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物価高騰と建設業。

 2025年大阪・関西万博の会場建設費が大幅に増額される見通しになったことを受け、大阪維新の会府議団は「昨今の物価高騰は誰にも見通せるものではなかった」として増額分を国に負担してもらうよう大阪府に求めた。建設費は国と府・大阪市、経済界の3者が3分の1ずつ負担。運営主体の日本国際博覧会協会が建設費の精査を進めているが、当初想定の1250億円から20年に1850億円に引き上げ、現在は2300億円程度にする方向で政府と調整中。新型コロナが流行した2020年以降、市場全体では好況な建設業界だが、今年に入ってから倒産する企業が増えているという。帝国データバンクによると今年倒産した建設会社は8月末で1082件となり、このままのペースでいくと1600件を超え過去5年間では最低になる見通し。

 大阪万博会場費の増加に見られるように、建設業界を圧迫している原因は建築資材の高騰と考えられる。建設資材物価指数によれば、2020年からこの3年間で上昇率が21.8%と、日用品や食料品に比べても上昇率は高く建設業界の経営に大きな影響を与えている。建設需要の急増による「ウッドショック」「アイアンショック」と呼ばれる木材・金属不足に。原油価格の上昇による輸送コストの上昇、さらに円安などが加わり過去に例を見ない価格高騰となっている。建設業者によると発注者に契約金額変更を申し出ても断られるケースもあり、価格に転嫁できずにいるところもあるそうです。そのため経営体力のない中小の建設会社から倒産に追い込まれる状況になっています。住宅大手の23年3月期第3四半期決算では3社が増収、棟単価上昇 海外の伸長も継続したというニュースもあり、建設業界で激しい二極化が起きていることがよくわかります。

 地方の中小建設業が減るということは、地域の老朽化などによるインフラ補修にも影響がでるために、建設会社の過度な倒産は防がなければならない。コロナ禍における地方移住の流れも最近では都心回帰によって地方の住宅需要が減っているようた。岸田総理が発表した済対策5本柱の「物価高騰対策・賃上げと地方の成長・国内投資の促進・人口減少対策・国土強靭化、防災減災」で建設業にはどういった支援パッケージが出てくるのかしっかりと注視していきたい。



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