前であきらめるのはとても残念だったけれど、山にのぼりたければ無理をしないと決めていたので、この選択は正しかったと思っている。
途中で出逢った人の中にはあきらめる人、いけるところまでいってみるという人いろいろだったけど、お互い助言しあいながら進めるのはとても励みになった。やはり山での出逢いは素敵だ。
それに、てっぺん近くまではいけたからいいトレーニングにもなった。
風が強くて寒かったのでシェルを一枚羽織りいざ下山。

ー 下山へ

さらに暗くなる樹林帯

おりはじめると、さらに樹林帯は薄暗くなっていた。
思いのほか早い下山となったので、せっかくだからと森を愉しみながらおりることにした。
『森でみつけたアートショー』のはじまりはじまり。

ドラゴンたちの群れ
トトロのうしろにくっついているちっちゃい子たち
(ちょっと細め?)
オアシス
急展開
だれだぁ〜
密談
雄叫びオットセイ
恥ずかしがり屋のタコさん
ペリカンまたはスターウォーズにきっとでてる誰か

やだ、意外と愉しい。
ぶつぶつ喋りながらおりてくると下界は暑かった。

おもしろ写真を満喫しながら、もうひとつ考えていたのは寄り道。
せっかく早く下山できるのだから、ちょっと足を伸ばしてみよう!
と、考えたのは「御射鹿池」だ。
天狗岳の駐車場から30分ほどでいけるはず!
ルンルン浮き足だって駐車場に戻ると、迎えてくれたのは大量のブヨだった。
あれ、このフレーズ、前回もいったような。。
そう、前回瑞牆山の駐車場ではたくさんのアブがお出迎えしてくれた。
なので、学習しアブが気づく前に車に乗る作戦で車内に新聞紙をひき、登山靴のまま乗れるように準備をしておいた。
そして乗り込んだら、足にブヨが2匹くっついているではないか!!
「ぎゃー」と慌てておりたら1匹居残るハメに。
外にでればブヨに襲われ、車内には1匹のブヨが待ち構え、離れたところで途方に暮れる。
その後も虫除けをふりふり、からだもふりふり、格闘すること10分。
ようやくブヨを追いだし、無事車内へ。
とにかくここから離れたい!の一心で靴だけ脱いで逃げるように駐車場を後にした。
まだまだ対策が足りないな。恐るべし夏登山はここにあった。

ー 御射鹿池(みしゃかいけ)へ

唐沢鉱泉から車で20分ほどいくと御射鹿池に到着。
舗装された駐車場にトイレもあった。ブヨとの戦いでトイレもいけなかったので、まずはトイレをお借りする。
長野県茅野市にある御射鹿池は、標高1500mの山中にある。
画家東山魁夷氏の作品『緑響く』のモチーフになったとしても有名な池だ。
農業用のため池で、農林水産省の「ため池百選」(というのがあるのを知らなかったが)に選ばれているそう。
うわさどおりの澄みきった美しい池だった。

反射する木々が美しい
小さなところにある小さな池
風にそよぐ水面も美しい

天狗岳に登頂できていたら、きっとここには寄れなかった。
チャンスがあったらいきたいと思っていた場所に、こんなにも早くいけるとは!事前に情報を持っておくのは大切だ。

※堤防内は立ち入り禁止で、池に近づくことはできません。
地元で大切に利用されている農業施設ですので、環境維持にご協力お願いいたします。

茅野観光ナビ

たっぷり写真を撮り、満喫したところで次なる目的地へ。そう、今回の旅はここでも終わらない。
もうひとつ、いきたいと思っている場所があった。

ー 下山後のグルメ

「傍(かたわら)」
無農薬のやさいを自分たちでつくり、地元のそば粉を使って毎朝打っているというおそば。取り組み方も、メニューも魅力的でwebサイトを見つけてぜひ訪ねたいと思っていた。

この土地に生まれて、この土地で育った
その頃は絵に描いたような農村地帯で
舗装されてない農道を祖父の耕運機に乗って畑に向かった
祖母と他愛のない話をしながら畑仕事のお手伝いをした
私たちが生まれるずっと前から耕してきたこの土地が
なくなってしまうのがさびしくて
自分たちに出来ることを考えてみた

大事に守られてきた畑で
人口的な農薬や化学肥料を使わずに
雑草や虫と共存しながら野菜をつくる

それをおいしく食べてもらうために
蕎麦の産地でもある地元のそば粉と
「泉野」の地名にもある清らかな水で
毎朝そばを打つ

そんな風にして
この八ヶ岳の傍で
大事に守られてきた畑の傍で
未来の誰かに見てもらうよう佇む蔵の傍で
生きていけたらいいなと思って
生まれた土地に帰ってきた

「傍」webサイトより引用


ひとつ一つがおしゃれだ
入る前からワクワクする

御射鹿池から車で10分少々、諏訪南ICからも10分少々でつく。
お店の前に20台駐められる駐車場があり、ちょうど1台だけ駐めることができた。
ランチの営業は11時からで私がついたのは12時半ごろ。満席で入れるまでに20〜30分待ったが、ブヨとの格闘で車内はとっ散らかっていたので、待っている間に片付けしたり、写真を撮ったりしていたらあっという間だった。
スタッフのかたはとても感じがよく、「長い時間お待たせしました」と席へ案内してくれた。
私が注文したのは「ローストビーフ小どんぶり&おそば」
最初にやさい小鉢がでて、おそばが2種類でる。

白そば
黒そば

白そばはつるっとした喉ごしで下山のからだにスッと入ってくるすっきりとした美味しさ。
黒そばはそばの味が濃く、もっちりとして深い味わいだった。
ふたつのおそばを愉しめるのは嬉しい。さらに、おつゆも2種類あって、ひとつは出汁のおつゆでもうひとつはトマト入りのおつゆを選んだ。おそばもおつゆも2種類ずつって愉しい!
おそばだけでも十分満足だったところに、ローストビーフの小どんぶりがやってきた!

ローストビーフの小どんぶり

絶品!ローストビーフはやわらかく、薄くスライスしてあるので食べやすい。お肉の下に天かすが入っていて、マッチングが最高だった。やわらかいお肉とサクサクの天かす、タレをかけずともちょうど良い味付けでペロリといただいた。
最後にそばつゆをそば湯でいただくとこれがまた美味しくて、出汁のおつゆは辛くなくまろやかなお味。トマトのほうはお店のかたが「スープのように」とおっしゃっていたが、そばつゆとは思えないすっきりとした味わいでまったくの別メニューのようにいただいた。
味、お店の雰囲気、取り組み、スタッフ、どれをとっても大満足!!
またぜひ訪ねたいお店だ。

今回の山行は思いがけず途中の下山となったが、だからこそ味わい深い旅でもあった。天狗岳はまたのぼりたいと思う。
そして、いつももしもの候補を用意しておこうと思った。
計画は大切で、計画変更も計画に入れておく。それが旅をより豊かにしてくれる。予期せぬできごとも味方につける、そんな旅をこれからも愉しんでいきたいと思う。


距離:6.3km
累積標高(のぼり) 750m



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