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【朝に書く1,000字恋愛小説:2年ぶりの彼女と彼 #9】

飛行機は時間通りにデンパサールに着陸した。
フライトの間は彼の肩にピッタリとくっついて、本を読んだり、写真を撮ったり。機内食も出たんだけど、私は食べないで、彼が食べているのを少しだけもらったの。チキンのカレー煮込みみたいなので、美味しかった。インドネシア料理なのかな。
彼と私の間の肘置きをあげて、ピッタリくっついて、2時間のフライトは、あっという間に過ぎちゃった。

彼の腕につかまって、空港ターミナルの外に出たんだ。白い壁に囲まれた通路を抜けて、外に出たら、青い空、真っ白な雲、ちょっと風があるようだけど、すごく楽しい雰囲気が広がっている。
広場には、赤いかわいい文字で、「BaLi」って大きな看板があるの。その看板がね、ここからバリだよ、毎日を忘れて、2人で楽しむんだよ、って言ってくれてるみたい。バリにリゾートの神様は絶対にいるんだよね。看板の左手には、アーケードのような通りがあって、ピザハットとか、カフェがあるの。わー、ピザハットだよーって、そんなことにも2人とも、嬉しくなってたんだー。

「ねー、ねー、写真撮ろー」
2人でBaLiの前で写真を撮って、まずはホテルに向かうの。ホテルはね、ジンバランにあるリゾートホテル。彼は車もホテルに頼んだんだって。心配性で、怖がりの彼は、あまりチャレンジしないんだ。私は結構グイグイ行けちゃうんだけど、今回は、贅沢して、彼とリゾートを満喫することにしてるんだ。
運転手のおじさんは民族衣装を着てる陽気なおじさん。カタコトの英語で一生懸命話してくれるのに、カタコトのインドネシア語で一生懸命答えている彼の会話が微笑ましかったんだ。そして、彼がインドネシア語を話せるようにってることに、驚いちゃった。
2年だもんね。長かったもんね。

空港からの道は、整備されていて、順調にホテルに向かえたよ。
「わ、あれ見て、あれ見て」「わー、お寺だよー、すごいねー」
「ねー、ねー、あの門みたいなの、不思議だねー。」
彼も外をキョロキョロしながら、そうだねー、そうだねーって言ってくれる。
車から見える街並みは、異文化を感じられて、私はとても好きになれたんだ。お寺の雰囲気も、街並みも。

20分くらいすると、ジンバランに近づいてきたよ。緑が増えてきて、ところどころに高級ホテルがあってね、そんな中を抜けていくと、ホテルの入り口が見えてきたんだ。
リゾートホテルの中には、いくつかのタイプのホテルがあるんだ。私たちが予約しているホテル棟はプールがたくさんあるタイプなんだ。プールで遊ぶなんて久しぶりで、すごく楽しみ。

「どんな部屋なんだろうね、ドキドキするね」

彼は、予約した部屋のことをとても心配している見たい。私が安心できるか、いい雰囲気かどうか、ってブツブツ言ってるの。2人で過ごせば、どんな部屋でも、素敵な部屋になるのにね。でもね、一生懸命準備してくれて、心配してくれて、考えてくれててね、すごく大切にしてもらえてる。とても幸せなことだな。ありがとうね。

ホテルのロビー、車寄せに到着したよ。

「わー、ロビー広いよー、ねーねー、天井が高いよー、すごいよー、見て、見てー」

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