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あたらしい街。いたらしい街。

先日多摩ニュータウンに行ってみた。
そこはわたしの地元の居酒屋で出会った友人が生まれ育った街だ。その友人はわたしよりもだいぶ年上で、友人とは言うがその居酒屋で一緒になったら飲む関係だった。

そんな記憶も忘れかけていたが、
なんとなくGoogleマップを見ていたらその街の名前を見つけた。
古い記憶が蘇り、ああここがそうなのかと。

彼はよく飲みながらニュータウン時代の思い出を話していた。よく聞いた割に内容はあまり覚えていないが、最初はいつもつまらない街だったとぼやきながら、酒が進むとあの頃は楽しかったとよく言っていたことは覚えている。
わたしの地元に似ているところがあるともよく言っていた。そのことも気になっていたので実際に歩いてみたけれど、どの辺のことを言っていたのかよくわからなかった。ニュータウンのエリアも広いから歩いた場所が違ったのかもしれない。

夕方から田端の映画館まで行き、「すべての夜を思い出す」という映画を観た。友人を思い出したとき、街の名前を検索したらこの映画と出会った。この映画は多摩ニュータウンを舞台にした物語だ。三人の女性が同じ街を歩き、三人は明確には交わらないがそれぞれが確実に同じ街で同じ1日を過ごし、街が持つ記憶に触れていく。そんな物語だった。まさにその日歩いたような場所も映っていて、自分も同じ1日を過ごした気分になった。かつての友人の記憶も同じようにそこにあるのだと確かに感じられた。

今頃どうしているだろうか。年齢的にも健康ならまだまだ飲んだくれているだろう。どうして遠いわたしの地元で暮らしていたのだろう。もうあの居酒屋も無くなったので、話を聞くことも撮った写真を見せることもできない。



少し悲しくもなったが、あの街を歩くことができてよかった。

忘れてしまった記憶もたくさんある。
それでも思い出せたこと、憶えたこと
今度は忘れないようにしたい。

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