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なぜ経験が少ない人に負けてしまうのか?

このタイトルの内容で、Jon Thomas選手がわかりやすい例を交え動画を公開していました。要約して紹介します。この動画です。

白帯、青帯くらいですと、自分より経験のないひとにスパーリングでやられてしまうことが良くあると思います。悔しいし、ひとによっては落ち込むかもしれません。

柔術にはいくつかの要素があります。Jon Thomas選手によれば、(1)パワー、(2)テクニック、(3)柔軟性、(4)心肺能力(スタミナ)、(5)考え方の5つの要素に分けられます。パワー、心肺能力、柔軟性などの体力的要素にはひとそれぞれ大きな差があります。体が大きかったり、よく動けたりすれば、それだけで有利です

テクニックを身につけるには時間がかかる

一方、初心者の方同士で比べるとテクニックにはほとんど差がありません。白帯、青帯くらいですと、多少経験に違いがあっても、体力に勝る方が有利です。テクニックを身につけるには時間がかります。短期間で(1、2年で)体力の差をテクニックでカバーできるほど上達するのは難しいのです。

また、白帯、青帯くらいですとテクニック志向の考え方がスパーリングで不利に働くことがあります。未熟なテクニックを使おうとすれば時間がかかります。もたもたしていると相手にやられてしまうでしょう。未熟なテクニックは機能しません。それどころか相手のチャンスにすらなります。例えば、動かすのは右手かな、左手かなと考えていたら、体力勝る相手にはあっという間にやられてしまいます。

しかし、それは短期的な話

初心者同士なら数年の経験の差など、体力の差が吹き飛ばしています。ただし、それは短期的な話です。

ガードにしろ、パスガードにしろ、サブミッションにしろ、それぞれのシステムを身につけるには時間がかかります。また、スパーで抵抗してくる相手を制し、テクニックを使うには、手順を覚えるだけでなく自分の体に馴染ませなければならなりません。しかも、どのテクニックを使うか前もって決まっていない。相手次第でいわばランダムです。これだけ複雑なのですから、実践で時間をかけて身につけるしかないのです

体力にまかせて動いているだけでテクニックは身につきません。上で述べたように複雑なプロセスを体に染みつかせる必要があるからです。ですから、数年をかけテクニックを身につければ、力任せの人との体力差を無効化できます。実際、力任せの人たちが、テクニカルな経験者に軽々と手玉に取られる様子をどこの道場でも見ることができるのではないでしょうか。

100階建てのビルを建てる

Jon Thomas選手は、ブラジリアン柔術におけるテクニックの上達過程を100階建てのビルに例えました。100階ですから建てるには時間がかかります。また、そんな高いビルを建てるには基礎工事が特に大切です。

基礎に手間や時間をかけなければ工事はさっさと進み、あっという間に10階くらいになるかもしれません。しかし、基礎が弱ければそれ以上高くなりません。ですから、ゆっくり工事を進めていてもやがて追い抜くことができます。

柔術を学ぶひとりひとりが、100階建てのビルを建てていると考えてみましょう。テクニックを学ぶことを疎かにして、体力まかせになっているひとは、基礎工事を疎かにしているようなものです。最初のうちは伸びているように見えますが、頭打ちになります。じっくりテクニックの習得に取り組んでいる人が、必ず追い抜くことができます

ですから、その日のスパーの勝ち負けなどにこだわりすぎず、じっくり上達を目指すことが大切です。

Jon Thomas選手の紹介

動画を私なりに(意訳して)まとめるとこんな感じでした。

Jon Thomas選手は、あのLucas Lepriの黒帯、現在はスウェーデンのイエーテボリにあるValhalla Jiu-Jitsu academyで指導をしています。Cobrinhaから指導を受けていた時期もあるためか、スパイダーガードを得意にしています。見ての通り細身で、体力勝負の選手ではありません。ですからテクニック動画もわかりやすく、柔術談議も参考になります。おすすめです。


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