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4年前に書いた娘12歳の思春期の母の心情

また偉そうにパパにあたり散らしてる。
本番のバレンタイン用のガトーショコラに必要な生クリームを買い忘れたのは自分なのに。

上手くいかない。
気に入らない。
とにかく腹がたつ。

この正体不明の思春期怪獣は小学3年に突然始まり、今もなお前触れもなくやってくる。
金属をこすり合わせたあの嫌な音みたいな金切声で物にあたり、妹や弟に怒鳴り散らすのです。

こちらも冷静にと言い聞かせながらも、時にガマンを超え彼女の暴言に応戦。どれだけ憎んでいるんだろうと思うほどに睨みつけられ、涙が出る。こっちが逃げ出したいよ。そう思うたびに『これは人間修行なんだ』と目を閉じる。

あの柔らかい手。
硝子玉みたいな目。
コロコロと笑う甘い声。
駆け寄ってくる小さなわたしの分身。

抱っこすると必ずネックレスを引きちぎるから、もう着けなくなった。
何度もお味噌汁をこぼして、床拭いて、洗濯して、爪切って、アトピーだから週末は病院連れていって、たまの休みもほんとは休みたいんだけどなんとかどこかへ連れていって、自分で食べられるようになってもアーンしてとか言って、元気に出掛けたと思ったら熱が出たと呼び出されて、もうね、あなたが生まれてからずっとわたしはクタクタなんだよ。

悩んでなんかいませんよ。
クタクタなんですよ。

『うちも同じよ〜、ひどいもんよ』と他のお母さんたちと話すことだって出来るし、笑い話にだって出来るわよ。それにね、四六時中あなたのことなんて考えてなんていませんよ。わかったか。

こうして思うのは3%
残りの97%は、愛おしくて愛おしくて四六時中抱きしめてたい。本当は。
もう、中学生になるあなたは手も繋いでくれない。同級生に見られたら恥ずかしいからって。
抱きしめてやろうとしたら、全力で逃げちゃう。

どんどんどんどん。
大人になっちゃう。

わたしがずっと『早く大きくなればいいのに』って思ってたからだ。きっとそうだ。だから早く大人になってしまおうとしてるんだ。
今更『ゆっくりでいいよ』なんて言っても駄目だ。

お母さんは身勝手だね。
ずっと甘えたかったあなたに早く大人になってくれと頼み、早く大人になろうとしたら今度はまだ大人になんてならないでとお願いする。

あなたと12年。
唯一の失敗は早く大人になって欲しいと思ったあの時の自分。バカだったと思うよ。後悔しても仕方ないけどね。

出張から帰ったらバレンタインのラッピング買いに一緒にフライングタイガーに行こう。一日中恋の話をしよう。ママの昔好きだった人の話も特別に聞かせてあげよう。

きっと『そんな話面白くない』って言われるんだろうけど。

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