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時の砂が落ちるまで

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現代の日本、路地裏にひっそりと佇むアンティークショップが舞台の小説です。
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【小説】時の砂が落ちるまで 第3話「首飾りが招くもの」

【小説】時の砂が落ちるまで 第3話「首飾りが招くもの」

 下校時間を告げるチャイムが鳴ると、ゆかりは鞄を掴んで教室を出た。周りのざわめきと靴音を耳に吸い込みながら、うきうきと校舎を出る。
「ゆかりさん」
 校門を過ぎたところで後ろから呼び止められた。一人の少年が立っている。
「え? は、はい」
 ゆかりは戸惑った。この子とどこで知り合っただろう。まじまじと見つめようとするも、恥ずかしくなってつい目を逸らしてしまう。
 大人しそうな少年だった。ゆかりと同

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【小説】時の砂が落ちるまで 第2話「最後にひとつ、オムライスを」

【小説】時の砂が落ちるまで 第2話「最後にひとつ、オムライスを」

 次の日。学校の授業が終わると、ゆかりはもう一度あのアンティークショップに足を運んだ。猫の後を追った昨日の道筋を思い出しながら、坂を登り、見覚えのある雑居ビルの路地裏に入る。そして、微かに鼻をつく焦げた香りを感じながら、ゆっくりと扉を開いた。
「いらっしゃい! お、また来てくれたんだね。ありがとう!」
 カウンターの奥から店主の紫苑が声を掛ける。こんにちは、と軽く頭を下げると、「さ、入って入って」

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【小説】時の砂が落ちるまで 第1話「思い出を売る店」

【小説】時の砂が落ちるまで 第1話「思い出を売る店」

 下校時間になると、花里ゆかりは軽い足取りで校門を出て、懐かしいパン屋に向かった。かつてそこで買ったイチゴメロンパンの甘い味が、口の中に広がっていく。
 幼い頃はよくなけなしの小遣いを握りしめ、イチゴメロンパンが売り切れる前に店に駆け込んでいた。しかし高校受験の勉強が始まってからは、そのパン屋に行くことがめっきり減ってしまっていた。
 七月に入り、町の気温はだんだんと高まっている。高校生活にも少し

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