見出し画像

季節はずれの「花粉症」

自民党総裁選挙が盛り上がりを見せています。新しい総裁は誰なのか?今後予測されている衆議院議員総選挙はいつになるのか?選挙の勝敗とその後の日本はどうなっていくのか?自民党の総裁は解散総選挙で下野しない限り日本の総理大臣になるため、自民党だけでなく多くの人が関心を持っていることと思います。総裁選に不出馬を表明した岸田文雄総理は、様々な評価をされています。考えてみれば賛否両論あるということは、それだけ「何かをした」ということだと捉えることもできるので、しっかりと仕事はしていた総理大臣だと思っています。岸田総理の行った仕事のうちで、あまり記憶にないかもしれませんが「花粉症対策」を行ったのは記憶にあるでしょうか。花粉症といえばスギ花粉ですが、秋には通称「ブタクサ」と呼ばれる花粉症も存在するのです。スギ花粉のピークではないこの時期であれば花粉症の話題も嫌われ難いと思いますので今日は杉の木の話題について。

花粉症とは

日本国民の約4割が罹患し国民病とも呼ばれている「花粉症」。よく知られている花粉症は春先に飛散するスギ花粉ですが、スギ以外の植物が原因になるものもあり、春先以外でも症状に悩まされることがあります。症状は目の充血やかゆみ、鼻のかゆみ、くしゃみ、鼻づまり、鼻水などが見られます。治療法としては内服薬、目薬、点鼻薬などの他に、根治を目指す治療としては注射や舌下錠での免疫療法があります。

花粉症対策 初期集中パッケージ

岸田内閣において、令和5年の4月に「花粉症に関する関係閣僚会議」が設置され、発生源対策、飛散対策、発症曝露対策を3つの柱として総合的に取り組むこととされ、同10月に「花粉症対策 初期集中パッケージ」がまとめられました。簡単にまとめると
1、発生源対策
スギ人口材の伐採や植え替え、建築物で木材利用を促しスギ材需要の拡大、花粉症の少ない苗木の生産拡大、林業労働者の確保。
2、飛散対策
花粉の飛散量を予測する精度の向上、飛散防止剤の開発促進。
3、発症曝露対策
発症予防や症状緩和など花粉症治療のための体制整備、花粉症対策製品や予防行動の普及啓発。
となります。今回は細かく説明することは避けますが、大まかには上記のような内容で今後対策が進められていくと考えられます。

林業労働力不足の問題

さて、花粉症対策の一つに原因となるスギの伐採に注目してみると、林業従事者の高齢化など林業労働力が減少していることから労働力をしっかりと確保していくという問題が出てきます。日本国内の林業従事者数は昭和60年の約12万3千人から、長期的な減少傾向になり令和2年には4万4千人となりまsした。高齢化率をみてみると林業従事者の高齢化率(65歳以上)は令和2年において約25%となっており、全産業の15%とと比べとても高い比率となっています。また、最近では若者の林業従事者が増えているとは言え、若年者比率(35歳未満)は17%と全産業の323%に比べ低い数値となっているため、今後は林業労働者の高齢化が加速化していくことが予想されています。

林業労働力の確保に向けて
林業労働力の確保に向けては「林業労働力確保センター」が中心となり、地域の関係機関と連携しながら雇用管理が行われています。令和4年の「林業労働力の確保の促進に関する基本方針」に基づき新規参入者の確保、女性の活用、外国人の受け入れなど様々な取り組みが行われています。林業人材の確保に一定の成果が見られる一方で、定着率の低さが問題となっています。離職する主な理由として「健康上の都合」「賃金等の雇用条件」が多く挙げられることから林業の過酷さとそれに見合った収入が得られていないという現状が浮き彫りになります。労働災害の発生率は他の産業の約10倍と非常に高く、死亡事故も多いため「言葉の壁」が存在する外国人材を確保し難いという問題もあります。今後も少子高齢化による日本人の人材確保が困難になることは明らかになっていることから、花粉症対策にも重要なポイントとなる林業労働力の確保のためには、育成就労制度などを活用しながら外国人を受け入れていく体制を構築していくことが大事だと思われます。しかしながら、外国人に頼るわけではなく、労働災害のリスクが高い林業を魅力ある産業に変えていくためにも、スギを始めとした国産材の需要を高めて林業による収入の安定化を図り、高性能林業機械の導入などの導入によって労働災害のリスクを低減していく取り組みをしていくことが重要になると思われます。

おまけ

次の総理大臣は花粉症持ちかどうかわかりませんが、引き続き「花粉症対策」に取り組んでいただきたい。花粉症対策に取り組むということは花粉症罹患者を救うだけではなく、林業が発展することで中山間地域にしっかりとした産業を確保することにもなるので「たかが花粉症」と侮ることなかれ。花粉症対策をしっかりと取り上げたことは岸田政権の大きな功績の一つだともいえるのではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?