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北野武「3-4x10月」('90バンダイ/松竹富士)

北野武監督2作目。
人によってはこれが北野武の最高傑作だと言います。私も4作目の「ソナチネ」と甲乙つけ難いと考えてます。

このタイトル、最初どう読んでいいのか分かりませんでした。「さんたいよんえっくすじゅうがつ」ですね。これ野球のスコアボードの表記なんですね。10月はこの映画の公開が10月の予定だったからだそうですが、実際には9月に公開されました。

草野球チームに所属しているガソリンスタンド店員の雅樹は、ヤクザと揉め事になり、遂にはヤクザの組と草野球チームの抗争に発展します。

雅樹は拳銃を入手しようとチームメイトと沖縄に旅立ちますが、そこで沖縄ヤクザの上原(ビートたけし)と出逢います。この上原が無茶苦茶な男で、組の金を使い込んで組員全員を敵に回しています。上原と雅樹たちは米軍基地の米兵から銃を入手。

上原は購入した銃の半分を雅樹に渡し、自分は組事務所に乗り込んで組員を皆殺しに。東京に戻った雅樹たちは、敵対していたヤクザ事務所に乗り込みますが、返り討ちにあってボコボコに。その夜、雅樹はガソリンを満載したタンクローリーを盗んで組事務所に突っ込みます。

北野作品では最初に沖縄を舞台にした映画で、血みどろの内容とは裏腹に、沖縄の景色が美しいです。たけし登場シーンでは、沖縄のスナックに入ってきたたけしがいきなり拳銃をぶっ放し、店内のヤクザを皆殺しにしますが、相手が撃ってきても自分は身を守ろうともせず、ただ棒立ちして淡々と銃を撃つたけし。

たけしは、相手の生命はおろか自分の生命も軽く考えているかのようで、こんな銃撃シーンは初めて見ました。(いや、強いて言えば「バリー・リンドン」の敵の弾目掛けて進撃して兵がバタバタ倒れる場面に近いかも)。

この映画、興行成績は惨敗に近かったですが、批評家の評判はよく、海外でも高く評価されています。

「3-4x10月('90バンダイ/松竹富士)」
北野武 / 小野昌彦 / 北野武


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