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小林正樹「東京裁判」('83講談社)〈2枚組〉

終戦直後、日本を占領した進駐軍が「日本の戦争犯罪」を明らかにし、裁くための極東軍事裁判(東京裁判)が開廷され、およそ3年間に渡って判決が下りました。

この映画は「切腹」の小林正樹監督が、米国に遺された膨大な記録映像と、日本の中国戦線での記録映像を5年かけて編集し、後世に残すための記録映画として完成させたものです。

米国防総省に保管されている東京裁判の記録映像は約3万巻におよび、この映像から170時間分の映像を抜き出して編集されました。驚くべき量のフィルムです。その中には巣鴨プリズンと大森拘置所に収監されていた戦犯たちの生活の様子も含まれています。

戦犯容疑者中、前にいる東條英機のハゲ頭を平手で叩いた大川周明の映像もバッチリ収録されてます。大川は精神異常と診断され、容疑者中唯一無罪放免となりました。死刑判決を待たずに死亡した戦犯容疑者もいます。

以下説明書から抜粋。

「『東京裁判』の法廷シーンのフィルムには原音が入っている。その上3台のカメラが三方から同時録音の撮影、という素晴らしいものだ。
 この法廷で、旧日本の支配体制の構成と指導者たちの苦悩、思惑が複雑に絡み合っていたことが具体的に陳述される。そして戦争の悲惨な実情が告発されて明るみに出された。かつての将軍、大臣、首相、皇帝など世界史の生き証人が続々とスクリーンに登場してそれぞれの特徴や個性をくっきりと浮き彫りにする。中でも東條英機対キーナン検事の生々しい肉声での論争は圧巻だ。」

完成した映画は277分、DVD2枚組の約4時間半に及ぶ大作となりましたが、あの戦争に関心を持つものには息も継がせぬ4時間半です。東京裁判にはさまざまな政治的な意見が出ていますが、これが法廷で起きた事実を記録したものであることは確かです。日本の現在を考える上では必見の映画であると考えます。

「東京裁判('83講談社)〈2枚組〉」
小林正樹 / 小林正樹
定価: ¥ 3800

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