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【ノーラン出世作】クリストファー・ノーラン「メメント」('00米)

この映画、最初に観た時「面白い」という印象を持ちましたが、「何がなんだか分からない」という感想でした。こういう作品は「つまりもう一度観ろ」ということだな、と思ったので、再見しましたがやはりよく分かりませんでした。

ただ「どうやら時間が逆行しているな」と思ったのですが、普通に進行しているようでもあり、どういう構造をしてるんだろう? と思ってネットで調べたところ、やはりストーリーの終わりから始まりに向かって進行する構造の映画であることが分かりました。

この作品、白黒画面のパートとカラー画面のパートが交互に映されていきます。この白黒パートは過去から現在に向かう普通の時間の流れなんですが、カラー画面がストーリーの終わり近くから最初に向かって流れる時間軸の構成になっているのです。一つのシーンは普通に時間が流れていますが、次のカラーのシーンは少し前の時間の話になります。

なんとも複雑ですが、見ているうちに徐々にカラーと白黒は同じストーリーなのだな、と分かって来ます。そして映画のラストで衝撃の事実が明らかにされます。

ノーラン監督がこのような複雑な構成をとったのには理由があります。それはこの映画の主人公が、過去の事故が元で「記憶が20分しか続かず、20分経ったらその間の記憶を全部忘れてしまう」という「前向性健忘症」を患っているからです。この病気の特異な時間感覚を観客に味合わせるための構成なんですね。

前向性健忘症は脳に障害を受けるまでは普通の人間なので、病気になる以前の記憶はあって、それで日常生活が送れていますが、病気になってからの事は何一つ思い出せません。

そのため、主人公は「忘れてはいけないこと」を肌に入れ墨を彫って記憶の代わりにしています。なので、全身が入れ墨だらけです。

左手に「サミーを忘れるな」という文字が彫られていて、それはどうやら、自分の妻を殺した犯人の名前なのです。それ以外の入れ墨は全部「自分の妻を強姦して殺した犯人を見つけて復讐する」ための自分へのメッセージなのです。

つまり、この映画は特殊な記憶障害を持つ主人公が、身体の入れ墨を手がかりに犯人を探して復讐する物語なのです!

観客も主人公と同じ「手探り」の状態でハラハラしながら作品を観て、最後に思わぬ真実を見せられてアッと驚く、とてもよくできたスリラー作品になってます。

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