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【世界のミフネその6】スピルバーグ「1941」【スピルバーグの壮大な失敗作】

ジョージ・ルーカスは「スターウォーズ」を作るにあたってオビ・ワン・ケノービ役を三船敏郎に頼みたかったことで有名です。しかし三船は「お子様映画には出ない!」と言ってルーカスのオファーを断りました。

結局オビ・ワン役はイギリスの名優アレック・ギネスが演じたわけですが、公開されるや映画の歴史を塗り替える大ヒットになり、今度は三船敏郎が大いに悔しがったということです。

それでスピルバーグが太平洋戦争開戦をテーマにした「1941」の日本海軍潜水艦の艦長役を三船に打診した時、今度は三船は大乗り気で出演をOKしたわけです。それがスピルバーグ史上最大の大コケ失敗作になるとも知らずに……。

それで「1941」、サンフランシスコを日本軍が攻撃する映画なのですが、とにかく一時が万事、とことん馬鹿馬鹿しい場面の連続なんです。

三船敏郎が艦長の潜水艦はコンパスが故障して当初の目標から離れたカリフォルニア州沿岸に接近し、三船は「米国人の士気を削ぐ効果あり」と確信してハリウッド攻撃を命令します。しかし艦が砲撃したのはサンタモニカの遊園地でした。

日本軍もトンマなら米軍もトンマばかり。全員頓珍漢な行動をとって映画は収拾が付かない乱痴気騒ぎになります。

まあ、なんと申しましょうか。スピルバーグは確かに天才ですよ。しかしギャグの才能が致命的に無いんです。こればかりは持って生まれたセンス、だとしか言いようが無い。それでも嫌いになれないのは、スピルバーグの狙いというか、「気持ち」が良く分かるからです。

ここまで大掛かりな画面を作って、壮大にバカバカしい映画をやりたかったんだな、という狙いは痛いほど分かるんです。しかし、笑わせるにはスピルバーグはお笑いのセンスが無さすぎます。

ビートたけしが満を持してお笑い映画「みんな〜やってるか!」を作って大滑りしたことと「1941」の滑り方はよく似ています。たけしはお笑いのプロですけど、それは舞台やテレビの笑いであって、映画の笑いとは違うんですよ。

三船敏郎は、こんなことならスターウォーズに出てればよかった、と物凄く悔しい思いをしたと思います。

しかし天才バッターの、全力を振り絞った空振り三振も、これはこれで見ものではあります。何がいけなかったのか? どこで狙いが外れたのか? を考えながら映画を見るというのも、たまには良いのではないでしょうか。

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