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黒澤明「夢」米クライテリオン版Blu-ray

黒澤明「夢 DREAMS」クライテリオン新品未開封Blu-ray 黒澤明は「乱」の後、自分が観た夢を脚本化して8話構成のオムニバス短篇集を企画しました。 

実際に撮影されたのは「日照り雨」「桃畑」「トンネル」「鴉」「赤富士」「鬼哭」「水車のある村」の8本ですが、これ以外にも「ビルの間を綱渡りしていて落ち、天使に助けられる夢」「部屋に本物の河馬が居る夢」「興福寺の阿修羅像が歩き出して寺を出、東大寺の大仏と吉野山で落ち合う。そこに五重塔が飛んできて、山頂でお月見をする夢」「世界から戦争が消滅して真の平和が来る夢」の3本は撮影の検討がされて一部キャスティングまで決まっていました。 

プロデュースのスピルバーグや協力監督本多猪四郎と相談し、一部は撮影に予算がかかり過ぎることや、余りにもバカバカし過ぎるということで断念しました。

阿修羅像と奈良の大仏が吉野山でお月見する夢は、ルーカスフィルムの特撮でどうかと思われましたが、CGは未発達だったので、本多猪四郎が久々に着ぐるみ特撮映画を演出したかもしれません。 

「世界が平和になる夢」は、アナウンサー役に檀ふみまで決まっていて、テレビ画面で彼女が「お喜び下さい、世界が平和になりました!」と叫ぶとニューヨークやロンドン、パリ、モスクワ、北京で各国数千人のエキストラが歓声を上げて踊り狂うというというものでしたが、世界の大都市の交通を遮断する必要があり、撮影規模が巨大になり過ぎて断念。

 「綱渡りの夢」だけ、黒澤の絵コンテをそのまま使ったアニメーションのCMを大林宣彦が監督しています。当時テレビで流れたのを記憶してますが、なんのCMだったか忘れました。 

本篇に使われた「赤富士」は、原発が爆発して人々が逃げ惑い、逃げ場を見失って海に身を投げて誰も居なくなるという内容で、チェルノブイリ原発事故に黒澤がインスパイアされたものです。

黒澤は「生き物の記録」など原爆の恐怖をテーマにした映画を作っており、反核は彼の終生のテーマでした。

また「赤富士」の逃げ惑う群衆はゴジラ映画そのもので、本多猪四郎が昔取った杵柄で手がけた場面だと思われます。

 「夢」脚本・監督黒澤明 特殊撮影ILM スティーブン・スピルバーグ提供 1990年 ※高画質で有名なクライテリオン版Blu-ray。

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↑プライム・ビデオ「夢」


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