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レズビアンオフ会でコミュ症を克服した話

人生初めてのレズビアンオフ会は、失敗に終わった。イイなと思った相手とはまともに喋れず、最後のフリータイムでも話しかけることができず、挙句の果てには苦手なタイプのフェムタチさんにラブホへ連行されそうになる始末。

※初めてのオフ会の様子はこちらで詳しく語っています👇

好きな相手はもちろん、「この人面白いな」「もっとお話ししたいな」と思える相手の連絡先も聞けなかった。 

思い返せば、私はオフ会に通い出す前から人間関係において常に「受け身」だった。友達に誘われたら遊ぶけれど、自分からは誘わない。そのくせ誘われなかったら「なんで誘ってくれないのかな…」と勝手にモヤモヤする相当面倒くさいタイプ。

人間的に好かれる自信がないくせに、大して好かれるための努力も、人を繋ぎ止める努力もしないような怠け者。

しかも、拒絶されることを異常なまでに怖がり、絶対に本心を語ろうとはしなかった。自分と他人との間に壁を作り、いつもパーソナルな話題を避けていた。

おまけに1人で行動することが好きだったため、家族や友達から「あなたは人が苦手なのね」「人嫌いでしょ」と言われ、自分でもそうだと思い込んでいた。 

"1人が好き" と "人が苦手" はイコールではない。そのことに気づいたのは、レズビアンオフ会に通い出してからだ。

今でもよく覚えているのが、オフ会中に私が「今大学生なんですけど、社会人になることが怖いんです」と普段なら絶対に語らないような、パーソナルな話をしたとき。

たぶん、性自認や性的指向をなんの引け目もなく曝け出せるその空間に安心して、つい本音がこぼれたのだと思う。

すぐさま正気に戻り「しまった」と口をつぐんだ。こんな話をしても「知らねえよ」と一蹴されるか、「若いねえ」と揶揄されるかのどちらかだと思ったし、会ったばかりの他人にいきなりパーソナルな部分を見られた(自分で見せたのだが)ことが恥ずかしかった。

同じテーブルにいた20代後半〜30代の女性4人は真剣な面立ちで私を見つめたあと、全員が優しく微笑んだ。

「自分で働いてお金を稼ぐってね、大変なことだけど自由でもあるんだよ。

だから社会人って本当に楽しいよ。私は学生のときよりも今の方が断然楽しいし、生きてるって気がする」

今は不安だろうけど、希望持っていいと思うよ。まじ楽しいから。とミルク臭い女子大生の私に語りかけてくれた女性たちは、本当に本当に"カッコいい大人"だった。さすがに顔は覚えていないけれど、表情とか声の温度とかは今でも鮮明に覚えている。 

そんな"あったけえコミュニケーション"を経て、私は「自分は人が苦手な訳ではなく、むしろ人と話すのが好きな人間である」と気付く。 

オフ会に参加する女性(もしくは内面的な無性、中性、性別不明さん)は皆、年齢や職業、セクシャリティがバラバラだった。

彼女たちのバックボーンや恋愛観をきくのは本当に面白かったし、何より「大学生」という身分だった当時の私は「社会人」である女性が語る日常や仕事観がものすごく"未知"で、興味深いものだった。

はじめはただ話をきいているだけだったけれど、徐々に「もっと相手のことを知りたい」と思うようになり、自分からたくさん質問をするようになった。自己開示すれば相手がよりパーソナルな話をしてくれることを知ると、昔はできなかった、自分から心の柔らかいところを見せるという行為をすんなりとできるようになった。


女性たちとの対話を重ねる中で、人間関係における「受け身」がどれほどもったいないことかを思い知った。

基本的にオフ会の参加者とは、連絡先を交換しなければこれから先、会うことはない。もちろん、TwitterやらInstagramやらで繋がることはできるけれど、当時の私はどちらもまともに使いこなせていなかったし、相手がSNSを使っている確証はどこにもなかった。

まさに一期一会。勇気を持って連絡先を聞かなければ、気になる相手とも、友達になりたい相手とも、一生会えないかもしれないのだ。

その事実は私に「会話でヘマをしても二度と会わないから気にする必要はない」という安心感と「この機会を逃したらもうチャンスはない」というプレッシャーを与えた。

この人とはもう、会えないかもしれない。そう思いながら相手と言葉を交わすうちに、いつの間にか私は能動的に人間関係を築く人間になっていた。

気になった相手がいたら「拒まれたらどうしよう」と臆すことなく話しかける。そして連絡先をきく。連絡先をきいたら自分からメッセージを送って、会う約束をする。こんな簡単なことが、なぜ今までできなかったのだろう。

これまでの受け身でいた自分に対して呆れるとともに、「これからは自分で好きなようにコミュニティを作っていける」という自信と希望に胸を躍らせた。

もちろん、連絡先を取り合ったり、オフ会の後に遊んだりしても、関係が続かないことは往々にしてあった。最初は傷付いたり、自信をなくしたりしていたが、オフ会に通い続けることで「またオフ会に行けばいいや」と気持ちを切り替えられるようになった。

次行け次。落ち込んでいる間にもどこかで別の縁が切れているのかもしれないのだ。

当時のマインドは、今も生き続けている。学生時代からの友達も、SNSやイベントで知り合ったあの人も、自分から繋がろうとしなければいつか会えなくなってしまう。重すぎるかもしれないけれど、今でも割とそう思いながらアクションを起こすことが多い(もちろん、相手との関係性をしっかりと吟味した上で)。

※ちなみに最近、人間関係断捨離をしたので、ここ数年で1番友達作りに精を出している私だ。

気付けばもう、オフ会で私に助言してくれたお姉様方と同じ年齢になっている。当時のマインドとテンションを忘れず、なおかつ大人としてスマートにお誘いしたい。



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