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ブラジリアン柔術におけるテイクダウンの重要性:体重によって変わります

 ブラジリアン柔術は寝技が中心の格闘技です。なぜ、寝技が中心なのかといえば、自ら座ったり、寝たりして寝技に引き込むことがルールで認められているからです。一方、良く似た競技である柔道では、これがルールで認められていません。このような違いのため、ブラジリアン柔術では寝技の攻防が中心になり、柔道では立技や投げ技の攻防が中心になるのです。

世界選手権における立技の攻防

それでもブラジリアン柔術の試合も、柔道と同じように、両者が立った状態から始まります。ですから、試合のはじまりでは立技の攻防が必要になり、その場面ではテイクダウンを取り合うこともあります。 

BJJ Heroesが2016–2018年にかけてのWorld(世界選手権)と2018–2019年のPAN(アメリカ大陸選手権)の黒帯アダルトカテゴリを試合結果についてデータを集計しました。そのなかでテイクダウンの攻防についてまとめた結果が以下の記事になっています。

830試合を調べたところ116のテイクダウンの攻防がありました(テイクダウンによる2ポイント奪取が記録されました)。テイクダウンの攻防が、14%の試合であったことになり、それほど多くないことがわかります。10試合中1回あるかないかですから。 

立技・投げ技が有効な階級

全体としては多くないものの、テイクダウンの攻防は、階級によって差がありました。下の図に示すように、体重が重い階級ほどテイクダウンの攻防が多くなっていました。 

階級別で分類したテイクダウン攻防の分布

なぜ、体重が重い階級でテイクダウンの攻防が多くなるのでしょうか?それは、体重差がある場合や、体重が重い人同士の試合では、簡単に引き込むと相手の重い体重を受けることになり不利だからです

引き込めば良い?

柔術でテイクダウンの攻防が少ないのは、引き込みが許されているからです。ただし、自分は引き込んだつもりでも、相手に足を取られたらテイクダウンと判断され2ポイントを取られることが割とあります。

実際、今回集計されたテイクダウンのうち、27%、つまり、およそ3割が引き込みに合わせたテイクダウンでした。この結果は、安易な引き込みは危険であることを示しています。相手にタイミングをうまく合わされると、取られなくとも良いポイントを奪われてしまいます。軽量級だから、テイクダウンは無視という感じだと、引き込み時にうっかり2ポイントを献上してしまうかもしれません

全体として、テイクダウンの攻防はあまり多くありません。しかし、対戦相手にある程度の体重がある場合、簡単に引き込み込むことができず、立技の攻防も増えがちです。また、引き込むタイミングで、相手に合わされてテイクダウンを取られることもあるようです。普段のスパーリングで、立技の攻防は練習をしていない部分かもしれませんが、ゲームの一部ですので、こういったところが試合での差が出ないようにしたいですね。


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