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無効票が多いのはなぜだ?

 こんばんわ。今日の一日お疲れ様です。
 長かった参議院選挙も終わりふたを開けてみれば改憲勢力が3分の2を維持し、自民党が改選の過半数を確保するといった結果で終わった参議院議員選挙。当初の争点は安全保障、物価高騰対策がだったが、選挙期間中に重大な事件が起きてしまったために投開票日の雰囲気がいつもと少し違う感じがした。さて、この参議院選挙が終わると衆議院解散がない限り国政選挙が行われない「黄金の3年間」とマスコミなどでは言われています。自称選挙ウォッチャーとしては様々な統計がとりやすい国政選挙がないために暫くの間は地方選挙に目を向けていこうと思う。
 さて今回のテーマは無効票についてである。参議院選挙の前に各地の選挙管理委員会が「こんな投票は無効です」といった啓発を行っていたのはあまり知られていないかもしれない。「頑張れ!〇〇」とか「必勝!〇〇」といったような候補者を励ます言葉が書いてあるものが多いらしいが当然無効になる。その他立候補していない人の名前が書かれていたり、ウケを狙ったようなものもあるらしいが、ただ無効票としてカウントされるだけなので絶対におススメしない。
 今回の参議院選挙ではいったいどれくらいの無効票があったのだろうか。全国のデータが存在しないので茨城県だけに注目してみてみると投票総数1,137,761票に対して約4%の46,392票が無効票。なんと茨城県選挙区で立候補した下位3人の総得票数よりも多いのである。
茨城県の選挙管理委員会HPでは各自治体ごとに無効票を公表しているのでそこから参考に無効票割合が少ない順に並べてみた。

茨城県内自治体の投票総数に対する無効投票数の割合順(2022年)

一番少ないのは県庁所在地の水戸市で2.64%、逆に一番多いのがかすみがうら市の6.70%。この差はけっこう大きいのでなぜこういったことが起きていのか少し考察してみることにする。まず、今回の参議院選挙茨城県選挙区では現職2人が引退をし与野党ともに新人が立候補している。さらに過去2番目に多い8人の候補者が立候補するといった選挙であった。そこで6年前の2人の現職が立候補していた時の選挙結果を同じように比較してみる。

茨城県内自治体の投票総数に対する無効投票数の割合順(2016年)

県全体の投票総数は1,248,012票、無効投票数は36,690票となっている。率にすると2.94%。明らかに2022年の選挙の方が高い結果となっている。自治体ごとに見ていくと2016年においても2022年に一番少ない水戸市は上位にいるし、2022年に43番目だった境町は2016年においては最下位。両方を比較してみるといつも同じような自治体が無効票の比率が高くなっている。無効票の率が低い自治体は県庁所在地の水戸市に比較的近いのに対して、無効投票率の高い自治体は県西地区、県南地区と茨城県の中でも東京通勤圏にあたる自治体が多い。これは、参議院選挙制度が各都道府県で1選挙区(合区のような例外あり)となっていることから生活や経済の主体を茨城県に置かない有権者にとっては参議院選挙が少し離れた存在になっているからなのかもしれない。

2022年と2016年の比較

 そしてこの2つの表を比較してみた時に常陸太田市とかすみがうら市の2市が今回以上に無効投票率が上がっていることがみてとれる。今回の参議院選挙と同日で常陸太田市は市議会議員選挙、かすみがうら市は市長選挙と市議会補欠選挙が行われた。通常参議院選挙は投票は選挙区と比例区の2枚だが常陸太田市は3枚、かすみがうら市に至っては4枚の投票用紙に個人名を記載することになる。このことが無効票を増やした原因だと考えられる。同日選挙は投票率が上がるといったメリットもあるが無効票が増えるといったデメリットがあることがわかった。
 日本では考えられないが、ブラジルでは電子投票の導入で識字率の低い有権者の無効票が減り、政治家が識字率の低い貧困層に向けた政策を進めるようになったという論文もある。投票率の向上とともに無効票をなくすことも小さな政治の課題なのかもしれない。


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