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【石井聰亙】「アジアの逆襲・指圧王者」【レンタル落ちDVDだが美品】

石井聰亙が1983年に制作したサイバーパンクSF短篇「アジアの逆襲」と、1989年制作「指圧王者」のカップリングDVD。レンタル落ちですが、ジャケットや盤に変なシールは貼って無く、背も棚晒しになったような色褪せも無く、かなり状態が良い盤です。もしかするとレンタル専用で作られたが店頭には出なかったものかもしれません。再生にも全く問題ありませんでした。

「アジアの逆襲」は大作「爆裂都市」の次に撮られた短編で、日本のサイバーパンクSF映画としてはかなり早い作品だと思います。この前年に「ブレードランナー」が公開されましたが、内容は全く別物。大友克洋「AKIRA」の連載が始まったばかりで、こちらとの共通点は多いですが、どちらが真似したというわけではなく、同時代の現象でしょう。

どこかの荒地に地下の基地があり、その中で超能力が覚醒した少年たちが軍事訓練と薬物投与を受けています。やがて少年同士で争いが始まり、超能力によるサイキックな喧嘩になります。

途中、1人の少年が超能力でコンクリートの壁に押し付けられる場面がありますが、ここは大友克洋「童夢」の影響ですね。

セリフは英語の字幕で示されていて、全編に石井聰亙が結成したノイズバンド、バチラス・アーミーの音楽が流れ、30分のミュージック・ビデオと言うこともできます。

アジアというタームは1983年時点ではかなり早かったと思います。それが「逆襲」するのですからかなり強いタイトルだと思いました。ただストーリーははっきりしておらず、アジア人なのは分かりますがどこに対して「逆襲」するのか、映画をみただけでは分かりません。しかし何かに対して強烈な怒りをぶつけていることは痛いほど伝わってきます。

石井聰亙には超能力や精神世界に対する興味があるようで、それがはっきり打ち出された最初の作品だと思います。オリジナルは1983年の作品ですが、2005年に音響と編集を入れ替えたリミックスバージョンが作られ、DVDに収録されたのは2005年バージョンです。

1989年の「指圧王者」は、60年代に「指圧の心〜母心〜」のキャッチフレーズでテレビで有名になった指圧師・浪越徳次郎主演のサイキック指圧映画。13分しかない短編で、内容は全裸の白人美女を浪越が指圧するだけの映画ですが、途中から特撮を交えたサイキック映画になります。

浪越徳次郎は50年代にマリリンモンローが来日した時、ホテルの部屋で全裸のモンローを指圧した経験があり、これが一生の自慢でしたから、おそらくその逸話がベースになっているのだと思います。

パッと見、よくあるマッサージAVみたいな作品ですが、そこは石井聰亙が撮るので途中からエロを超えてサイキックになります。この時の浪越が何歳なのか分かりませんが、おそらく最晩年だったと思います。

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