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【中学受験】お母さんにとって孤独な戦い

お住まいの地域によっては中学受験は当たり前のことかもしれません。また、場合によってはまだまだ珍しいかもしれません。

周りに中学受験に取り組んでいるママ友がいないので、なんだか寂しい。情報収集が難しい。そんな声を耳にすることがあります。確かに、同じテーマについて語り、相談し、応援し合える仲間がいないのは辛いかもしれません。

が、、、、、

実際には、周りに同じ境遇のママ友がいても、中学受験というのは孤独な戦いと言えるのです。周囲に中学受験をしようとしているお母さんがいない方がかえって気が楽という面さえあります。人間不信に陥らなくて済むという点と、雑音が入ってこないという点で。決して本音で語り合い、支え合うという関係にはなれないと割り切る必要があります。

他人の不幸は蜜の味

一度は聞いたことがある言葉ですね。「私はそんなことないわ」、「そういう人って性格悪いんじゃない?」と思うかもしれません。残念ながら人間が多かれ少なかれ感じている、よくある感情なのです。心理学では、こういった感情をシャーデンフロイデと言います。

シャーデンフロイデという言葉は、ドイツ語で「他人の幸福や成功に対する喜び」を指します。具体的には、他人が不幸や失敗に見舞われた際に、それを見聞きして生じる喜びや満足感を表します。この言葉は、19世紀のドイツの哲学者、ショーペンハウアーによって初めて提唱されました。彼は、人々は自分自身の幸福よりも他人の不幸に喜びを感じることがあると考えていました。シャーデンフロイデは、人間の感情の一部であり、誰もが経験することがあるものです。他人の成功や幸福を共有できることは素晴らしいことですが、同時に他人の不幸に喜びを感じることは、私たちの感情の複雑さを示しています。

完全に負の感情のように思いますが、一概にそうとは言えないのです。利点もあります。

  1. ストレスの軽減: 他人の不幸や失敗を知ったとき、自分の問題やストレスが軽減されることがあります。他人の状況を比較することで、自分の立場を客観的に見ることができ、自分の問題が小さく感じられることがあります。

  2. 自己肯定感の向上: 他人の失敗を知ったとき、自分の成功や達成に対する自己肯定感が高まることがあります。他人の失敗を通じて、自分の能力や成果を再評価する機会となります。

  3. 社会的結束感の強化: シャーデンフロイデは、共感や共有の感情を生み出すことがあります。他人の幸福や不幸に共感することで、社会的な結束感が強まり、人々が協力しやすくなることがあります。

単純に人の不幸を喜ぶということではないのです。
お受験ママたちとのやりとりには、こういった気持ちを含め、複雑な感情が入り混じっています。なぜなら、受験は他者との競争であり、その結果が明確に示される(合格・不合格)からです。自分の子どもだけ志望校に合格しなかったらどうしよう。最近成績が伸びてきたあの子に、うちの子の席が奪われるのではないか。中学受験での親の不安、心配はつきませんし、かなりのストレスがかかります。本当に重要な情報は開示されない、と思っておいた方がいいでしょう。

以前私が指導していた生徒の話。塾に行っていたけれど、成績が上がらず志望校を変更しなければならないのではと、不安に感じたご両親。知人から私の話を聞いて、ご依頼いただきました。生徒宅での指導にあたり、次のようなお願いをされました。「ご近所さんに、関係性などを聞かれたら、親戚ですと答えてください。家庭教師とは絶対に言わないでください。」最終的には少し離れたところに駐車するよう頼まれました。よって、周囲(同級生・ご近所)は塾に通っていることは知っていても、プロの家庭教師を追加で雇っていることは知りません。
理由を聞くと、「もし失敗した時、家庭教師まで雇ってたのにと言われたら、子どもがかわいそう」とのことでした。塾と併用して家庭教師をスポット的に雇うということはよくあることだと思います。成績不振で悩んでいる人に、「うちは家庭教師雇って、成績が伸びてきたわよ」とアドバイスするとは到底思えません。実際に、無事に合格した後も、誰にも言っていないようでした。「週に1.2回塾に行っただけで、人気の難関中学に合格するなんてすごいわね!!地頭がいいのねー」という称賛の声を浴びても、沈黙してたようです。「塾と家庭教師、必死だったのね」と言われたり、「そこまでしてやっと合格したのね」と思われたくないから。

受験をささけるお母さんの受難はまだまだ続きます。よくあるのが、夫婦間の温度差です。塾に通わせるのは、お金だけでの問題ではありません。お弁当、送り迎え、宿題などしたかどうかの確認、模試などのスケジュール管理、、、etc。受験が近づけば、精神面、健康面での管理やサポートなど、気が休まることがないでしょう。夏期講習、どの授業をどれくらい取ろうか?ついていけないなら家庭教師に頼もうか、、、?、相談しようにも、お父さんが「そこまで頑張らなくても」と言わんばかりに、他人事なことにイライラが募るお母さんも多いことだと思います。我が子のことながら、相談相手にもならない夫、同じ境遇のママ友とも腹の探り合い、、、、。孤軍奮闘とはまさにこのこと。そして肝心の子どもが、なかなかやる気のスイッチが入らないとなると、当方に暮れたり、諦めそうになったり、子どもの将来のことを考えて思い悩んだりと苦労は尽きません。

でも、心配しないでください。子どもの顔が一人一人違うように、適した学びや、理想の志望校、合格への道のりは様々です。誰かからもたらされるアドバイスや情報は、あくまで一般論や個人のフィルターを通してのものです。よく吟味して、子どもに合うかどうか考えてから、参考にしたり問い入れたりしたらいいと思います。お子さんもお母さんの頑張りに感謝しています。今は自分のことで精一杯かもしれませんし、ストレスから反抗的な態度になることもあるかもしれませんが、ご家族のサポートがなければ成立しない中学受験に挑戦できる有り難さについて後々気づくと思います!!




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