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刀を抜かないために

岸田文雄首相が8月7日に自民党本部で開かれた憲法改正実現本部の全体会合で、「憲政史上初の国民投票にかけるとしたならば、緊急事態条項と合わせて自衛隊明記も含めて国民の判断をいただくことが重要だ」と発言して、憲法改正は緊急事態条項だけではなく、自衛隊明記も優先して取り組む方針を明らかにしました。今年の初めに新聞社が行われた憲法改正に関するアンケートでは憲法改正について「必要ある・賛成」との回答が半数を超え、また「自衛隊明記」についても同様に半数を超える結果が出ています。


憲法

憲法改正について言及すると「右翼」だとか「戦争するのか」と言われがちです。たしかに、憲法9条に書かれていることは重要だと思いますが、日本国憲法は、自由で公正な社会を築き、支えていく上で重要な国家と個人、あるいは個人相互の基本的な在り方を定めたものであり、本来、私たちにとって身近でなければならないものです。憲法を自分たちの生活には縁遠く、また、国家が自分たちを一方的に縛るものであると思い、憲法に対して誤解をしている人が多いのも事実です。

緊急事態条項と自衛隊明記

緊急事態条項は簡単に言ってしまえば、国会(立法府)が機能しない場合にどのように対応するかという問題です。衆議院が解散しているときには参議院の緊急集会で対応することも可能ですが、参議院の緊急集会も開催できないような有事(国会が開催できるのは有事ではないといった意見もあり)になった場合についても考えておく必要があると思います。その場合は一時的に内閣に立法権を行使することも検討しなければなりません。
自衛隊明記に関しては、現在の憲法下で「立場が曖昧な憲法を遵守させつつ、いざという時には命をかけろ」と国が自衛隊に要請している状態となっています。そのような不安定な立場を解消するために自衛隊明記です。

今年の防衛白書が意味することとは

今年の防衛白書の表紙は刀鍛冶の様子が描かれました。これは「防衛省・自衛隊は発足以来、「刀を抜かないために」必死で刀を鍛えてきました。すなわち、抑止力となる刀を鍛え上げ、わが国に対する武力侵攻を未然に防いできました。自衛隊発足70周年の節目にあたり、国家安全保障戦略などを踏まえ、わが国の防衛力、抑止力が順調に強化されている様と、今後もたゆまぬ努力を続ける決意を表現しています。」と解説されており、これまでの自衛隊の活動を的確に表しています。気候変動に起因して激甚化・頻発化する自然災害ゆぬ対応だけではなく、東アジアの地政学的リスクに対応する自衛隊を明記し組織的違憲性を解消することは当然必要なことで、有事には命をかける自衛隊を違憲論がある曖昧な憲法の下にある組織のままにしてはいけないと思います。

令和6年防衛白書の表紙

憲法改正について

先述した通り新聞社が行われた憲法改正に関するアンケートでは半数以上が賛成と回答しています。

「憲法を改正せず現状を維持したい」というのも1つの考えなので否定はしませんが、戦後につくられた憲法を、日本国民が自らの手でつくりあげていくといった機運を高めて、未来の日本国の在り方を現代に生きる私たちが決めていくといったポジティブな憲法改正論議にしなければならないと思います。日本国憲法は手続き上「大日本国帝国憲法」を改正されたとなっています。77年前は憲法起草の体制や戦争を間に挟んでいるということもありドラスティックな変化を日本にもたらしています。これから迎える憲法改正は私たち日本国民にとってラディカルな変化を体現するようなものであって欲しい思います。

おまけ

憲法については少し前にも書いていましたが、憲法改正は時代の要請に応じながら、必要な時に必要な改正をしていけるようにするのが大事だと思います。今から77年前の日本国憲法がGHQから押し付けられ強制的に日本国の生活が変化したことを考えると、次こそは国民が主体的に変えていくというのが楽しみです。
同じく大幅な変化という意味のドラスティックとラディカルですが
ドラスティック:急激な変化、過激な変化、一時的な対策
ラディカル:思想・思考など根本的な変化
という意味で使うことが多いようです。憲法改正はドラスティック(過激で一時的)ではなくラディカル(根本的な変化)なるように敢えて言葉を使い分けてみました。
緊急事態について、関東大信震災の時に3か月国会(当時は帝国議会)が開催されず内閣(山本権兵衛内閣)が緊急勅令を出して危機を乗り切った過去があります。
参考https://note.com/mato0104/n/n2d49cf833a42?sub_rt=share_pw

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