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今年、留学を予定していた人へ

3ヶ月未満の短期留学も数えると、年間10万人を超える日本人が海外に留学しています。また、約30万人の留学生が毎年来日しています。

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、渡航できなくなったケースが多かったかもしれませんが、留学を希望している人は年々増加しているのです。

留学の目的は様々です。「なんとなく就職に有利そう」や「語学は役に立ちそう」という動機で渡航する人もいますし、海外でなければ学べない事があるから留学する場合もあるでしょう。

自分以外の誰かに行かされている場合を除いて、留学を希望する人に共通しているのは「外国に行きたい」という欲求があるから留学をするのです。

かく言う僕も、17歳の時に1年間アメリカに留学させてもらいました。もう22年も前の事です。

僕の場合、留学する事に明確な目的がありませんでした。英語が得意だったわけでも、憧れていた職業のために英語を身につけたいというわけでもありませんでした。

単に家を出て、アメリカに行きたいという事が本音でした。そして周囲には「視野を広げたい」とか「国際感覚を身につけたいから」というような建前を口にしていました。

目的が無い事を見透かされたのか、現地の老人に不思議がられることがありました。「なぜこんなところに来たのか?」と。

僕が滞在していたのは田舎町でした。日本人どころかアジア人が一人もいない環境に、日本人の少年がいる事が不思議だったのでしょう。逆の立場なら僕もそう思うかもしれません。

その時に、「視野を広げたい」や「国際感覚を身につけたい」と英語で言う事ができませんでした。ただ、焦って「フォー フューチャー」とだけ言った記憶があります。

これから海外に行くことを考えている方は、目的を英語で言える準備をする事をおすすめします。そうする事で、コミュニケーションが円滑になります。

明確な目的を言えない事で、理解されないというのは窮屈な経験でした。しかしながら、当時はわかりませんでしたが、はっきりした目的があると、周囲からの協力を得やすいという事をその後の人生で学びました。

留学に限った事ではありませんが、目的が明確ということは結果がはっきりしているという事です。言い換えれば、欲しいものを素直に欲しいと言える事と同じです。当然ですが、その方が実際に手にいられる確率が高いのです。

留学自体が目的だという人というのは案外いるものです。僕自身がそうですし、僕以外にも明確な目的がないのに留学をした人はいます。

それは悪い事ではありませんが、それだと学べることが非常に狭く浅くなってしまいます。なぜなら、海外に行くこと自体が目的なので、渡航した瞬間に達成されるのです。
手段が目的になってしまうと、達成感を味わうことが難しいです。留学というのはあくまでも手段です。その先に本当に得たいものがあるのです。

本場のフランス料理を学びたいという人がフランスに留学する事を例にすればわかりやすいです。
フランスで料理を学ぶことは手段です。目的が学ぶという事になってしまっては、その先の見通しが立ちません。学ぶことは好奇心です。学びたいという欲求は良い事とされています。ただし、学ぶこと自体を目的にしてはいけません。何のために学ぶのかがはっきりしない事には、趣味の範囲を超えません。

フランスに料理を学びに行く理由が、「オーナーシェフになりたいから本場で修業したい」という目的の方が、充実した留学生活を送る事が出来るでしょう。「将来の自分の店を三ツ星レストランにしたい」、「沢山のお客さんを喜ばせるようになりたい」、「それでいて沢山儲けられるオーナーになりたい」、など理由がはっきりすれば、学ぶことがより明確になります。それが意味する事は、実現できる可能性が高いという事です。

僕は、これからも大勢の方が海外で学ぶと予測しています。どれだけテクノロジーが発達して、現地の映像がリアルタイムで見られるようになっても、人はリアルを求めるのです。感染症の問題はいずれ終息します。その後の社会はこれまでとは違う社会かもしれません。しかし、人の欲求は変わりません。
今年、留学を予定していた人達は本当に無念でしょう。
行きたくても、行けない気持ちをどこにぶつけていいのか、わからないでしょう。

どんな慰めも、無意味かもしれませんが、できる事を今するしかありません。
留学は目的ではないのです。その先に叶えたい目標のために、今、できる事はあると僕は思います。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!