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【特撮で見る日本の歴史】「日本誕生」('59東宝)「日本沈没('73東宝)」

特撮で見る日本の歴史。稲垣浩監督「日本誕生」(特撮円谷英二)と森谷司郎監督「日本沈没」(特撮中野昭慶)の二本立て! 日本の歴史の最初と最後がバッチリ分かります。

昔むかし、イザナギ・イザナミの男女の神が高天原から下界に天沼矛(あめのぬぼこ)を差し込むと大八島(日本列島)が生まれました。そしてアマテラス・ツクヨミ・スサノオの3神が生まれます。

スサノオ(三船敏郎)は乱暴狼藉を働いた為、アマテラス(原節子)は天岩戸にお隠れに。この世は闇に包まれ、困った神々は高天原のエンターテイナーを総動員して岩戸の前でどんちゃん騒ぎをやります。ここに集ったのが柳家金語楼に榎本健一、三木のり平など戦前から昭和30年代のお笑いスター揃い踏み。外の騒ぎに何事かと岩戸から外を覗いたところを、横綱初代朝汐関扮する手力男命が馬鹿力でこじ開け、再び地上に光が戻りました。

この後スサノオはヤマタノオロチを退治して上原美佐、もといクシナダ姫と結ばれます。この映画のヤマタノオロチは糸で吊って動かすオール操演で表現されてますが、いかに円谷特撮とはいえ、正直へぼいです。

(中略)

そして197X年夏、小笠原にある小島が一夜にして海に沈み、地球物理学者の田所博士(小林桂樹)が小野寺俊夫(藤岡弘)が操縦する海底調査船わだつみに乗って日本海溝を調査すると、そこには見たこともない規模の乱泥流が。

 田所博士は箱根に住む謎の老人と会い、毎年家の軒に巣をかけるツバメが今年は来ない、何故かのうと尋ねられます。田所博士は、日本列島の地下では地殻が異常な動きをしている、このままだと全土が大地震に見舞われ、日本は海に沈んでしまうと恐ろしい予測を話す。

すると地面からパッパッと光る中野フラッシュとともに第二次関東大震災が発生。都心は猛火に包まれ、自衛隊のヘリの消化弾が尽きてしまう。逃げ場を失った東京都民が皇居に殺到。山本総理(丹波哲郎)は「内閣総理大臣の命令です。直ちに城門を開けて都民を中に入れてくだい!」とカッコいいセリフを吐きます。

第二次関東大震災では300万人もの都民が死亡。山本総理は日本国民全員を国外に退避させるD2計画を始動。日本総理の特命を帯びた担当者が世界に散り、各国に日本国民を受け入れて下さいと国宝の仏像を手土産に持って頭を下げて回ります。

「日本沈没」は小松左京の原作小説がベストセラーになったのを受け、それとばかりに撮影わずか4ヶ月の突貫工事で製作されましたが、黒澤明の助監督だった森谷司郎監督の演出は重厚で真面目そのもの。脚本橋本忍、美術が村木与四郎と黒澤映画のスタッフで固めているところが重厚さに磨きをかけています。

「日本沈没」はTVシリーズを含め、その後何度も映画化されていますが、正直言って今回出品する最初の森谷司郎版の出来が一番良いです。丹波哲郎の総理の演技も、真の国難に遭った時の総理大臣はこうでなければ! と思わせる頼もしさがあります。

「日本誕生」は古いDVDで、盤そのものに傷はありませんが映像が一部コマ落ちするところがあります。これは最初からそうで、製造工程の問題ではないかと思います。映画そのものは最後まで再生できます。

「日本沈没」のBlu-rayは再生良好です。ただ読み込みに少し時間がかかるので、Blu-rayプレイヤーのファームウェアは最新のものに更新した方がいいと思います。

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